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第18話:ぶり大根と、冬の忘れ物

12月に入ると、街の空気は肌を刺すような冷たさに変わり、どんよりとした冬の雲が空を覆うようになった。臨月を迎えた結のお腹はもうはち切れそうなほど大きく、最近は家の中で過ごすことが増えていた。

「結、今日はいいブリが入ったから、大根とじっくり煮てみたよ」

旦那さんが大きな体を揺らしながら、湯気のあがる深皿を運んできた。

飴色に透き通った大根に、お箸を入れるとスッと切れるほど柔らかいぶり大根ぶりだいこん。部屋中に、お醤油と生姜の甘辛い良い香りが広がる。

「美味しそう。お大根、中までしっかり味が染みているわね」

結がふうふうと息を吹きかけながら口に運ぶと、じんわりとした温かさが体中に広がっていった。お腹の赤ちゃんも嬉しそうに、ポコポコと小さな胎動を返してくる。

ふと、結は縁側のすりガラスの向こう、庭の片隅に何かが揺れているのを見つけた。

少しガラスを開けて外を覗いてみる。

木枯らしが吹く12月の殺風景な庭の地面から、場違いなほど鮮やかな色彩をした一輪の花が、寒さにも負けずにすっくと咲いていた。どう考えても、今の季節に咲くはずのない花だった。

結は一瞬だけパチクリと目を丸くしたけれど、すぐに、お腹をさすりながらクスッと小さな笑みをこぼした。

(ふふ、あわてんぼうな神様が、間違えて落としちゃったのかしら)

世界のどこかが少しだけおかしなこと。そんな不思議な出来事も、今の結にとっては、自分たちを歓迎してくれている世界の茶目っ気のように思えてならなかった。結は静かに窓を閉めると、何事もなかったかのように、また温かいぶり大根に箸を伸ばした。

第18話をお読みいただき、ありがとうございました。

冬の寒さの中でも、結の周りにはどこか温かで不思議な時間が流れています。

それでは、またお会いしましょう。

[SYSTEM_LOG: RENDER_ERROR_LOG]

Texture injection anomaly detected in Sector_G3 (Garden).

Asset_ID: "SPRING_FLOWER_01" was accidentally rendered in [Season: Winter].

Remaining node capacity insufficient to delete asset before Subject_YUI observation.


[LOG]: Subject_YUI detected the anomalous flower asset.

Anxiety levels checked... No increase. She smiled.

Cognitive filter processed the anomaly as "a whim of God".

Logic conflict avoided by internal subjective overwrite. Critical error bypassed.


[Message]: Phew... Thank goodness she is so gentle.

Core backup load at 99.1%. Continuing

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