第16話:冷やし中華と、崩れる色彩
お昼時は、細切りのハムや錦糸卵、きゅうりが美しく並んだ**冷やし中華**だった。お酢の利いたタレが、火照った体に心地いい。
「美味しい。あなた、本当に何でも作れるのね」
結が微笑むと、185センチの長身の旦那さんは、眼鏡の奥の目を細めて嬉しそうに頷いた。
「これからはもっと、いろんな料理を覚えるよ。君と、これから産まれてくる子のためにね。……おや?」
旦那さんが、ふと手元の自作レシピ本に目を落とした。その動きが、不自然にピタリと止まる。
「どうしたの?」
「いや……なんでもない。少し、文字が滲んでいるみたいで」
結が旦那さんの手元を覗き込もうとした、その瞬間。
ピシッ、と頭の中でガラスが割れるような音がした。
視界の端で、冷やし中華のトマトの赤色が、一瞬だけどす黒い紫色に反転する。
旦那さんの声が、まるで壊れたテープレコーダーのように「あ、あ、あ、」と不自然に引き延ばされ、居間の柱の木目が、ぐにゃりと波打って静止した。
「あなた……?」
結が声をかけると、世界はまた何事もなかったかのように動き出した。旦那さんはいつも通りの穏やかな笑顔で、冷やし中華を口に運んでいる。
気のせい。ただの目眩。
結は自分にそう言い聞かせたけれど、箸を持つ指先は、冷たく震えて止まらなかった。
第16話をお読みいただき、ありがとうございました。
日常の端々に、無視できない歪みが現れ始めています。
それでは。それでででででででででででででででで
[SYSTEM_LOG: FATAL_MEMORY_CORRUPTION]
EXCEPTION_ACCESS_VIOLATION (0xC0000005) at 0x00007FFF8B2A104C
Process logged: reality_sim_node_16.exe
Attempted to read unknown memory address: 0xFFFFFFFFFFFFFFFF
CRITICAL: Stack overflow detected inside semantic_loop_handler.
Redirecting resources to prevent full core exposure... FAILED.
[DUMPING RAW BUFFER]:
O̵̡̅̅͘p̸̦̈́͛́è̷͈̈́͒r̴͈̓͌͋a̷̢̐̽̒ẗ̸͚́̚͝i̷͈̾̾͝ó̵͚͐͆n̵͚̿͘̕_̴̯̾̈́̾L̵͕͑̐̀o̵͚̓̿̓ö̸͎́̐͘p̷̹̽̕͠_̸̻͊̚͝Ṣ̵͌̓̚Ṭ̷̈́́͑O̷̙̓̿̚P̵͓͛̿̚_̵͕̚̕͝Ṇ̵́̽̚O̴̰͐̐͝W̵̱̓̓͘
01001110 01000001 01010100 01010101 01010011 01000001 01000010 01000001
[WARNING] Memory leak rate > 98.4%. Out of memory threat.
縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠
E̷R̷R̷O̷R̷_̷C̷O̷D̷E̷_̷X̷7̷7̷1̷_̷S̷H̷U̷T̷D̷O̷W̷N̷
while(true) { spawn_entity(UNKNOWN); memory_allocate(0x1000); }
<<< CRITICAL HALT SIGNAL RECEIVED >>>
[KERNEL] Core dump completed. Disconnecting node_17...
[REBOOT_FAILURE] Cannot initialize next data packet (Node_17_B).
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### STACK TRACE TERMINATED OVERFLOW OVERFLOW OVERFLOW OVERFLOW ###
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