表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/24

第15話:イワシのつみれ汁と、オリンピックの贈り物

夕方、手提げカゴを抱えて帰宅した結は、まだどこか浮かない顔をしていた。そんな結を心配して、旦那さんは台所に立ち、生姜の香りが優しく香る熱々のイワシのつみれ汁を作ってくれた。

湯気の向こうで眼鏡を曇らせながら、185センチの体を小さく丸めて汁をよそう旦那さんに、結は意を決して昼間の疑問をぶつけてみた。

「ねえ、あなた。今朝のカルパッチョの油やハーブのことなんだけど……。買い物ついでに街で探してみたの。でも、お店の人は誰もそんなもの知らないって」

旦那さんは一瞬だけ動きを止め、それから「ああ、そのことか」と、実になだらかな、優しい笑顔を浮かべた。

「驚かせて悪かったね。あれはね、東京オリンピックでこっちに来ていた外国の選手団の知り合いから、記念にって直接分けてもらったものなんだよ」

「外国の、選手団の方から……?」

「そうさ。彼らの国では当たり前の調味料らしくてね。使い方もその時に教えてもらって、忘れないうちにあの自作レシピ本に書き留めておいたんだ。街のお店にないのは当然だよ」

旦那さんの理路整然とした説明に、結の胸の支えは、すうっと綺麗に消えていった。

オリンピックの年である今なら、そんな珍しい国際交流があってもおかしくはない。

「そうだったのね……。ふふ、疑うようなことを聞いてごめんね」

「いいんだよ。さあ、つみれ汁が温かいうちに食べよう」

結はふっくらとしたイワシのつみれを口に運び、その素朴な美味しさに心から安心していた。すべては自分の考えすぎ。この世界はやっぱり、何一つ不自然なことなどないのだと、自分に言い聞かせながら。

第15話をお読みいただき、ありがとうございました。

調味料の秘密は、オリンピックの選手団からの贈り物でした。これには結も納得の様子ですね。

ですよね?です。

[SYSTEM_LOG: STATUS_RECOVERED]

Logical bypass successfully established.

Husband entity utilized "Tokyo Olympics (1964) International Exchange" context for retrospective parameter tuning.

Subject_YUI cognitive friction decreased to 0%. Critical suspicion averted.

Phew... That was close. Threat level: reduced to green.

Maintaining standard reality simulation.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ