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第0話: 砂嵐が晴れた日
やっと、私の家のTV画面が砂嵐から晴れた景色にかわりました。
ザー、という耳障りなノイズが静まり、白黒の画面にパッと鮮やかな光が差し込む。映し出されたのは、雲一つない青空と、見たこともないほど立派なスタジアム。
「……あ、映った」
パタパタと小気味よい音を立てていた扇風機の前で、私は思わず声を上げました。
昭和三十九年、秋。
世界中の人々がこの東京という街に目を向け、新しい時代の幕開けに胸を躍らせている。そんな熱気あふれる季節に、私たち二人の新しい生活も、この小さなアパートの一室で静かに始まったばかりです。
まだ何もない、けれど、これからは何でも揃っていく。
ブラウン管の向こうから聞こえる賑やかな歓声を背に受けながら、私は台所へ立ち、今晩の夕食の支度を始めました。




