第49話 より良い洗濯と危険はいつも通り
ローゼベルトさんとの勉強会までの間も、私たちのお手伝いはいつも通り。あー君たちは準備があるとかで? 今度の勉強までは宿舎に来ないって。だから今日は、私とピィ君とミッケで、洗濯のお手伝いだよ。
洗濯のお手伝い……。前は酷い目にあったからね。まぁ、そのおかげで、フィンレイには勝つことがでいたけどさ。
そう。アンドリューさんの臭い靴下だよ。今日はその靴下の確認から。チェルシーさんは今日はお休みだから、ティルソンが私たちのお手伝いをチェックしてくれるんだ。
ティルソンさんは、チェルシーさんの次に洗濯に厳しいと言われていてね。さっきも、他の獣騎士さんを指導していたよ。こう、ビシバシとね。
もう1人、洗濯係のあれこれを任されているアンセルさんは、洗濯に必要な物の買い出しだって。さっき10枚以上もあるメモを持って、出かけて行ったよ。
新しい石鹸が発売されたとかで、買えるのなら全種類の洗濯用石鹸を揃えたいし。他にも試してみたいものがあるみたいで、それも全種類、手に入れられたらと。その資料もちゃんと持って出かけて行ったから、帰りはかなり遅くなるんじゃないかな。
チェルシーさんたちが、今1番力を入れているのは、休みの時に、みんなが着る服について。基本優先して洗われるのは、もちろん獣騎士の制服。
まぁ、これは当たり前で、もしも何かあった時に制服がないんじゃね。魔獣が襲ってきた、誰かが襲ってきた、そんな時は制服なんか気にしている場合じゃないかもしれないけど。
やっぱり制服を着ている獣騎士さんがいるだけで、住民は安心できるだろうから、制服が優先なのは当たり前だよ。
だけど、ここのところ、いろいろあったでしょう? だからせめて休みの時は、今までよりも、もっとゆっくり休めて、みんなの心と体が癒せるように、何かないか。という話になったらしいんだ。
そこでチェルシーさんたちが考えたのが、普段着も気持ちよく着てもらおう! だったの。
まず、この世界の洗濯についてだけど。洗濯自体は最初に見た通り、魔法での洗濯で。どれくらいの出来栄えかな? と思っていたけれど。これは地球で、自分で洗濯したものと大差なく、普通に気持ちよく着ることができたよ。住民たちもみんな同じみたい。
ただ、最近、ある石鹸が発売されたんだ。それがふわふわ石鹸と、しっとり石鹸と、ほつれ防止石鹸に、パサパサ防止石鹸、臭い防止石鹸の5種類。
これが発売から瞬く間に大ヒット商品になって、売り切れが続出。それで作る人を増員することになって、ようやくこの前から、みんなが買えるようになったの。1人何個までって決まっているけどね。
そしてその石鹸の性能は……、名前の通り。地球でもいろいろな洗濯用洗剤や、柔軟剤を売っているでしょう? それと同じような感じだと思うんだけど。これが本当に今までより、仕上がりが良くなるみたいでね。
ほら、休みの時は、今までよりもっとゆっくり休めて、心も体も癒せるようにって考えたじゃない?
なら、この石鹸を使って洗濯をすれば、今までよりも洋服を気持ちよく着られるようになって、みんなの疲れが取れるんじゃないかってことで。
とりあえず使ってみて、反応が良ければ、定期的に仕入れられるように、お店と相談することにしたんだって。今日はその話も、しに行ったみたいだよ。
ただ、今日はまだその石鹸はないからね。私たちはいつも通りの洗濯。そして私たちは今、アンドリューさんの靴下が入っているかもしれない、箱の前に立っている。
「ほら、リア、ピィ、ミッケ、そんなところに立って。もしも箱が開いたらどうするんだ」
「きけんなはこ」
『ぴぴぴぴ』
『でも、この前は最強の武器だったんじょ』
「何だって?」
「ぴぃくんは、たぶん、きけんなくちゅちたっていった。みっけは、でも、このまえは、しゃいきょのくちゅちただったって」
「ハハハッ、確かにな。アンドリュー団長の靴下で解決できたんだもんな。ただ、あの時と今は違うからな。今日は洗濯だから危険な方だ」
『ぴぴぴ、ぴぴっぴ。ぴぴぴぴぴ』
『あれは凄かったんだじょ』
「今度はなんて?」
「あたちが、ふぃんれいのはなにおしこんだ。あれは、かんぺきだった。みっけは、しゅごかったって。ぴぃくん、あってる?」
『ぴぴっ!!』
「押し込んだ?」
「どとめしゃしゅのに、はなのあなにはいったから、おしこんだ」
「は? アンドリュー隊長の靴下を、鼻の穴に押し込んだのか?」
「うん」
「「「ハハハハハハッ!!』』』
私が返事をした途端、洗濯場が笑いに包まれたよ。
「そんなことしてたのか!」
「リアたちが頑張ったと聞いていたが」
「まさか、そんなことをしてたなんてな!」
「ハハハハハッ、それじゃあ奴もやられるわけだ!」
あれは本当にうまくいったよね。私たちはうんうん頷く。
「だけどな、ここには敵はいなくて、ただの洗濯物の団長の靴下だからな。この間は大丈夫だったかもしれないが、今日は気をつけて、あまりこの箱に近づくんじゃないぞ。さぁ、洗濯だ。俺のところに洗濯物を運んできてくれ」
「あい!」
『ぴぃ!!』
『うんなんだじょ!!』
そうして、洗濯物が押し込められている小屋へ向かった私たち。ただこのあと、危険な臭靴下で、衝撃的な事実が判明することになるんだけどね。
初めての時は、洗濯物を運ぶ前に気を失った私たち。でも今回はしっかりと、洗濯物をカゴに入れて、ティルソンさんの所まで運ぶことができたよ。そしてこれだけで、拍手をされるっていうね。涙目になっている獣人さんまでいたし……。
この獣人さんは前回、私たちが倒れた時に居合わせたらしく。私たちが、洗濯物を運べたことに感動して、思わず涙が出たって。アンドリューさんの臭靴下のせいで、もう私たちがここに来ないと思っていたみたい。大丈夫だよ、私たちはそれくらいじゃへこたれないから。
そのあとは、ティルソンさんが洗った洗濯物をチェック。洗い残しをみんなで綺麗に洗って、他の獣人さんたちの洗い残しも洗って。前半の私たちのお手伝いはここで終了。
洗濯物を干すには、私だと背がね。ピィ君とミッケは飛べるからできるけど、これについては、何か考えていることがあるとかで、洗濯物を畳むまで、私たちは休憩することになったんだ。
ただ、休憩の間も、ゴミを拾ったり、細かい作業していた私。気づいたらピィ君とミッケがどこかに行っちゃってて。
ピィ君とミッケは、あの危険な箱の所へ戻っていたの。そしてここで、事件が発生し、ある新事実が判明することになったんだ。




