第十五話 指名クエスト
「さて。さっそくじゃが、指名クエストがきてるのじゃ」
指名クエスト?
「要するに仕事を受ける冒険者を依頼者側が選ぶ制度じゃ。まあ、普通は実績を積み重ねた冒険者だけが受けることができるクエストじゃな」
「でも、俺、何もやってないんだけど」
「その上、お主は今日、冒険者になったばかりじゃからな」
やれやれ、と苦笑いしながら首を振るヨウコさん。
「それで依頼主は誰なんだ?」
「ガルバディ王国第三王女リアナ・ガルガラット様じゃ」
ぶふッ! 吹きそうになる。別に口になにも含んでないんだけど。
「実はその王女様が来ておるのじゃ」
「え、まじ?」
「では、王女様のご登場!」
ヨウコさんがジャジャーンッと手を扉に向けるから、俺もそちらに注目した。
………しばらくしたけど、一向に現れない。
「………」
「………」
「え、来ないんだけど―――」
「わっ!」
「どわっ!?」
その時だった。
急に後ろから背中を叩かれて、驚かされた。
「リアナ!?」
「ふふっ。お久しぶりです、クライさん」
そこにいたのは、相変わらず可愛いリアナだった。
「カッカッカッ! 「どわっ!?」じゃって!」
腹を抱えて爆笑するヨウコさん。
こいつ……。知ってたな……。
「えっと、クライさん。怒ってます……よね?」
「いや、怒ってないよ」
「あうぅ…。ごめんなさい……」
「だから怒ってないよ!?」
「ほ、本当に怒ってないですか?」
「うん。大丈夫だから、な?」
泣きそうになっているリアナに泣き止むように言う。
別に怒ってはないし、怒っててもヨウコさん相手だから。
「それより、依頼の話をしよう」
「あっ、はい。依頼の詳細はこちらです」
依頼書を受け取った。
「お茶会の護衛?」
「はい。私は年に何回か、仲が良い四ヵ国の王女が集まってお茶会をするんです。そこに出席するために、道中とお茶会中の護衛をクライさんにお願いしたいんです」
リアナから依頼の内容を聞くと予想外のものだった。
王族や貴族の令嬢はお茶会をすると聞く。
特にリアナが言うような、四ヵ国の王女が集まるお茶会ならば、相応の実力者が集まるんだろうな。
依頼書に目を通していくと、国王の名前もリアナと連名で書かれていた。
このクエストはそういうレベルのものみたいだ。
報酬は500万ジュエル。一生遊んで暮らせるほどの報酬だ。
「仮にも王女の護衛ですからね。狙ってくる敵も強者ばかりですから。それと、御父様が色を付けたみたいですよ」
「そうなのか?」
「はい。アンバーやグラディウスの一件のお礼に、と」
ああ。あれか。
リアナの話だと国王はアンバーを野放しにした事に罪悪感を覚えているらしい。
別にそんな事は気にしなくていいのに。
まあ、貰えるものは貰うけど。
「リアナの頼みだからな。もちろん受けるよ」
「本当ですか!? ありがとうございますっ!」
依頼を受ける事を決めると、リアナが両手を包み込むように握った。
じっと見つめ合うような形になり、お互いに赤面した。
眠たいの我慢して書いた……。
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