第95話 神からの対策①
お待たせ致しましたー
良き……。
良き……良きかな。
アレは、無事に大精霊の本性となれた。
それは……とても、良きかな。
憂い……膿も晴れ。
あの者はあの者らしい……宙となれたのだ。
これは……里にも良き事となる。
しかして……鏡羅には、ひとつばかり……思うところがあるようだが。
覗いてみたが……己の『人間』としての生みの親のことだった。
あれは……今の鏡羅に伝えれば、それなりの判断は出来るだろうが。
まだまだ、転身したばかりの身ゆえに、心は揺れ動くかもしれん。
その生みの親含め……一族が、あの愚かな王族の差し金により、惨殺されたことをだ。
『……風のは、既に精霊王に知らせたが』
精霊王は、我の判断を待っているやもしれん。
鏡羅は、王族の今の有様については……憐れんだだけのようだが。
実の親の事となれば、それは別だろう。
大精霊として覚醒し、足りないでいたモノらを補填した今でも。
『……いささか、手を貸すか』
我は……あの王族は放っておくことにして、風のが探った鏡羅の実家とやらに飛ぶことにしたのだった。
すぐに着いたが……やはり、酷い有り様よ。瓦礫と骨しかあらなんだ。
他の緑などは、時を経たことでいくらか芽吹いてはいたが。
『……いでよ』
鏡羅の親よ。
鏡羅の産み親よ。
我が前に……仮初の姿を成せ。
その呟きを聞き届けたのか。
奥の頭蓋などの骨が、ひとりでに動き出したのだった。
次回はまた明日〜




