第42話 嬉しい感情
お待たせ致しましたー
迷惑……と思われて、いない?
絶対、と言っていただけた?
他のどなたでもなく……珀瑛様に?
(…………うれ、しい……!!)
この気持ちは、嬉しい以外何ものでもない。
想いを寄せている方から……拒絶でない言葉をいただけて、私はとても嬉しかった。
思わず、また涙を流してしまうくらい。
「あ〜あ? ハクが泣かせた〜」
「お、おおお、俺が!? ミ、ミラ!! 泣かんとって?!」
「……いえ。その……嬉しくて」
辛い涙ではない。
とにかく……とても嬉しくて。
胸が痛いくらいになるが、ちっとも辛くない。
あの王族に痛めつけられていた時とは……まったく違うのだ。
「な〜んだ、嬉し涙? ミラって感動屋さんなんだー?」
「……心臓に悪いわ」
「よく泣く子?」
「……おん。元いたとこで酷い目に遭わされてたらしいわ」
「……へぇ?」
私が泣き続けていると……璐羽様の、お声が少し低くなった。
涙を落ち着けながら、顔をゴシゴシしていたら……璐羽様の、美しくも恐ろしいようなお顔が見えてしまった。
「……ロウ、様?」
「自分らの恩人を蔑ろに? ヒトってほんと身勝手だね? しかも、聖女の称号を与えた子をあっさり捨てるだなんて」
話し方も……何か、恐ろしさを感じるものだった。
びっくりして涙が止まり、思わず珀瑛様の後ろに隠れてしまう。
「……おーい、ロー。ミラがめちゃんこ怖がっとるで?」
「んー? ああ、ごめんごめん。怖くないよ〜?」
珀瑛様が注意されても……声はともかく、お顔がそのままだったので、私はまだ少し怖かった。
やはり……精霊。しかも、大精霊様は……畏怖の存在かと思ったのだ。同じ大精霊様でも……珀瑛様が怒られた時は、今ほど恐ろしいとは思わなかったのに。
「……当分無理やろ。ほな、俺らは次行くわ」
「え〜? もっとおしゃべりしようよー?」
「今の自分の顔見ぃ? それに今日は端回るんや」
「そっか〜? じゃ、ミラ。ごめんね? 怖いもの見せて」
「……いえ」
璐羽様にも不快な思いをさせて申し訳ないのに……私がさらに申し訳ないことをしてしまった。璐羽様はそれについては、怒りを向けられることはなかったが。
とりあえず、珀瑛様がまた精獣化されたお姿の……背に座って、しっかりと首に手を回した。
「あ! いいな〜!!」
「……しゃあないやん。手綱は扱えんやろし」
「自分の時も掴まってもらえるかなあ?」
「じゃかしぃ!! ミラ、しっかり掴まり?」
「はい」
次の大精霊様はどのような方か。
珀瑛様のお話によると、あと三名らしいが。
どうか……私の召喚魔法で出したゴミとかがお役に立ちますように。
そう思っていると……珀瑛様はまた空を駆けた。
次回はまた明日〜




