第40話 風の大精霊……葛藤
お待たせ致しましたー
あかん。
適当に回ろうと思っとったが、こいつんとこ来るんやなかったわ!
のんびりのようでいて、実は重度の女タラシやと言うことをすっかり忘れていた。しかも……璐羽の場合自覚がないんやよな!?
ミラのような、めちゃんこかわい子ちゃんに気を持ったら……俺はどうなるか分からん。俺が初めて……精霊や人間関係なく惚れた相手やから!!
「な〜になに〜? せっかくお礼とかハグしただけじゃん〜? そんな怒る〜?」
ムカつく笑顔に、俺がミラをどう思っとるのも……バレとるやろうな。めちゃんこ面倒やし、ミラにはまだ言えん!! 一目惚れ以上が確定してから言うつもりやったし!!
「あ……あの? 珀瑛……様」
「あかんで、ミラ! このタラシに簡易体以外でも近づいたらあかんで!!?」
「い、いえ……その。う、腕……を」
「おん?」
ここで、俺も自覚した。
俺がミラをぎゅっとしとってん!?
咄嗟の行動とは言え、俺は何を!!?
そりゃ、自覚前から何回かミラを抱っこしたりはしてたけど!?
「あっはっは!? おちゃらけハクが人間? いや、半分精霊化〜? の女の子抱きしめているなんて〜〜!! いや〜面白いの見た〜〜!!」
んでもって、璐羽はゲラゲラ笑い出すし……!?
けんど、いつまでも抱きしめていたいが、ミラが困っとるんで……仕方なく腕は外した。ミラの赤い顔がめちゃんこかわええけど……我慢や!!
「……あの。迷惑……では、ないですから。驚いただけで」
って言うから、期待してしまうやろ!?
「あっはっは〜〜!! おかしかった〜!! で、ミラって言うの? 君何者〜? あ、自分は空と天の大精霊で璐羽って言うんだ〜」
「……お初にお目にかかります。ミラジェーン=アクエリエスと申します。以前は……渡しの聖女、と呼ばれておりました」
「聖女〜? だから、召喚魔法が使えたんだ〜」
「けど……人には役に立たないものしか」
「そーんなことないよ〜? 自分達にはめちゃくちゃありがたいものだよ!! 魔力もほぼ回復出来たし〜!! あ、じゃあ龍羽様も大丈夫なのかな?」
「……龍羽様の言いつけで、端のお前らんとこ回っとんねん」
ちゃらんぽらんやけど、いちおう使命はしっかりこなしとるからなあ……。強くは言えんとこもある。
「ふ〜ん? けど〜、なんでハクと一緒〜? 龍羽様が今循環してるから〜?」
「その……珀瑛様の、ところで……お世話になっているので」
「ほーほー?」
あ……あかん。
ミラの可愛ええ顔が……さらに可愛くなって!?
璐羽とかに見せたくないんやけど! 一生懸命、自分で説明しとるミラの邪魔はしとうない!!
そいでもって、璐羽は俺の顔見て、めちゃんこニヤニヤしとるのがむかつくわ……!!?
「わ、私のわがまま……を受け入れてくださったので。珀瑛様には、ご迷惑かもしれないですが」
「絶対無い!!」
「! 珀瑛様?」
悲観的になるのが癖になっとるミラの言葉に、被せるように俺はそれを否定した。
断固あり得へん!!
ミラは……俺もやけど、里……ひいては精霊界の恩人やで?!
今まで痛めつけてきた人間どもには、神が処罰を下しても……それを知らんミラはまだ自分に自信を持っとらん。
そんな可哀想なこと……絶対否定せなあかんねん!!
それに……そのいじらしさに俺はますますミラが好きになってしまった!!
「ミラは俺らの大恩人やで!? 迷惑あらへん!!」
「そ……うですか?」
「おん!!」
迷惑どころか、俺を選んでくれて光栄極まりないわ!!
で、ここで何故か思い出したことが。
(……そういや、ミラが精獣体の俺にぎゅっとしてくれた時)
めちゃんこ柔らかい胸が当たったんやわ!?
今思い出すと、俺かて顔赤くなるわ!!
次回はまた明日〜




