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温かな腕の感触
突然アルビレオは吠え、屋敷の屋根に飛び乗る。
「ちょ、どうして言う事聞かないの?!」
(ノワール!ノワール!!)
屋根に飛び乗ったアルビレオが長い首を下に向けて窓を覗き込んだため、バランスが悪くなり私は手綱を握ったままアルビレオの背中からずり落ちた。
「きゃー!アルビレオ…落ちる!落ちるってば!」
「カノン!!」
ジャンヌが上から私に手を伸ばすが、彼女の乗っているヴァルカーンがあまり傍に寄ってこないため届かない。きっと、アルビレオが怖いのかもしれない。
「助けて──っ!」
ズルズルと手綱から手が滑り、5階建ての高さから落ちそうになる。
「……ぁっ」
普段鍛えていない腕の筋肉では自分の全体重を支えられるはずもなく、遂に私の手は手綱を離し、地面に向かって落下する。
(私、死んじゃうのかな…)
スローモーションで景色が変わっていく…
バサッ
その時、窓から黒いものが飛び出し、落下する私の身体を受け止めた。
(ノワール!)
ザンッ
視界は、蒼い空と、屋根の上から私を見下ろすアルビレオの姿が見える……。
でも、痛みはない。背中に感じるのは地面に叩きつけられた痛みではなく、温かな腕の感触。




