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飛べない理由
「ジャンヌ様……お下品な事を言わないで下さい…」
ニードが顔を赤くして言う。
「なんで?いいじゃないの。あの子も男の子なんだから、それくらいする度胸があっても」
「ですから…」
「あの!」
会話が怪しいので私は違う話題を振る事にする。
「はい?なんでしょう?」
「えっと…ノワールってなんかの病気なんですか?凄い咳をしていたんですけど……」
私がそう聞くと二人は顔を見合わせる。
「そうですね……心の病気、ですね」
「心の?」
聞き返すとジャンヌは頷く。
「あの子には、親友がいたんです。
…名前はシオン・レイハート。
100年以上前に空の涙現象の際にシオンが亡くなって。シオン以外にも、あの子の部隊の部下は全滅してしまい、その事でノワールは自分を責めて飛ばなくなったのです」
「我々ガルーダ族は空を飛ばねば呼吸器系に支障を来たし、死んでしまいます。
あと、空の涙現象は空の海からこの世界に落ちて来る高熱の岩の事です」
ニードの補足説明にピンと来るものがあった。
「隕石とか流星のこと?」