86. 戦場に行く
前回のお話
子供を徴兵するってマジか!?
由里とティセは強すぎて笑えない。
フィールドに帰ってきてからの優剛は、何か深刻な考え事をしているかのように押し黙っていた。使用人たちはいつもとは違う雰囲気の優剛に少し怖さを感じていたが、話しかければ、すぐにいつものように優しく対応してくれる優剛に、こんな日もあるかと軽く考えていた。
麻実は朝しか優剛を見ていなかったが、優剛の表情や仕草に違和感を覚えながらも病院に出勤していった。
その日の夕食時、優剛は悲痛な表情で、しかし軽やかに口を開く。
「ちょっと戦場に行ってくるわ。」
はぁ?全員がポカーンと優剛を見つめる中で、麻実が口を開く。
「どうしたの?優剛が戦場とか全然似合ってないわよ。」
「うん。このまま独立した軍と王国軍が均衡したままだと、由里が戦場に行く事になるんだよね。」
「あぁ・・・。規約に書いてあったわね。」
優剛は驚いた表情で麻実を見て口を開く。
「・・・マジ?」
「有事の際は成績上位者の徴兵の可能性があるって書いてあったわよ。まぁ、今は各国の主力が居ないみたいだから、揃ったら大丈夫よ。ラーズさんと同じくらい強い人が揃っても駄目なら、退学してでも逃げるわよ。そこは戦場じゃなくて死地よ。」
「あれ?なんか徴兵されない気がしてきたかも・・・。」
「でしょ?」
麻実も病院で情報を集めているのだ。由里が徴兵という話になれば、連れ戻す事も想定して準備も進めている。優剛が知らないだけである。
「でも、戦場には行くよ。相手の強さを見ておかないと逃げる時に困るからね。」
「うーん。それもそうね・・・。」
使用人たちは、この2人が逃げに徹したら悪魔だろうが何だろうが、捕まえる事は出来ないと思っていたが、わざわざそんな事を口に出したりはしない。
「ハル、戦場まで一緒に来て。」
「ちょっと待ってくれ旦那!」
「ん?」
同行者にハルを指名した直後にタカが立ち上がって抗議した。
「戦場なら俺を連れてってくれ!」
「いや、いや。タカは連れて行かないよ。」
「なんでだ!?なんでハルなんだ!?」
優剛は両手を広げてタカを落ち着かせるようにして口を開く。
「まぁまぁ。落ち着いてよ。ハルを連れて行くのは夜の見張りの為だよ。ハルはずっと寝てるように見えるけど、動いてないだけで起きてるからね。しかも野生の魔獣なら寝てても近づいてくる気配には気づくんだって。」
優剛からテーブルの下で食事をしているハルは見えないが、ドヤ顔をしている確信があった。
「それに僕は初めて戦場に行く訳だし、タカの面倒は見れないよ。」
「俺の事は気にしないでくれ!絶対に旦那を守るから!」
「駄目だって。万が一にも死なせたくない。」
俯くタカに優剛が優しく告げる。
「僕が居ない間はタカに麻実と真人を守って欲しい。ここに居る僕の大事な家族を守って欲しい。お願い出来ないかな?」
パッと顔を上げたタカが優剛と見つめ合う。そして、口を開く。
「旦那・・・、俺・・・命懸けで守ります!」
「うん!よろしくね!」
そんな会話を聞いていたテスがボソっと小声で呟く。
「マミ様とマコト様なら、あんたが守られる側じゃん・・・。」
テスの呟きが聞こえていない優剛が口を開く。
「トーリア、戦場に必要な物って何?」
「武器と防具に食糧でございます。」
「じゃあ、明日にでも行けるね。」
トーリアは少し考える素振りをしてから口を開く。
「はい。ユーゴ様の場合は、いつでも準備万端の状態でございます。」
「旦那は戦士の鑑だな。」
「うへへ。」
「しかし、飛行屋を突然休むのは少々酷です。明日の午前中は営業して出発は午後にして頂けないでしょうか。」
「はーい。」
誰も戦場に行く優剛を心配しない。優剛の非常識さはここで働いている者が1番よくわかっている。何処に行っても優剛が死ぬ場面は想像出来ない。
どんな絶望的な状況を想像しても、優剛が鼻歌も交えて軽々突破してしまうイメージしか出来ないのだ。
万の軍勢に優剛が囲まれる。
百でも千でも通常であれば絶体絶命ではあるが、優剛が空高く飛び上がって巨大な大岩が万の軍勢に降り注ぐ。地上からの攻撃は遥か上空に居る優剛には届かない。豆粒よりも小さく、高速で飛行する優剛を目で確認するのも難しい。
色々な絶望的な状況の想像を終えたアイサは、首を左右に振って食事に戻る。優剛と戦う事になる相手が可哀想という感想しか出なかった。
他の面々も同じように首を左右に振って食事に戻る。みんな似たような感想を持ったのだ。
その日の夜。
ベッドに腰かけた優剛に麻実が問いかける。
「大丈夫なの?」
「・・・大丈夫・・・じゃないかな・・・。ほら。」
優剛は麻実に小さく震える右手を見せる。
「まだ戦場に行ってないのにこれだよ?」
「行かなきゃ良いじゃない。」
「僕は悪魔を知らない。ラーズが足止めされてる悪魔の戦闘力を知らない。1人なのか、複数なのか。ラーズと悪魔の力量差。実際に僕が逃げ回るようになった時の為に、今の内に見に行かないといけないんだ。もし、化け物だったら見つからないように逃げ回らないと・・・。」
優剛の言葉を黙って聞いていた麻実が優剛の横に座って口を開く。
「うーん。言ってる事はわかる。でも、1番の化け物は優剛だと思うから心配は無いと思うけど?」
「・・・なんか酷くない?生まれたての小鹿みたいに震えてる僕に化け物は酷くない?」
「震え止まった?」
「漫画やゲームみたいに、冗談を言えば止まるとかないから。」
優剛は震え続ける右手を麻実に見せて口を開く。
「ハルも居るし大丈夫だよ。ハル様に助けてもらうさ・・・。」
「ハルちゃん強いもんね。」
麻実はバシバシと優剛の背中を叩いて激励する。麻実も優剛が死んでしまう想像は出来ないが、震える優剛が少し心配は心配である。
優剛が怖がっているのは未知の悪魔の他に、戦場で人を殺す事にも怯えている。痛めつけるのではなく、命を終わらせる行為。殺した相手に家族や友人、恋人が居ないとは限らない。戦場だから殺して良いのか。正当防衛だから殺して良いのか。相手の立場に立って考えれば、殺された事に変わりはない。関係者の全員が納得して優剛を許す事などありえない。
残された家族や恋人が優剛に直接復讐出来なければ、残された方の想いを知れと言って、優剛の家族や友人に復讐するかもしれない。
優剛は考えれば考えるほど怖くなるが、1番大切な家族を守る為に優剛は戦場に向かう。例え他人の命を奪う行為が必要になったとしても、優剛は優剛の守りたいものを守る為に、戦う事を決意する。
「それじゃあ行ってくるね。」
「お帰りをお待ちしております。」
非常に眠そうな優剛とハルが使用人たちに見送られて上空に飛び立つ。
優剛の服装は1度しか着ていないTシャツにズボンとロングコートだ。謎の素材で作られたこの服は、魔力で覆われると下手な金属よりも硬く頑丈になる。
ただの布だけで作られた着物だけを着て戦場に行くほど、優剛は平和ボケしていなかった。最低限の防具を身に着けて戦場に向かっている。
優剛の背中にはハルが尻尾を使って巻き付きついていて、前回馬車の中で寝ていたハルは、改めて異常な速度での飛行に驚いていた。
『ねぇ、速すぎでしょ・・・。』
『やっぱ速い?自分でも速いとは思っているんだよね。』
優剛は褒められたと感じで気分よく魔力通信で返答したが、すぐに物騒な言葉が返って来る。
『私、いつユーゴに勝てるかな・・・。』
『止めてよ!ハルに負ける日が来たら、僕の腕や足が切り落とされてそうで怖いよ!』
『寸止めする。・・・たぶん。』
『やっぱ怖いよ!』
その後もギャーギャー騒ぐ優剛のお腹にハルの尻尾の先端が押し付けられる。
切れ味鋭いブラックテイルドラゴンの長い尻尾が優剛に巻き付けている。その先端も槍のように鋭く尖っている。その先端で優剛の腹を軽く突いているのだ。
『尻尾でお腹をチョンチョンするの止めてよ。巻き付いてるだけでも怖いのに。』
ハルが尻尾に力を込めれば人間の身体など簡単に切断出来る。先端で突けば簡単に穿つ事も出来る。しかし、優剛にやっても苦しむだけで切断は出来ないし、穴も開かない。
少しイタズラしても優剛は壊れないのだ。
その後もハルは優剛で遊びながら退屈な飛行の旅を続ける。優剛に飼い主の威厳など無いのである。
王都の上空を通り過ぎてからはおやつ休憩を挟んで北西を目指し、かなり進んだところで優剛が尋ねる。
『ハル、匂いとかで戦場ってわかる?』
『わから・・・、たくさん血の匂いがする。』
すぐに優剛は進むのを止めて空中浮遊の状態でハルの言葉を待つ。優剛も嗅覚を強化すれば遠くの匂いを嗅ぐ事は出来るが、数多くの匂いから血の匂いの識別が出来ない。
『もうかなり近いと思う。あっち。』
ハルは尻尾の先端を器用に動かして、優剛に行先を示す。
『了解。ありがとね。』
ハルの示した先に少し進んだ優剛は、上空から戦場を見下ろす事が出来た。
「・・・うわ。」
思わず声が出てしまったのは戦場での負傷者や死者が、視力を強化した優剛にはハッキリ見えてしまったからだ。
初めての戦場。初めて見るリアルな死体。初めて見る四肢の欠損や大きな傷に、必死の形相で戦う人間と悪魔。それらを見た優剛の身体は自然と震えていた。
『大丈夫?』
『帰りたい。』
優剛は心配して声を掛けてくれたハルに正直な気持ちを話す。優剛の身体に巻き付いているハルが、優剛の震えに気が付かない訳が無いのだ。
大きく息を吐き出した優剛が再び戦場に視線を戻して観察を始める。
戦場の状況。兵の種類。悪魔の戦闘方法などを観察する。そして、友人であるラーズリアを探す。
(人間側が押されてるな・・・。個別の兵力では悪魔が上。戦い方は身体能力で押し切る感じだな。魔術による遠距離も人間と同じで少数か。しかし、悪魔側にどう見ても人間が混じってるのはなんでだ?ハーフ?)
悪魔側で戦っている見た事も無い生物に混じって人間が戦っているのだ。その人間たちは悪魔たちと並び立ってこちら側の兵に攻撃を加えている。
『ねぇ、参戦するの?』
『・・・むぅ。』
尻尾の先端をウネウネさせながらハルが優剛に尋ねる。しかし、遠くから見ただけで震えている者が、死屍累々の戦場に降り立って戦えるのか不安しかなかった。
ハルにとって命を奪うのは生きる為に必要だった。食べる為、身を守る為に命を奪って生きて来た。街に来てからは命のやり取りは無くなったが、濃密な訓練が課せられている。
今の自分は遥かに強くなっている自覚もある。目の前の兵たちが全て自分に挑んできても退ける自信がある。試してみたいという気持ちも僅かに芽生える。そういった気持ちをハルの尻尾がウネウネ蠢いて語っているようだ。
悩む優剛を鼓舞するかのように角笛の音が鳴り響いた。その音を合図に人間側が大きく退いていき悪魔側の兵たちが大きく吠える。
『逃げた。』
ハルの解説が無くても優剛は理解している。人間側が退却したのだ。
しかし、優剛は逃げる人間たちの背後に追撃を掛ける悪魔の群れと、遠距離から魔術や弓矢が、逃げている者の背中を襲っている光景から目が離せない。
敵に背を向ければ討たれるのは知識としては知っていたが、実際に目にすれば違った感想もある。
呆然と見続けた優剛の前では、追撃を止めた悪魔たちが雄叫びをあげている。そして、生きている者を見つけては殺したり、装備を剥いだり、拾ったり、負傷者を後方に運んだりもしている。
陽が傾いていく中、悪魔たちは集まって陣形を整えていく。逃げた人間たちも同じように陣を作って悪魔たちに備える。
それぞれの陣には多くの篝火が灯されて戦闘は一時休戦になる。
視界の悪い夜では双方に犠牲が多く出る。既に田畑がある地域まで進攻した悪魔たちは、人間たちを足止めに注力している為、夜戦をするのはリスクが高く、兵力の無駄である。
上空から両方の陣を見ていた優剛が、人間側に向かってフラフラと下降を始める。
『とりあえずラーズを探すね。』
ハルからの返事は無い。既につまらなそうな表情で尻尾もしっかり優剛に巻き付いている。
(情けない飼い主でごめんよ。)
『情けないとは思ってない。』
(エスパーですか!?)
心を読まれて動揺する優剛を無視したハルから告げられる。
『やる時はやる。それがユーゴ。』
『はは。ありがとね。』
例え優剛が恐怖で震えていてもハルは優剛を信じているし、根拠もある。
優剛と初めて出会った時も少し震えていた優剛を見て楽勝だと思った。しかし、結果はレイと同時に襲い掛かって惨敗。
初めて見る敵が怖いのはハルも同じだが、自信と経験から恐怖は克服出来る。
しかし、戦いの経験が無くても、優剛は誰にも負けないとハルは確信している。少し震えているくらいはハンデにもならない。
ハルは全身ガチガチに震えている優剛が戦場に行っても、全ての敵を虐殺して無傷で帰って来る優剛しか想像出来ないのだ。
ハルの気持ちを優剛が理解した訳では無いが、強い信頼を持たれている事は自覚した。そして、大きく息を吐き出した優剛の震えは止まっていた。
人間たちが陣を構えている場所から離れたところに着地した優剛は、歩いて陣に向かっている。空から降り立てば襲撃と勘違いされて、攻撃されるかもしれないからだ。
単身で無傷の男が陣に近づけば誰が見ても怪しい。すぐに見つかった優剛は脅しているかのような詰問を受ける。
「貴様!どこの所属だ!名を名乗れ!」
「優剛です。所属は・・・ラーズリアかな?」
優剛の服装はローブコートにTシャツにズボンで武器は携帯していない。いつも着ている着物だったら、即捕縛対象であったが、今の優剛は魔術士に見えなくもない。
異世界基準では細く小さな身体も魔術士としての判断材料にもなっていた。
しかし、ラーズリアは王国最強の魔導騎士である。その部隊に所属している者は全員がエリートで猛者だ。例え魔術士でも鍛えられた肉体と武器の扱いにも精通している。
さらに正規の部隊は揃いの防具を身に着けており、魔術士であってもローブや革鎧が必ず支給されている。
傭兵をしているハンターチームや単独で参加しているハンターであれば、服装や武器は自由である。しかし、それでもハンターを指揮している部隊があり、所属もそこを名乗るように徹底されている。
結果、正規の防具も身に着けていない優剛がラーズリアの部隊という言葉は明らかに不審であり、ハンターだとしても所属が名乗れない者や違っている場合は不審者だという結論になる。
「貴様、悪魔か!?」
「待って下さい!1回ラーズに確認しましょう。そうしましょう?僕はここから動きません!」
優剛に詰問している兵は3人。既に抜剣されて切っ先は優剛に向けられている。優剛は両手を挙げてペコペコ頭を下げる。
「背中の魔獣はなんだ!?」
「うちの子です。可愛いですよ。」
優剛は肩に顎を載せているハルの頭を撫でる。気持ち良さそうに目を細めているように見えるが、目を閉じているだけである。
ハルにとってこの状況は、人間の子供が風船の棒を持って威嚇しているのと大して差が無い。
大きな声で優剛に詰問を続ける兵たちの周りには、騒ぎを聞きつけた者たちが集まって来る。やがて優剛は取り囲まれて、兵たちは優剛を殺すか捕えるかで相談を始める。
「怪しすぎる。殺そう。」
「情報を持っているかもしれない。捕えて拷問するべきだ。」
「背中の魔獣は見た事が無い。近づけば攻撃してくるかも。」
ギャーギャー騒がしい空間に、騒ぎを聞きつけた少し上等な防具を身に着けた者が馬に乗ってやってきた。
「お前たち騒がしいぞ。」
素早く敬礼した兵たちは上官のような男が、乗っている馬で優剛まで行きつけるように人垣が割れる。
「貴様、何者だ。」
「優剛です。」
「所属・・・ん?ユーゴ?」
優剛の名に引っ掛かるものを感じた彼は、ブツブツと優剛の名を繰り返し口から紡ぎながら首を傾げて思案する。
「ユーゴ!?ユーゴ!きさ・・・貴方がユーゴ!?」
何を思い出したのか優剛を見つめながら、優剛の名前を連呼した。名前を連呼された優剛は恥ずかしそうにしながら口を開く。
「そんなに何度も呼ばれると恥ずかしいですね。」
「おい!誰かすぐにラーズリア様に知らせろ。ユーゴが来たと言えば良い。ユーゴ・・・さん。少し待て、下さい。」
優剛は「はい」と返事をしながら頭を軽く下げる。
彼は実際に優剛を見た仲間たちから優剛の印象を聞いている。
穏やか。細い。小さい。服が変。弱そう。しかし、実際に模擬戦をした幸運な仲間たちが言っていた。
ユーゴ様は化け物だ。見た目や態度で判断するなと。国が滅ぶと言っていた奴も居た。
自分の目の前に居るこの弱そうな小さな男が優剛だとは信じられないが、聞いている優剛の話と一致している事が多すぎる。
立ったまま自分の言う通りに待っている優剛が怒りださないか常に不安だったが、十数分という途轍もなく長く感じる時間を待った。
そして、人が走るとは思えない速さで走って来た男が息を切らして、人垣の外から馬に乗っている男に告げる。
「ユーゴさんはそこか!?」
再び人垣が割れて優剛と走って来た男の視線が交わる。優剛は見覚えなかったが、走って来た男はしっかり優剛を覚えていた。彼はラーズリアの部隊でも指折りの隊員で、優剛と模擬戦が出来た幸運な者の1人であった。
「ユーゴさん!すぐにラーズリア様のところにご案内します!」
「はい。お願いします。」
優剛の目の前に高速で駆け寄った男は、背筋をピシっと伸ばして敬礼しながら優剛に告げた。圧倒された優剛は返事をしてから黙って男の後に続いて歩いた。
優剛たちの去った後にはザワつく兵たちが残された。優剛の噂を知っている者は周囲にどういう人物なのか説明する。
大魔術士優剛。彼は傍若無人で傲慢。気に入らない者は空高く打ち上げて殺す。しかし、すぐに反論の声があがる。
大魔術士優剛。彼は布を身体に巻きつけたような簡素な服装で、魔獣と同じように巨大な荷台を牽き、魔獣と同じ速度で走って荷台を牽く。その巨体は2mを超える。
もはや何が真実なのかわからない。次々に出て来る優剛の噂はどれも現実味が無く、とても先程の男とは思えないものばかりだった。
しかし、共通して言えるのは優剛が大魔術士である事。現在の劣勢をひっくり返せる戦力である事だ。彼らは祈った。先程の弱そうな男が優剛である事を。負け続けている自分たちに勝利を届けてくれることを。
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