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第19話 ハ号作戦 後編

1月11日


マレー半島シンゴラ


~独立連合艦隊第1海兵連隊~


「隊長、全部隊準備完了しました!」


兵士の報告を受け詩織は頷くと、


「全員乗車!皆行くわよ!」


そう叫び、詩織自身も20式戦車に乗り込み、前進を開始した。


「全部隊ちゃんと付いて来てる?」


詩織が無線機に尋ねると、


『大丈夫です。陸軍さんの一式半装軌装甲兵車と九三式中戦車もしっかりと着いて来ています』


「そう。各車、周囲の警戒は怠らない様に!」


『『『『『『了解!』』』』』』


詩織がそう命令し、陸軍と独立連合艦隊海兵隊の混成部隊は順調にジットラに向かって進軍し、ジットラの少し手前で停車すると、斥候(スカウト)部隊を出した。


『隊長、此方スカウト01応答願います』


「此方加藤。スカウト01如何したの?」


『敵戦車隊を隊長達から1kmの所に確認しました。数は・・・約100と言った所でしょうか・・・戦車兵が車内から降りていてお気楽ムードです』


「了解。スカウト01は現在位置から離脱して我々と合流して下さい」


『了解しました。現在位置から、離脱します』


スカウト01はそう言って無線を切った。


「橋島、全スカウトにも撤収命令を掛けて。全スカウト合流後に敵戦車隊に向けて奇襲を掛けるわよ」


「了解。全スカウトに告ぐ。偵察活動を中止し、本隊に合流せよ。もう一度繰り返す。偵察活動を中止し、本隊と合流せよ」


橋島が全斥候(スカウト)部隊に撤収の連絡を入れてから数十分後、全スカウトが戻って来たのが確認され、再び全部隊は独立連合艦隊海兵隊を先頭にして、敵戦車隊目指して進み始めた。




「敵戦車発見!あれは・・・マチルダⅡ!全車両に告げる。敵の車両は【戦場の女王】よ!丁重に女王様のお相手をしてやりなさい!」


『『『『『『了解!』』』』』』


40両の20式戦車と12両の24式戦車は増速し、マチルダⅡに向かって行った。





~イギリス陸軍 第1戦車師団~


「ジャップだ!ジャップの戦車が突っ込んで来るぞ!」


突如突っ込んで来る日本軍の戦車に驚いたが、イギリス軍戦車兵も素早くマチルダⅡ歩兵戦闘車に乗り込み、迎撃の態勢を整える。


「全員良く聞け、情報部の話だとジャップの戦車はブリキ缶で主砲も57mm短砲身だそうだ!落ち着いて各個撃破しろ!」


因みにこの隊長が言った戦車の情報は、日本軍が連合国軍を油断させる為に盛んに流したブラフで、詳細は史実の九七式中戦車を写真付き(戦艦瑞樹の図書室に所蔵してあった物)で流していた。


「ジャップの戦車何かこのマチルダなら敵じゃないぜ!」


「あぁ!奴らの戦車の装甲厚は最大25mm。マチルダの2ポンド砲で余裕で撃ち抜ける厚さだ!」


「早く来てみろジャップ。上手く料理してやるぜ」


これから自分達を襲う不幸を知らずにイギリス軍戦車兵達は日本軍の戦車を待ち構えていた。


「敵戦車だ!目標2時の方向・・・ファイアー!」


「喰らいやがれ!」


ドン ドン ドン ドン


待ち構えていた全マチルダⅡが各自で狙いを定めていた戦車に向かって2ポンド砲を発射する。


ガキーン ガキーン ガキーン


イギリス軍戦車兵達が自分達の砲で撃ち抜けると楽観視していた日本軍の装甲は予想に反して、自分達の2ポンド砲弾を弾き飛ばした。


「なっ何だあの戦車は!?奴らの戦車は、ブリキ並みの装甲だから2ポンド砲でも撃ち抜ける筈じゃないのかよ!?」


徐々に見え始めた日本軍の戦車のシルエットにイギリス兵達は少なからず動揺していた。それもそうであろう。イギリス兵の目の前に居たのは情報部が手に入れた写真の様なちゃちな戦車では無く、角ばったフォルムを持ち、自分達よりも大きな口径を持つ戦車だったからである。


「落ち着け!もう一発喰らわせてやれ!次弾装填。うt・・・」


グワアァーーン


次の弾を撃つ暇も無く、次々とマチルダⅡは撃破され、被害が拡大していく。




~20式戦車 隊長車両~


「敵戦車2両目撃破!」


「次、2時の方向!う・・・」


ガキーン


詩織が「撃て」と言おうとした瞬間、自分達が狙いを定めていた戦車が早く砲弾を放ち、詩織達が乗る20式戦車に命中させた。


「くっ!全員怪我は無いですか?」


「「「大丈夫です」」」


「良かった。目標変わらず、撃て!」


ズドオォーン


詩織の命令で、20式戦車搭載の60口径125mm砲が火を吹く。


グワアァーン


125mm砲弾の直撃を受けたマチルダⅡは砲塔が吹き飛び、炎上する。


詩織達20式戦車と24式戦車が敵を撃破して行くなか、九三式中戦車も換装された65口径85mm砲を撃ちながらマチルダを撃破していく。


ドドオォーン


マチルダⅡが放つ2ポンド砲よりも大きな衝撃が近くに着弾した。詩織が周囲を確認すると、4両のチャーチル歩兵戦車が此方に向かってきていた。


「24式戦車3、6、8、10号車、奴等を仕留めなさい!」


『『『了解!』』』


詩織がチャーチル歩兵戦車を射程に捉えている24式戦車に指令を送る。


指令を受けた24式戦車は砲塔をチャーチルに合わせると、


シュッドオォーン シュッドオォーン


グワアァーン グワアァーン


砲身を蒼白く光らせ砲弾が発射されるのと同時に重装甲を誇るチャーチルが吹き飛んだ。


「戦艦の艦砲射撃を見ているけど、やっぱり凄い威力ね電磁投射砲は・・・」


「隊長、敵戦車隊後退して行きます」


「この機を逃すわけにはいきません!全車追撃!」


マチルダばかりか重装甲を誇っているチャーチルでさえもいとも簡単に破壊されたのを受け、イギリス軍は恐慌状態となり、前線を放棄し、慌てて後方へと逃げ始めた。




「隊長、自走レーダー車から敵戦闘機が接近中!数30。接触まで後5分!」


「対空戦闘用意!21式自走高射機関砲、22式近距離対空誘導弾は準備に掛かれ!」


詩織の号令で、戦車隊の後方で待機していた87式高射機関砲の後継である21式高射機関砲と93式近距離対空誘導弾の後継として22式近距離対空誘導弾が発射態勢に移る。


「近SAM発射!」


シュバアァァーー シュバアァァー


空を睨んでいた22式近距離対空誘導弾が次々と発射され、敵機に向かって行く。


ドオォーーン ドオォーーン


近づいていた戦闘機は1機、1機、また1機とミサイルに捉えられて爆散して行くが、それでも数機の戦闘機が近づく、


「21式高射機関砲撃ち方始め!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドッ


21式対空戦車の90口径40mm連装機関砲が火を吹く。


ドオォーーン ドオォーーン


大量の40mm弾を喰らい、敵戦闘機は火達磨になって墜ちていった。


「全機片付きましたね。それでは、進みましょう」


再び、詩織達は進み始めた。





~独立連合艦隊 旗艦瑞樹CIC~


「長官、加藤師団長からの報告で、イギリス軍は現在の陣地を放棄。シンガポール要塞に立て籠もるようです」


小夜からの報告を聞き、


「やはり、立て籠もりましたか・・・艦長、航路をシンガポール島要塞に」


「了解。航路をシンガポールに向けます」


刹那の言葉に琴音は頷き、戦艦瑞樹以下8隻の戦艦と2隻の空母、12隻の駆逐艦はシンガポール島要塞に向かった。





~シンガポール島ケッぺル~要塞


「如何言う事だ!?マレー半島の防衛戦は、そう簡単には突破されないんじゃないのか!?」


シンガポール島ケッぺル要塞の作戦室で幕僚達にそう叫んでいるのは指揮官であるアーサー・バーシヴァル中将だった。


「そ、それが、ジャップの戦車は我々の戦車を赤子の手を捻る様に破壊し、敵部隊は全て機械化されている様であり、驚異の進撃速度で走破しています」


「くっ!シンガポール島とマレー半島を繋ぐ線路を破壊し、防衛線を強化しろ!このシンガポールは要塞だ。1日其処らで陥落する筈が無い」


「「「「了解!」」」」


そう言って、幕僚達が動き出そうとした時、1人の兵士が飛び込んできた。


「如何した!?」


「た、大変です!敵艦隊が此方に展開しています!」


「何!?」


バーシヴァル達が双眼鏡を使い外を見ると、8隻の戦艦がシンガポール島に向かって艦砲を向けていた。


「くっ!撃て、奴等を沈めろ!」


バーシヴァルが砲兵達に向けてそう叫ぶが、


「だ、駄目です。射程圏外に居るので、撃ったとしても当たりません!」


砲兵の言葉を聞き、他の手を考えていると、


「報告します!て、敵陸上部隊がシンガポール周辺に展開。重砲隊を展開させて此方に照準を合わせております!」


兵士の報告を聞いていると、上空から高速で飛行する敵機が大量の紙を落として行った。落された紙には、


『アーサー・バーシヴァル中将以下、イギリス軍シンガポール守備隊全将兵に告げる。貴官ら要塞は、完全に我が陸軍部隊、海軍戦艦部隊に包囲されている。我々は、今から30分後に猛烈な砲爆撃を敢行する。貴官らは武装解除した後、我々日本軍に無条件降伏せよ』


バーシヴァルはこの書面を読み、


「あれだけの戦艦と航空機、陸上部隊の砲撃を受けたらこのシンガポールは吹き飛んでしまうな・・・諸君、これで、我々の採るべき道は決まった。降伏しよう。敵陸軍部隊に白旗を掲げてくれ」


「・・・了解しました」


そう言って涙を流しながら頷く幕僚に、


「泣くな!最後まで、イギリス軍将校として誇り高くいよう!」


そう言い、幕僚の肩を叩きながら降伏する為の準備に取り掛かった。


それから10分後、武装解除の命令を受けたイギリス軍全将兵は日本軍に対して降伏した。降伏して来たイギリス軍を丁重に受け入れ、イギリス軍からもその丁重な受け入れを感謝されたほどだった。


刹那「作者さん、この頃戦闘の展開速すぎませんか?」


小夜「そうね、フィリピンもマレー半島も2話で終わっているものね」


こうすけ「文章をどこで切ったら良いか分からず書きすすめて言ったら、2話位で終わっちゃうんですよ・・・」


刹那「そうなんですか?」


こうすけ「そうなんです」


小夜「ご意見・ご感想お待ちしているわ」

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