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百合作品を創りたくなり、執筆を始めました。
語彙力無い部分が頻発しますが、そこはご容赦願いますm(_ _)m
雨が降ったらお互いの願いをなんでも一つ聞く。
だから私達は、雨が降る日だけ誰にも言えない関係になる。
「月乃、タオルで拭いて」
私はうさぎの頭にタオルを被せ、制服の上からぽんぽんと水気を拭き上げていく。
バケツをひっくり返したような大雨の中、いつもの場所。
うさぎの家まで全力で走ってきたせいで、私たち二人は文字通り頭から足の先までびしょ濡れの状態だった。
「こっちも」
濡れた靴下を脱ぎ捨て、すらりとした足を私へ向けてきた。
露わになった白肌を、廊下に足跡ができなくなるまで丁寧に拭いていく。
「拭いてあげようか?」
タオルを握る私を、うさぎがニヤリと覗き込んできた。
「いいよ、自分でするから」
私はその視線を冷たくあしらいながら、自分の濡れた制服や身体を拭き釘を刺した。
「それに、お願いは1日1回って決まりでしょ」
「ううん、今のはお願いじゃない。ただの提案」
「どーだか」
廊下に水滴が落ちていない事を確認してから、二歩三歩とうさぎの自室へと歩みを進める。
部屋に入り床に並べられた二つのクッションにそれぞれ腰を落ち着かせると、私はテレビのリモコンを手にして電源を入れた。
以前、途中で見るのを断念した映画が画面に映し出される。
「また、それ観んの?」
「続き気になるじゃん」
「いやいや、あたしホラー無理って知ってるでしょ」
「じゃあ観なきゃいいじゃん」
「いやいや、気になるし」
「ほらね」
うさぎは「もー」とぷんすか怒りながらも、持ってきてくれたお茶を机に置き、もう片方のクッションに座り直した。
その後、私は映画に釘付けになり、うさぎは漫画を読み始める。
けれど、やっぱり映画が気になるらしく、うさぎはチラチラと画面を見てはたまに「ヒッ」と小さな悲鳴を上げてびっくりしていた。
部屋の中に会話はない。
コップに入った氷が溶け、カランと涼やかな音を立てたとき。
私の膝の上に、柔らかな重みが乗っかる。
見下ろすと、うさぎが私の膝に頭を乗せてこちらを見上げていた。
「誰もいいよって言ってないんですけど」
「いいじゃん、続き気になるんでしょー?」
うさぎの手にはテレビのリモコンが握られていた。
私が何か言えば、すぐに画面を消されるか停止ボタンを押されるのは目に見えている。
「まあ、いいか…」
私は諦めて、そのままにすることにした。
しかし、まだ生乾きの長い髪が制服のスカート越しに膝へと伝わってくる。
じっとりとした湿度と、うさぎの体温。
お世辞にもあまり気持ちのいい感触ではない。
「ねえ。髪、乾かしてきなよ」
「自然乾燥派なんで」
「痛むよ髪。ってか湿ってて気持ち悪い」
「じゃあ、お願いしたら?」
「いや、そこまでは」
「勿体ないんだ?こんな事に貴重な一回を使いたくないんだ??」
ニヤニヤと意地悪く笑ううさぎ。
確かにその通りかもしれない。
でもそんな真意をこいつに伝えたくはないし、そもそも自分自身でもこの感情がどのようなものなのかよく分かっていない。
「そーいうのは、自発的にする事でしょ」
私は言葉をはぐらかし、コップを手に取ってお茶を口に含んだ。
「あっ」
不意に、膝の上のうさぎが素っ頓狂な声を出す。
「どうしたの?」と尋ねると、うさぎは私のスカートの隙間に視線を向けたまま言った。
「今日パンツ、青じゃん」
ぶっ、とお茶を吹き出しそうになりながら、私はうさぎの額に軽いチョップを一発お見舞いする。
「いたっ」
「おっさんぽい事言わないの」
「へへっ、ついつい」
うさぎは頭を押さえながら立ち上がり「んじゃ、髪乾かしてくるー」と言って部屋を出ていった。
一人取り残された部屋。
タイミングの悪いことに、映画はクライマックスを控え恐怖指数がマックスに向かって加速していく。
急に怖くなった私は、リモコンで音量を下げた。
耳を澄ますと、廊下の向こうから微かにドライヤーの音が漏れ聞こえてくる。
しばらくして音が止み、部屋に向かってくる足音が聞こえた。
ガチャ、と扉が開き戻ってきたうさぎは、自分のクッションを私のすぐ横へと引きずってきた。
そして二人で並ぶ形でぴったりと寄り添って座り込む。
「これまだ終わんないの?」
「そろそろだと思うけど」
「ねえ?さっき一人になったとき、怖かった?」
「まあ、多少ね」
私が素直に認めると、うさぎは「やっぱり~」と憎たらしく笑い私の肩をつついてちょっかいをかけてくる。
「あーもー、分かったから。はいはい」
肩をつつく手を払いのけると、「そーだ」と唐突にうさぎが立ち上がり、
テレビ画面を遮るようにして私の正面へと割り込んできた。
「え、なに…」と声を漏らした瞬間には時すでに遅し。
気がついたときには、互いの唇と唇の距離はわずか指3本分ほどにまで迫っていた。
ふいにはためいた金髪の奥、至近距離でバチリと視線がぶつかり合う。
「映画、見えないんだけど…」
「こーすれば、私が怖くないじゃんって考えた」
「いやー、あの…せめて見えるよう配慮はしてもらってもいいんじゃないかと」
「だーめ」
ひと時の濃密な沈黙が流れた。
うさぎが放つシャンプーとか香水とかいろいろ混ざった甘いの匂いと、かすかな吐息がダイレクトに肌に触れる。
うさぎは悪戯っぽく、だけどどこか真剣な瞳をしてゆっくりと口を開いた。
「月乃、お願いしなくていいの?」
「お願いって…何を」
「いいの?」
「わ、私は…」
外の雨は止むことなく、むしろその勢いを増していく。
窓を叩く激しい雨音と、テレビから流れるホラー映画の悲鳴が二人きりの特別な部屋を鮮やかに彩っていた。




