1.5 選択
切り離し成功
そのまた3年後の10歳になった日。
メルの誕生日が分からないため、メルを見つけた日が僕たちの誕生日と近かったこともあり、誕生日は姉妹三人全員の誕生日として、一緒に祝うことになった。
ほぼ三つ子だね。
「本当に三人とも成長が速いわねー。」
「ああ、本当にな。子供が出来ると時が経つのが速く感じると聞くとはいえな。
これでまだ10歳だしな、知らない人だと外見さえ見なければ多分、普通に大人だと思われるぞ。」
両親が言ってる通りで、僕は当たり前として、ジルもメルも当然、体もそうだが、体よりも精神年齢の成長が凄まじい。
女の子の精神年齢は肉体年齢よりも一つ上だと聞いたことがあったが、この二人だと7とか8つ上だと言われても驚かない。
まぁ性格上、しゃべり方で子供っぽいところがある時もあるが。
「ベル、ベル。私って大人っぽい?みょうれいってやつー?」
「いや、ジル。妙齢は実際の歳とか見た目の話だからね。あとお母さんたちが言ってるのは、しっかりしてるってこと。」
「ベル。せいしんねんれいってやつだよね?」
「そうそう、メルはよくそんな言葉しってるね?」
メルはこの3年間でしゃべり方がすごく人間に近づいてきた。
性格も普通の女の子なので、もはや特殊能力を持った普通の人間だ。
「ちなみに、お母さんとお父さんはベルが一番しっかりしてるで意見は一致してるわよ?」
「そこら辺のお爺さんの話し相手になってあげてるとか言われても驚かないぞ。」
「えーっと、やっぱり街に行ってる回数じゃないかな?」
「それはあまり関係ないと思うわ。それなら街にいる子供たちがすごいことになるわ。」
そう、僕は街に行く時間が長い。
もしかしたら、月に街に行く回数は誰よりも多いかも知れない。
まず最初に勉強は速攻終わらせた。
もうすでに前世で習ったのが多いし、地理やら歴史やら魔法に関する習ってない問題も絶対王政を使えば、メモを使ってカンニングなんて余裕で出来るわけだ。
そのあと絶対王政にある体も使って剣術やらなんやらのスキルを総上げした。
(このときに同時に別のスキルを育てていたのが良かったのか、並列思考を獲得した)
そして僕は晴れて自由の身となったわけだ。
それがスライム娘として妹のメルを引き取った年の出来事。
でもちゃんと街に行った成果は出てる。
例えばお米にこの世界にあると分かった日には、行商人さんに、買って来たら全部買うと親の名前を使って指示に従い半年かけて帰ってきた行商人さんから買ったり。
親の名前を使う代わりに日本酒の作り方を調べて作ったりもした。
(半年黙っていた件も、お母さんはプリン、お父さんには刀をプレゼントして黙らせた。というか忘れさせた。)
知ってる?
日本酒って世界でも類をみない作り方で、「並行複発酵」って言うんだって。
実際に作ろうとしてみたら、お酒よりもお酒を作る設備を作る方が大変だった。
魔法がなかったら途中で諦めてたな。
刀は失伝している部分が多くて、街の鍛冶師さんに手伝ってもらった。
母「そして、今日から10歳のあなたたちに面白いお知らせがあります。」
父「お知らせというよりは提案じゃないか?」
母「いいのよそんな細かいことは。」
ジ「面白い提案ってなにー?」
ベ「そろそろ領主としてちゃんと仕事したりするの?」
メ「それは私たち全員で一緒に何かするってことですか?」
両親は功績を持った人に贈られる、名誉貴族っていう領地を持たないはずの貴族なんだけど、王都にいる、ある貴族に田舎領地を押し付けられたらしい。
それで領民もいるから最低限のことをしようと、お母さんが魔法やらで建物を建てて、お父さんが害のある魔物を倒して最後に税金を取らなかったりしたらすごく栄えたってわけだ。
試しに訊いてみたら周りの街の税金高すぎな。
母「そうね、まぁやるかどうかも、そして面白くなるかどうかもあなたたち次第ではあるわね。」
父「お前たち学校に行く気はあるか?」
ジ、メ「「学校?」」
母「それは私から言おうとしたのに!」
父「なんか、凄く焦らすような言い方してたから。ついな。」
ほう、これが学校イベントってやつだな。
ゲームのイベントなら回避は出来ないだろう。
まぁ、現実だから回避はもちろん出来るが、今回は色々と理由があるから行ってみたい。
……あれ?もしかして、巻き込まれるイベントじゃなくて、主人公が自ら行くタイプのイベント?
…………まぁイベントでも何でもいいや。
ベ「学校って10歳から行けるの?」
父「いや、違うな。」
母「10歳からじゃなくて、12歳位から入る子が多いわね。」
ここでお母さんが位と言っているのは、自分の年齢が分からない人が多いというだけでは無いだろう。
おそらくだが貴族が偽証やら権力でごり押しして入学させている。
…そう言ったことがまかり通るのは少数であることを願っている。
歳なんてステータス見れば分かるしな。
本人が認識してればの話だけど。
ジ「それってジルたちは入れなくない?」
父「まぁ、な? それは、あれだ。貴族の特権ってやつだ。」
母「年齢の偽証と権力でごり押しってことね。」
父「…子供にそんなこと教えるなよ…」
母「いいのよ、どうせいつか分かるから。」
ベ「そんなこと出来るの?お母さんたちは貴族として立場が低いって言ってたし。
そしたらもっといっぱい僕たちみたいなのがいると思うよ?」
父「お?ベルはやっぱり頭がいいな。
10歳でここまで来るともはや呆れるレベルだぞ? そもそもそういったことは教えてなかったと思うんだが。」
母「そうね、あそこの校長は頭が固くてね。
でも大丈夫よ、名誉男爵としてじゃなくて、ルイセントの守護神として、ここまで試験で点数取ったら学校に入れて下さいって話を通すから。
これをすると試験は受けさせてくれるんだけど、毎回あの校長はギリギリ届かないところを提示してくるって噂なの。
あなたたちは普通に満点取れるようなやつだしね。大丈夫よ。」
へー、その校長スゲーな、会った回数なんて少ない、もしかしたら無いかも知れないのにギリギリ届かない点数が分かるのか。
ジ「ねーねー、ベル。学校ってなんだっけ?」
ベ「えーっと、同じくらいの年の子供たちが集まって、色々な勉強をするためのところかな?」
母「そうそう、ちなみにあなたたちが行くのは王都にある王立学校ってところね。
他の学校に行ってもいいけど、あなたたちだとレベルが低すぎるわ。」
まぁ、仕事の手伝いなんて親がほぼやってないからそもそも無いし、ほぼ毎日勉強やら修練なんかしてたら、神童の子供なんて下手したら10歳で成人した人よりも強いかも知れないね。
ジルとメルは本当に偉いと思う。
その分僕が甘やかしてるけど、確実に普通の子供よりも頑張ってるからね。
父「で、どうだ?行ってみたいか?」
ジ「ジルは行ってみたーい!」
ベ「僕も行ってみたい!」
メ「私も、ジルとベルが行くなら行きます。」
母「やっぱりね、そう言うと思ったから校長先生には話を通してあるわ。」
確かに、この前ちょっと遠くに行ってくるって言ってどっか行ってたね。
ジ「おー、すぐに行けるの?」
父「すぐに行けるが、準備とか色々あるから速くても明日からだな。」
ベ「お母さんたちも行くの?」
母「ええ、正直に言うと保護者としてベルを出してもいいんだけどね?
ここには帰ってこないかも知れないから、この家をどうにかしないといけないのよ。」
流石に10歳で保護者は無いと思う。
それと家をどうにかするって、王都で家を買うってことかな?
それとも宿をとるか。
母「質問とかは行く途中に聞くから急いで準備してね。明日の朝に出発するわよ。」
じゃあ明日でルイセントとはお別れかな?
今のうちにお世話になった人に挨拶しに行こうか。




