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悲劇の主人公は悲劇のヒロインを見捨てられない  作者: 湯タンポ
王都 アークメリオス
33/35

2.15 符丁 Partベル?

Side:ベル


 今日は王都に最近新しくできた居酒屋に来てる。

 この居酒屋は冒険者ギルドでは、男はポンコツだけどかわいい従業員が、女は美味しいケーキが目当てで行くお店だと有名だ。ついでに安い早いうまいの三拍子揃ってる上に特徴があるからなかなか盛況だ。


「いらっしゃーい!」


 店主は褐色の肌に鉢巻をつけたお祭りの屋台にいそうな風貌をしていた。違う箇所があるとすれば後ろで縛った黒い長い髪がゆらゆらと揺れていることと、あまり筋肉質ではないところだ。


 実はここのお店、僕にとってはとても重要な場所だ。

 説明するのは難しいが、いわゆるゲームで言うところの一体ずつ個体値を教えてくれるおじさんと普通は覚えられない技を使用可能にしてくれるおじさんを融合したようなものか?

 ……わかりづらかったね。


 まぁ、取りあえず便利な場所だ。難点を言うとすれば隠語として置き換えをしなければならないところくらいだ。

 

 僕が店主のすぐ近くの席に座ると店主はいつもの事のようにチャーハンと餃子を置いていく。

 僕は常連だからね。


「お客さん。最近の調子はどうだい? この前お客さんの仕事は聞いたけどなかなか大変そうじゃないか」


 料理を作る手は止めずに店主が聞いてくる。

 ちなみに今の僕の姿はベルと上白豊葵の中間の姿で来ているため、年齢も容姿も居酒屋に来てもおかしくない格好をしている。

 それでも若いから目立つけど10歳のベルよりはマシになってる。

 ちなみにベルはうちの姉妹から来た依頼、『子供のお世話』という名のショッピングをして最中だ。


「それが前まで大変だったんだけど、最近従業員が俺含めて3人になってな? それで仕事が楽になるって思ったら増えた人数に合わせてが仕事がまた増えちまってそこまで前と変わってないんだよな。」


 意味としては従業員は同時に存在できる分身の数。仕事の量はステータスの意味だ。

 あ、そうそう最近は生まれてからずっと使ってきたスキルの『演技』と『魔力制御』と『成りきり』が進化したことでユニークスキルの『分身』が使えるようになった。

 僕の全身が魔力で出来てるから魔力さえあれば体がもう一つ作れるのでは? と考えていて、最近実現したのが『分身』だ。


 その上で『分身』と同時に所得した『並列思考』を使えば、あら不思議。ベルが二人になっちゃったってこと。


 ちなみに『並列思考』は現在レベル1で、レベル1で2人分の思考が出来るなら3人分を強制的にすればもっと早くレベルアップするんじゃね? ってことで3人同時で動かして負荷をかけている。


 あ、それと3人居るから戦力3倍! ってわけじゃなくて2つに分身すればステータスが2分の1の半分。

 つまりは通常時の4分の1になる。


 3つに別れればステータスは3分の1の半分の6分の1になる。

 つまりは○人分に分かれるなら一人のステータスは○分の1の半分になる計算だ。

 ただしどれだけ分身してもスキルは全て支障なく使える。

 並列思考の性能以上の三人分を無理矢理動かしている今は、かなり制度が落ちる。そのため、並列思考がレベルアップしたときに思考が3人分4人分と増えていくことが前提だが。


 処理能力やステータスの話は、さじ加減が難しくて、例えば夏休みの宿題があったとして、何人も分身を作ってやろうとしても思考が追いつかずにむしろ効率が落ちる。

 今度は並列思考が追いつく程度の数に抑えてやろうとしても、ステータスが下がっているのでそれよりも分身せずに魔法でペンを動かして並列思考で問題を解いたほうが早い。


 ただもちろんメリットが無いわけじゃなくてスキルや魔法の練習をするなら並列思考が追いつく程度の数で練習したほうが効率がいい。


 なら出来るだけ分身しといて必要な時だけ戻せばいいと思うかもしれないが、作るときと戻すときも条件があって、それがどちらも『10メートル以内』という条件がある。

 分身を作ってない状態のベルから上白豊葵の分身を出すならそれは10メートル以内にしか出せないし、どちらを残して分身を吸収しようとすると、10メートル以内に居なければそもそも吸収出来ないってことだ。


 取りあえず今は3人分の分身を出しているがこれからどうすらればいいのかもまだ分からない。


「で、来週はいつに来てくれるんだい? お客さんの仕事って不定期なんだろ?」


 店主は長い黒髪を揺らしながら笑顔で問いかけてくる。これも隠語だ。


「あー、月曜は新人が担当する予定だがまだまだ心配で俺がやってる。それよりも火曜が大変でな。今までも頑張ってきたがまだやらないといけないらしい。まだ予定は決まってないがな。水曜は先輩がやってる。仕事ぶりは好評らしい。木曜も俺だけどこっちも火曜と同じでまだ未定だな。金曜も先輩が頑張ってくれてる、土曜も先輩だな。日曜だけは全員が担当することになる。一番大変だからな」


 月は闇魔法、火は火魔法、水は水魔法で、木は風魔法、金は光魔法、土は土魔法、日は無属性魔法の意味だ。それ以外にあるなら「新人の趣味」として錬成魔法だったりを出して伝える予定だ。

 先輩はベル、新人は上白豊葵、俺は……どうしようか、この体の名前を決めてなかったな。

 『べ』と『か』からなにか作ろうか。

 べ……べ…ベリカにしよう。なんとなくの響き重視だけどきっと問題は無い。


「仕事の評価は、そうだな休日の先輩が一番良かったか?」


 休日は空間魔法だ。ちなみに祝日は分身、平日は並列思考だ。


「へぇ、そうかい。お客さんも頑張ってるんだねぇ」


「店主ほどじゃないさ」


 すると店主はウェイトレスをやっている少女に視線を向けながら言った。


「あの子は冒険者になりたいらしいんだけど良いスキルが無くてね。」


 店主は俺に対してスキルが少ないと言いたいようだ。


「知ってるかい? 世の中にはスキルを与えるスキルってのがあってね、付与スキルっていうらしいね、まぁほとんどは貴族に保護されたりしてるらしくてうちら平民には滅多に付与してくれないんだが、中には信頼出来る執事や護衛だったりに付与してくれるらしい。あの子もそんなことができれば良いんだけど如何せんミスが多くてね。

 あんたはどうだい? どっかにの家に奉公すれば付与してくれるかもしれないよ? ちなみにおすすめは公爵家のどれかだね。確実に付与スキルの一人は抱え込んでるよ。」


 へぇ、そんなスキルがあるのか。武器を鍛えるときに武器にスキルを付与する魔剣とかってのは聞いたことがあるけど人に付与出来るスキルか……


 よし、飯も食い終わったしそろそろ行くか。ベリカの行き先は決まってないけどまぁ、適当に一人旅してればなにか良いことでもあるかも知れないな。


「俺は出自が曖昧でな。やるとしても先輩か新人のほうがいいと思うぞ。ただ先輩は忙しいからな、まだ仕事が少ない新人なら行けるはずだな。今度勧めてみる。ありがとうな店主!」


「おう! また今度! 仕事終わりにでも来い!」


 上白豊葵で何処かの公爵家に仕えるまで来るなってことか……

 ステータスがほぼ一般人並になってるやつが貴族に仕える為に何をすればいいのか……執事でもやるかな。

 もうすでに一般人の6倍程度はステータスがあるって事ですね

 次回は豊葵回に戻ります

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拙い文章ですが、これからも読んで頂けると作者が喜びます。
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