第11話「言いたいことはわかった」「じゃあ――」「だが断る」
「な、なんで……」
「なんでも何も、どうして俺がおまえらの面倒を見ないといけないんだ。勘弁してくれ」
「俺ら不良をやめて、まっとうに生きることにしたんだ」
「それはいい心がけだな。頑張れよ」
言われてみると不良チャラ男3人組は全員ピアスもしていないし、制服も気崩すことなくしっかりと着込んでいた。
見える限りでは、変わりたいと言う気持ちは本当のようだ。
「それで俺ら、あんたみたいなカッケー男になりたいって思ってさ。だからまずはあんたの舎弟になろうって思ったんだよ」
なるほど、そういう理屈か。
そういや勇者をやってた頃にもいたなぁ。
魔王討伐の旅の途上で、ヤンチャする街の無頼者を軽くワカラセたら、子分にしてくれって言われたことが何度かあった事を、俺は思い出す。
「OK、お前らの言いたいことはわかった」
「じゃあ――」
「だが断る」
「う――」
俺がもう一度はっきりと断ると、不良チャラ男3人組は目に見えてしょんぼりとした。
まったく、そんな捨てられた子犬みたいな目をするなよな。
昨日、無謀にも俺につっかかってきた威勢の良さはどうしたよ?
「いい機会だから、俺から一つアドバイスをしてやろう」
「あ、アドバイスだって? なんだ? 聞かせてくれ!」
「自分の人生を他人にゆだねるな。それはかけがえのない一度きりの人生に泥を塗る最低の生き方だ」
「そ、それは……でも……」
「俺に憧れるのは勝手だ。だがお前たちにはお前たちの人生がある。人生はおまえたちが行き先を選ぶことができる長い長い一度きりの旅路だ。途中で軽々しく下りようとするな。他人の旅に加わろうとするな。それはお前たちの人生の否定に他ならない」
「う――……」
「もちろん俺はあんたたちに生き方を強要したりはしない。どう生きようが、他人の選択に人生をゆだねようが、究極的にはあんたたちの勝手だからな。俺はあんたたちの母親じゃない。あれこれ面倒を見る義理はない」
「――……」
「だが忠告はできる。自分の人生は自分のために生きるべきだ。これが俺からのアドバイスだ」
俺の話が終わると、
「す、すげぇ……」
「か、かっけぇ……!」
「やっぱマジやっべぇ!」
不良チャラ男3人組は、目をキラキラさせながら俺を見つめてきた。
ええっと、俺の話の意図は伝わっているんだよな?
「それともう1つ、これはこっちの話なんだが」
「な、なんだ?」
「お前らとつるんでると思われたら俺が迷惑だ。お前らはこの学校でそれだけのことをしてきた。不良というレッテルを張られたお前らと一緒に居ると、俺までそういう目で見られてしまうだろ?」
さっき昇降口でこいつらを見た他の生徒たちは、口をそろえて不良だと言った。
そういう風に見られている奴らとつるんで、俺のスローライフ高校生活にメリットなどあるはずもない。
「あ……」
再びシュンとする不良3人組。
ま、とりあえず素直な奴らってのはわかったよ。
イキっていただけで、性根までは腐ってはいない。
だからきっと俺の言葉はこいつらに伝わる。
俺はもう少しだけ語って聞かせることにした。
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