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私が最推ししているラスボス年下王子は、どうやら呪われているらしい  作者: As-me・com


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9/12

〈9〉些細な悩みかもしれませんが、私にとっては重要なことなのです

「────実は、真剣に悩んでいることがあるのですけれど。クロード様は女性の下着はセクシー派ですか?それともやっぱり清純派ですか?」


 本当なら今日はクロード様と一緒にお茶をする日ではなかったのですが、緊急事態だからと押しかけてしまいました。まぁ、なんだかんだと理由をつけてはほぼ毎日通っていますけれど。それにしても、お掃除したかいがあっていまや塔の中には爽やかな風が吹いている気がしますね。


 あの大掃除から1ヶ月、クロード様の生活はかなり改善されたようです。元々可愛らしかったお顔も血色が良くなり更に可愛くなられました。肌艶も良いですし、健康的な食事のおかげで少し身長も伸びたご様子ですね。そう言えばそろそろお洋服が小さくなる頃でしょうから、新しく新調しなくては……いっそお揃い?お揃いにしちゃいます?ペアルックとか、最高に萌え上がるのですが。


 まぁそれで、クロード様のお顔を見ていたらひとつ思い出した事がありました。それで、程よい甘みのお茶をひと口飲んでからつい気になっていたことを聞いてしまったのです。


 するとどうでしょう、クロード様は聞いた途端に「ぶはっ?!」と口に含んだお茶を盛大に吹き出してむせてしまいます。新しくやってきた使用人たちの仕事は完璧で、お茶も美味しいし汚れたテーブルクロスも瞬く間に片付けられていきましたが、クロード様ったらどうしたのでしょうか?



「げほっ、ごほっ……!な、なんの話だ?!」


「いえほら、今後クロード様が思春期に入られた頃にどんなアピールをしようかと考えていたのですが、どちらの路線で迫るのがいいかと悩みまして……。私としては清純系ドレスの下にセクシー系下着なんてのもギャップがあってよいのではないかと思うのですが、クロード様は逆の方がお好きですか?どう思います?」


「ど、どうもこうもあるか!家族だとか言っておいてなんで下着……そんなこと!いうわけないだろ!」


 もしかしてクロード様は女性の下着にこだわりはないのでしょうか?それとも、ヒロインがつけているならどんな下着でもいいとか?それはそれでなんだか悔しいですわ。


「だ、大事な話ってそんなことなのか?!」


「あら、そうでしたわ」



 そう言えば、今日はクロード様に「緊急で重要な話がある」と無理矢理押し掛けてきたのでした。機嫌の悪そうなお顔もまるで辺りを警戒してプンスカとしているハムスターみたいでとっても魅力的ですが、少しは打ち解けたと思っていたのにまだまだ心の鉄壁なガードを感じますわね。


「でも、これだってとても重要案件でしてよ?将来、私がクロード様のハートをガッチリ掴んでメロメロにするために研究あるのみ!と日夜がんばっ「早く本題に入れ!」……もう、クロード様のせっかちさん!そんな所も魅力的でお慕いしていますけれど、私だってたまには構って欲しいんですわ!」


「え?!かまうって、それは……」


「まぁ、それはさておき……実は優秀な人材を確保したのでこちらに出入りするお許しを頂きたいのです。こちら《《平民》》のタチアナ様とユーラリア様ですわ」


 パチン!と指を鳴らせばどこからともなくおふたりが姿を現しました。優雅な立ち居振る舞いで頭を下げるタチアナさまとユーラリア様は今日も完璧な淑女ですわ。


「タチアナと申します」


「ユーラリアと申します」


「今いる使用人たちはクロード様専属の使用人ですから、それとは別にこのおふたりを私の専属の侍女として雇いたいと思っておりますの。そうなるとどうしてもこの塔にも一緒に来ることになりますから、是非ともクロード様にご許可をいただきたいのですわ。……まぁ、すでに雇用契約の手続きは終わらせていますから今更解雇なんて出来ませんし、婚約者である私の傍付きとして連れてきますからぶっちゃけ中には入れるんですけど☆というわけで、よろしいですか?」


「僕の了承なんか取らなくても、全部自分で手を回して済ませてるんだろう?!」


「それはもちろん、クロード様のお手を煩わすわけにはいきませんもの。良妻と言うのは愛しの旦那様の為ならうんたらかんたら……それに、やはりクロード様が快く了承してくださったら嬉しいなって思ったんですもの。

 でも、どうしてもダメだとおっしゃるのなら……了承していただく為に説得するしかありませんわね。

 ご納得いただくまでトイレにもお風呂にも、もちろん寝室までご一緒に密着して手取り足取りじっくりと……」


「わ、わかった!なんでもいいから、だから!手をワキワキしながら僕に近づくなぁあぁぁっ!?」


 ズササササッ!と音を立てながらクロード様は傍に控えていた執事の後ろに隠れてしまいました。クロード様に懐かれてご満悦な様子の執事は「お触りは厳禁でございます」と静かな口調で私に忠告してきます。


「むむぅ……」


 塔に配備されている使用人たちはクロード様に忠誠を誓っていますが、ヘンリーの息もかかっています。私がクロード様に無理強いをするとすぐにヘンリーに報告がいって、またお説教されてしまうのですわ。下手をすればしばらく伯爵家で謹慎させられてしまいます。それだけは避けたいですのよね。


 とりあえずは、クロード様から正式におふたりを侍女にする了承を得られたので良しとしますか。


「もう!今日のところは我慢しますわ!でも、塔の中に私専用の部屋を作っていいってお約束は忘れてませんわよね?今日はその部屋を整えることにしますわ」


「それは、好きにしてくれ。この塔が過ごしやすくなったのは君たちのおかげだし、部屋はたくさん余っているから……」


「では、クロード様の寝室のお隣の部屋を……」


「1番遠い部屋だ!絶対に僕の部屋に近づくなよ?!」


「クロード様のケチ!」


 こうして、そんなまるで口喧嘩のようなやり取りをする日々が過ぎていったのでした。




 もちろん、“呪い”についても忘れてはいません。ですが、今は少しでもクロード様に穏やかな日常を過ごして欲しいと……そう思うのです。








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