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私が最推ししているラスボス年下王子は、どうやら呪われているらしい  作者: As-me・com


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14/14

〈14〉初めてのサプライズに心臓がキュンで死にそうです

「────ド様。クロード様!あのっ!自分で歩けますから……っ」


 あれからクロード様は険しい顔つきのまま私を抱え上げて無言で歩いています。この状況は私にとってはご褒美タイムですが、この顔つきを見るにどうにもクロード様が怒っているような気がしました。


 はっ!もしかして、私が重かったのかしら……?!


 その事実について否定したいところですが、心当たりはあります。いえ、あり過ぎます。だって私……少し太ってしまったんです!


 最近、いつも愛用しているドレスがなんだかキツいなぁと思っていたら……なんとバストサイズが2カップも大きくなっていたんです!しかもお尻まで少し丸く……!ウエストのサイズはなんとか現状維持出来ていますが、このサイズアップは私の心に大打撃を与えていました。普段は現実逃避してきたこの事実が、まさかクロード様のご負担になろうとは……!


 落ち込む私に、タチアナとユーラリアは「「成長期ですから、なんの問題もございません!」」と励ましてくれましたが、それがクロード様の好みかどうかとなれば話は別です。


 だって、クロード様は……“つるりぺたん”なヒロインが好きなんですもの!ゲームでのヒロインは二次性徴期前とはいえ、完全なる幼児体型でした。だからこその純真無垢な雰囲気と言うか、汚らわしい大人とは違う存在と言うか……。それを知っているからこそ、少しでもこの肉を減らそうと努力はしましたが減るどころか増える一方なので、思わず見て見ぬふりをしてしまっていたのですわ。しかも、今はクロード様的には(たぶん)薄着判定────あぁっ!よく見れば胸のラインがハッキリと出ているじゃないですか?!モコモコワンピースだからと油断していましたが、胸の部分だけはち切れそうになっています!寝間着だしまだ着れるからってサイズ直しをしてませんでしたわ!


 あぁぁ……これでは、クロード様が不機嫌になるはずです!


 王命で仕方なくなった婚約者が、年増な上にこんなに太っていては……やっぱり嫌ですよね。



「も、申し訳ありません!クロード様!!」


「……は?」


 私が思わず謝罪すると、クロード様の眉間のシワがより一層濃くなった気がしました。あぁぁぁぁ、やっぱり怒ってる!!だってほら、またモヤが出てきていますよ?!


「わ、私って……(体重が)お、重いですよね?!あと、その、実はずっと隠していたんですが、正直に白状しますと……クロード様と出会った頃より(体重が)とっても重くなってしまったんです!

 でもきっとなんとかしますから!クロード様はお嫌かもしれませんが、どうか、今すぐの婚約破棄だけは勘弁してください!!」


 今にも泣きそうになりながらそう叫ぶと、クロード様は深く深くため息をつきました。



「え、あれで隠してたつもりなのか?…………いや、確かにあなたは(好意が)重たいが、それが嫌というわけではない。それにもう慣れたと言うか、あなたが静かだと物足りな────ゲフン!と、とにかく、あなたはそのままでいい。今さらそんな事で婚約破棄なんてしないから心配するな」



 そう言って、私を抱きかかえる腕に力を込めるクロード様は咳払いをしながら優しい言葉をかけてくれました。


「クロード様……」


 そうよ、私ったらなにを思い上がっていたのかしら。だってクロード様は、作られた美より健康的な自然体が好きなんだもの。だってゲームのヒロインは完全な自然体でつるりぺたん体型だったのに、未来のクロード様はそれが愛おしいとおっしゃるはずなんですから。太ったから無理なダイエットをするなんて言語道断なんですわ。


 それからクロード様は私を部屋に運んでベッドに横たわらせてくれました。そして、いつの間にか現れたタチアナとユーラリアが無言で救急箱をクロード様に差し出してそのまま立ち去ってしまったけれど、クロード様は何も言わずに私の手首を手当てしてくれたのです。真剣な眼差しで私の左手首に包帯を巻くクロード様のお姿……これはまさにプライスレス!!


 そして……ふっと、クロード様と視線が重なりました。クロード様の綺麗な瞳にいつの間にか真っ赤な顔をしている私が映っていて、ご迷惑をかけてしまった事になんだか恥ずかしい気持ちでいっぱいです。


「クロード様、ありがとうございます……」


「いや……これはあくまでも応急処置だ。後で医者を手配するから」


「い、いえ、私はもう大丈夫ですわ!なにせクロード様に抱きかかえて頂けるなんてご褒美も頂きましたし、そのおかげで自己治癒力が上がった気がしますもの!ほら、もう治ったような気が────イタッ」


 恥ずかしさを誤魔化したくなって思わず包帯の巻かれた手をぶんぶんと動かすと、ズキッと鋭い痛みが走りました。ウェルド様の奴め、どれだけ力を込めていたのでしょうか。やっぱり腫れてしまうかしら?利き手ではないとは言え少し不便になるかもしれません。でも、クロード様にこれ以上ご迷惑をかけるわけにはいかないですし……。


 クロード様をどう誤魔化そうかと悩みながら「も、もう本当に大丈夫ですから……」とクロード様から視線を逸らすと、左手がそっとクロード様の手に包まれました。


 あ、クロード様の手がいつの間にか私より大きくなっています。少し前まで同じくらいだったはずなのに……。そんな事を考えていると、包帯の上からひんやりとした《《何か》》が小さな金属音をさせたのです。


「クロード様……これは…………」


「しばらく大人しくしているように……これはお守りだ。今のように手を振り回していたら失くしてしまうかもしれないぞ?」


 私の左手首に巻かれたのは銀色の鎖が美しいブレスレットだったのです。しかも小さなルビーが編み込むように散りばめられていてキラキラと眩く輝いているではないですか。


まるでクロード様の瞳のように綺麗なルビーに目が奪われます。



「はぁ……本当はいつものお返しにリゼル嬢を驚かしてやろうと思っていたのだが、どうも僕には向かないようだ」


「……今、ものすごく驚いていますわ……」


「……そうか。それなら、用意したかいがあったな」



 そしてクロード様は「誕生日おめでとう」と、私の額に唇を落とすと、優しい微笑みを見せてくれたのです。



 まさか、こんなサプライズが待っているなんて思っていなかった私にとって、20歳の誕生日は最高の幕開けとなったのでした。


 もう驚き過ぎて、心臓が爆発しそうです!クロード様は私をキュン死にさせるつもりですか?!








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