プロローグ
――ヴァルディア帝国中央記録局・編纂史より――
武器が人を選ぶ世界である。
選ばれた者は、その武器を使うことしか許されず、武器が離さぬ限り、手放すことはできない。
この特性を持つ武器は、総称して「アドラバースト」と呼ばれる。
確認されているアドラバーストは四つ。剣、鎌、弓、魔導書。
いずれも水色の水晶を宿しており、使用者の感情が高ぶったとき、あるいは武器同士が強く惹かれ合ったとき、水晶は赤く発光し、進化状態へと移行する。
記録によれば、アドラバーストは元来、魔族が人間を支配する目的で生み出した兵装であった。
しかし過去の大戦において、人間はそれらを奪い取り、以降は人々を守るための武器として用いるようになった。
これに激怒した魔族は、一定の周期で人間界に侵攻を開始する。目的は一つ――アドラバーストの回収と、その武器に選ばれた人間の抹殺である。
だが、選ばれた者たちはただ武器を手にするだけではない。
武器と心を一つにし、己の感情を制御しなければ、力は制御を失い、持ち主の命をも奪う。
実際、怒りに身を任せた者の剣は、味方をも巻き込み、戦場を恐怖に染めたという記録が残る。
また、武器を持たず戦場に立った者たちは、記録には残らずとも、口伝や噂として語り継がれている。彼らの勇気は、後世の戦士たちの教訓となった。
やがて、この世界に新たな戦いの兆しが現れる。
誰が、何のために、アドラバーストを手にするのか――
運命は、既に動き始めている。




