表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
限界社畜おじさんは魔法少女を始めたようです  作者: 蒼魚二三
フィールドワーク.4『限界卒論生大脱走! 締め切り間近の極限おしゃれコーデバトル!』
259/269

第255話 正義のヒーロー(女体化)が仲間になる②

 そうだった、騎士爵の貰い物で本題からそれていたけど、

 今のライブリさんは戦闘装備を全て没収されたうえ、

 実家から勘当されて傷心中だった。慰めなければ。


「あのあの、ライトブリンガーさん。

 今日は大事なものを届けてくれてありがとうございました。

 そのお礼にですけど、私にできることがあれば何でもお手伝いしますよ?」


「何でも……?」


「例えば……あの、あれ!

 このあと中等部一年組のみんなとパトロール配信をするんですよ!

 今のライブリさんって、特進コース生じゃないですか!

 私の指揮者になってくれれば、

 配信をお手伝いしてくれる人手が増えて大助かりだなぁって。

 ダントさんもそう思いませんか!?」


「おお! それめっちゃいいアイデアモル! 僕は大賛成モル!」


「でしょ!?

 ライブリさんは仕事熱心ですし、いろんなことに詳しいし、

 ちょっと抜けた部分がある私をしっかり支えてくれそうですし。

 は、配信を手伝ってくれませんか? なんて、えへへ」


 にっこりと笑うと、ライブリさんは目尻の涙を拭い、

 決めポーズらしき右手を上げて強く握りしめるポーズを取る。


「君の申し出を喜んで受ける……!

 俺は君の指揮者になり、配信活動に協力することを約束しよう!

 どんなときでも一緒に現場に出るぞ!」


「やったー!

 これからよろしくお願いします! 

 契約の握手しましょう握手! ほら!」


「うおおっ!? よ、よろしく……」


 私が彼(彼女)の右手を掴むと、彼は少しだけ頬を赤らめた。

 同時に、彼のエモ力が少し上がったような気がした。

 ともあれ、まずは一息。みんなでいちごジュースを堪能。


 その後、ライブリさんとダント氏の指揮者契約を済ませるべく、

 この待合所の隅っこに置かれた証明写真機に入る。

 指揮者になるライブリさんの個別写真と、

 コンビを組んだ私・ダント氏・彼の集合写真を撮れば、

 画面に「登録完了」と表示が出る。

 コトンと出てきた顔写真付きの「指揮者カード」を手に入れて、

 彼は指揮者の役職を得た。一緒に片手ガッツ決めポーズ。


「また正義の味方を名乗れるようになった!

 プリティコスモス、君の優しさに感謝する!

 全身全霊でサポートしよう!」


「えへへ、どういたしまして!

 じゃあフィールドワークに出ましょうか。

 中等部一年組を待たせてるんですよ」


「分かった!」


 ライブリさんは言葉がハキハキしていて元気なので、

 私まで釣られてやる気が出るなぁ。

 するとダント氏、ふわふわと飛んでライブリさんの頭に乗った。

 ライブリさんは「む」と驚いて静止する。


「夜見さん、僕いいこと思いついたモル」


「わ、どうしました?」


「これからライブリさんとペアで行動して夜見さんを支援するモル。

 雇ったバトルデコイ「ヘビィ―ガード」の武装を、

 ライブリさんと共有すれば、

 戦闘員が実質二倍になるモル」


「何!? 君たちはバトルデコイを雇っているのか!?」


 ライブリさん声がデカい。聞こえたのか、

 特進コースからコフィンの開く「ブシュウゥゥ……」という音が鳴り始めた。

 大学生らしき人の他、見たことのないクリスタル製のドローンが、

 待合休憩所に何騎も飛んできて、私たちを監視し始めた。


「ええと、ライブリさんはどうですか?」


「君たち魔法少女を支援できるだけじゃなく、

 共に戦えるなんてこれほど嬉しいことはない!

 ぜひ君の聖獣と行動させてくれ!」


「わ、分かりました。ライブリさんにも自衛用の武装は必要ですもんね。

 ダントさん、しっかりフォローお願いします」


「任せるモル! ライブリさん!

 僕と一緒にプリティコスモスのフォローを頑張ろうモル!」


「ああ! 共に平和な世を目指そう! 聖獣ダント!」


 秒で意気投合する男子二人。ちょっとだけジェラシー。

 やっぱり私みたいなおじさんよりも、

 若くて熱意のある男子の方がダント氏と息が合うのかな、とヘラりつつ、

 ほどほどで気持ちを切り替えて、

 ご迷惑をかけた特進コースの方々に手を振っておいた。


「すみません、お仕事の邪魔をしちゃいました。

 お気になさらず」


「――」


 すると特進コース生、すべてを理解した表情で立ち去り、

 監視ドローンも光学迷彩らしきものを起動し、姿を消した。

 いや、監視はやめないんかいと思いつつも、

 それが彼らの仕事なので諦めるしかないかな、とため息。

 すると立ち去ったはずの特進コースの大学生が足早に戻って来る。

 その手には名刺と、「月読ストリーミング部門」という部署名が乗っていた。


「すみません。新入生の西園寺ライナさんと、九条霧夜さんですよね。

 私どもは特進コースのライブ配信部門で、

 パトロール配信を計画的に行い、月読生徒会に報告する業務をしています。

 特進コース内で何か不足しているもの、

 作戦立案での悩み、必要な人員があれば、監督補佐の私に申し付け下さい」


「わあ、ありがとうございます……」


 私が名刺を受け取ると、ダント氏とライブリさんが代わりに名刺を返した。

 そして二人と握手をし、監督補佐を名乗った生徒は今度こそ去っていく。

 ライブリさんの上のダント氏は、ペタンとしながらぼやいた。


「すごいモル。秒で媚を売りに来たモル」


「期待の(ホープ)である魔法少女プリティコスモスに、

 元公爵家の俺と、西園寺家の名字襲名まで揃ったんだ。

 期待も大きいだろう。何より、彼らから助けを求める気配がした」


「助けを求める気配……!?」


 す、すごい。ライブリさんはそんなものを感じ取れるのか!


「頑張らないとだめですかね!?」


「いや、自然体でいこう。

 気負いすぎると疲れて失敗しやすい。

 ダントもそう思うだろう?」


「そうモル。夜見さんは自然体の方が可愛くてバズるモル」


「えへへ、ならまだ頑張らなくていいや」


 私はほどほどに力を抜いて頑張ると決めた。

 ともあれ、特進コースでやるべきことはなくなったので、

 中等部一年組に「合流しまーす。今どこですかー?」とメッセージ。

 一階のマジマート付近で待ち合わせすることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あとがーきいもー がきいもー 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
ライブリの新装備をコスモス装備とお揃いにすると効果アップする?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ