18 魔力が回復する温泉にいこう
汗でびっしょりのツミキちゃんがこちらに戻ってきて、コーチが今日の訓練はここまでにしましょうと私に言った。
「ツミキちゃん、その手に持ってるチケットはなんですか?」
「これ???温泉のタダ券!!☆☆」
弾ける笑顔でタダ券2枚をじゃーん!と掲げて見せてくれた。
疲れてるから嬉しいけど何故?と疑問を感じる私に対してコーチは、そうかと納得した声をあげる。
「ティコの湯です〜!!奏さんははじめて行きますよね!
ここの温泉は魔力を急速に回復する効果があって、消耗が激しいと感じたときに入るんです!!!このフィットネスはティコの湯と提携を結んでるんでフロントにタダ券を置かせてもらってるんですよ〜〜!」
「え…ティコの湯って、私の住んでたところにもありました…!!
そんな効果があったんですか」
私は驚きの声をあげる。
ティコの湯は全国のチェーン店だったので私も行ったことがあった。いわゆるスーパー銭湯みたいなもので、そんな魔法少女ばかりが集まるような場所では無かったように記憶している。
いろいろ考えた末に、フィットネスや魔法省3階のように鍵をかざないと入れない場所があったのかもしれない、と思い至った。
「ま、行ってみたらわかるよん☆」
「あーー待ってください!!!いかないで!!
まだ次回の予定決めてないですーー!!!」
ツミキちゃんに手を繋がれ今にも走り出さんとしている私の腕をコーチが掴んだ。
しゅんとしつつも大人しく待っているツミキちゃんの汗を拭う姿の横で私の次の訓練日が二日後に決まる。
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ティコの湯につくと、ツミキちゃんは私の想像通りに鍵をかざして入口を抜けた。
見た目は普通のよく見るスーパー銭湯だった。
座敷でくつろいで漫画を読んだりアイスを食べたりしている人たちが全員魔法少女であること以外は見たことのある光景だ。
「お風呂はいりに来ましたーー!!!!☆☆」
「ようこそいらっしゃいました!」
髪をきゅっと一つにまとめてお団子にした浴衣姿のお姉さんがツミキちゃんの笑顔に応えるようににっこりと笑ってタダ券を受け取った。
「ご利用方法はご存知ですか?」
「もちろん☆☆この子には私から説明しちゃうから大丈夫っ!
いこ!かなでっち☆」
「はい!」
両手で小さく手を振ったあと丁寧にお辞儀したお姉さんに私もお辞儀を返すと、二人で脱衣所に向かった。
そして今、二人ゆったりと大浴場で湯に浸かっている。少し温めの湯は気持ちいい。
なんの成分なんだろう、にごり湯というものだとは思うが白くない。緑色をした濁った透明度の低い、とろっとした肌触りが滑らかな湯だ。
周りをぐるり見渡すと、説明書きを見つけた。
「この温泉には、自然派が調合し開発したハーブが使われています…
物理派が素手で切り出した、魔力回復作用のある岩を浴槽として…………え、素手…?!」
「ねー!それすごいよねぇ!!!」
隣に座るツミキちゃんが岩の浴槽をつつきながら目を輝かせる。内側は綺麗に加工されているが、たしかに外側はボコボコ殴って削り出した後があった。
なんて物理的な技術なんだろう。自然派の調合ハーブにも興味はあったが、浴槽の情報に全ての関心が持っていかれた。




