16 はじめての戦い
久しぶりの投稿です。
「さっきのとおりに攻撃を交わしながら、余裕があれば技を打ってください!ステッキを振りながら技名を叫べば発動します!!!」
知っている技はmeteorぐらいだが、きっとどうにかなるはずだ。私は魔法少女だから!
コーチが宝石を掲げて -deformation- と叫ぶと宝石は手元を離れて強い光を放つ。目を背けて数秒後、しっかりと前を向くと昨日見た化け物が唸り声を上げていた。
「あ……どうしよう、…大きいし怖い……」
先程までの自信は何処へやら、いざドロモスを目の前にすると演習だとわかっていても足がすくんだ。ドロモスは上から威圧するようにこちらを睨み黒い影を飛ばして攻撃してくる。
怖くてもやらなくちゃ。
一、二歩後退りしてから少し俯いて、震える手でステッキを握り直して後方へ高く跳ぶ。
空間を広く見て隙と立ち回り方を探った。
「あの子……ほんとに才能あるなぁ……
新米さんのはずだけど…、うーーん、意外とゲームとかで覚えたりするのかな〜……」
部屋を出たコーチはモニター越しにまじまじとその様子を眺めていた。
高いところからドロモスを捉えた奏は着地後にあちらこちらを走り回ってハムスターの様にすばしっこい動きで背後を取ろうとしていた。
キョロキョロと忙しなく無駄な動きは多いため戦い慣れてないことが明白だった。しかし何年か経験を積んだ前線の魔法少女とさほど遜色ないほどに視野が広い。いや、異様に動体視力がいいのだろうか。常に敵との距離や攻撃範囲、空間全体の状況を把握しているようだ。
「ほっ……!っうわわ!!」
まるでドッジボールでもするかのように慌ただしくばたばたと飛び跳ねながらビーム攻撃や波動弾を避け続ける。それでいてドロモスの目線はチラチラと確認している。
まぁ、範囲攻撃がほとんどである宇宙派の技で敵の背後をとる必要性が必ずしもあるのかと言われると微妙ではあったのだが。
自身の技の特性をきちんと理解させたほうが良さそうだな、次は座学を組もうか、コーチがそんなことを考えていると奏はついにドロモスの背後を取ることに成功したようだった。
「 ーmeteorー 」
ステッキをツミキちゃんよろしく大きく振りかぶった奏は大きな声で呪文を唱えた。
あまり広くは無い範囲にパラパラと燃える星屑が散っていく。隕石が広範囲に勢いよく落下するのを想定していたであろう奏は困惑している様子だった。
「あんまり、魔法攻撃力は高くないみたいですねぇ……うわわわだめだめ!!」
奏が焦ったようにmeteorを乱発しはじめた。
コーチは慌てて部屋に入って「そこまで!!」と大声を出した。
「もう記録取れたからおっけ〜です!
魔法を使いすぎるとバテて死んじゃうから今みたいなのはダメなんですよ!!」
「ごっ、ごめんなさい!!」
私がワタワタとステッキをしまうと、星屑はキラキラと消えていった。コーチに退室するよう促され、部屋を出てモニターを見ると彼は一撃で偽ドロモスを仕留めて元の宝石に戻していた。




