第47話「家族の完成形と、“これからの人生設計”」
朝・水上家
「……ほんと、落ち着いたな」
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水上颯太は三つ子の様子を見ながら呟いた。
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颯、桜、桃佳。
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以前のように泣き続ける時間は減り、今はそれぞれが声を出し、反応し合うようになっていた。
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「もう“赤ちゃん”って感じじゃなくなってきたね」
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桜井桃華が笑う。
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颯太は頷く。
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「人間になってきたな」
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桃華は吹き出す。
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「言い方」
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安定した生活の“完成”
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朝のルーティンは完全に固定されている。
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* 子どもの準備
* 朝食
* 大学準備
* スケジュール確認
* 家事分担
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もはや“調整”ではなく“システム”だった。
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阿利佐がリビングに入ってくる。
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「今日も問題なしね」
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颯太が笑う。
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「平和すぎて怖いくらいだな」
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午前・ふとした会話
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桃華がノートを閉じる。
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「ねえ」
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颯太が顔を上げる。
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「ん?」
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桃華は少しだけ真剣な顔になる。
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「この先の話、ちゃんと考えたことある?」
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颯太は少し考える。
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「この先?」
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桃華は頷く。
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「子どもたちが大きくなったらとか」
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「仕事とか大学のその後とか」
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颯太の答え
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颯太は静かに言う。
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「正直、そこまでちゃんと決めてない」
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桃華は少し笑う。
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「だよね」
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颯太は続ける。
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「でもさ」
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「今の延長線でいいんじゃないかって思ってる」
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「急に別の人生になるわけじゃないし」
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桃華はその言葉を聞いて頷く。
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“設計”という考え方
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桃華はぽつりと言う。
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「私たち、ずっと“その場で作ってきた”よね」
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颯太は頷く。
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「最初から設計図なんてなかったしな」
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桃華は少し笑う。
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「でも今は、設計図描けそうな気がする」
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午後・日常の一部
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買い物帰り。
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ベビーカーを押しながら歩く。
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通りの風は穏やかだった。
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桃華が言う。
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「昔の私から見たら信じられないよね」
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颯太は笑う。
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「そりゃな」
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「でも今の方がしっくりきてる」
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桃華は少し驚く。
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「そう?」
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颯太は頷く。
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「無理してない感じする」
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夜・家族の時間
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子どもたちが寝る。
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リビングに静けさ。
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桃華はソファに座る。
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「ねえ」
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颯太が隣に座る。
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「ん?」
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桃華は少し考えてから言う。
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「私たちの人生ってさ」
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「途中で全部変わったよね」
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颯太は頷く。
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「変わったな」
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桃華は続ける。
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「でも、悪くないよね」
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颯太は即答する。
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「むしろ今が一番いい」
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桃華は少し笑う。
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「それ、言い切るのすごいね」
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颯太も笑う。
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「事実だしな」
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“これから”の輪郭
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静かな夜。
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窓の外は変わらない。
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でもこの家の中だけは、
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確実に“完成形に近づいている”。
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桃華が小さく言う。
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「じゃあ、これからはどうする?」
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颯太は少しだけ間を置く。
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そして言う。
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「守りながら、増やす」
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桃華はその言葉を反芻する。
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「守りながら、増やす……」
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夜の締め
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三つの寝息。
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家族の中心。
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桃華は静かに微笑む。
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「いいね、それ」
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颯太も頷く。
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「だろ」
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この家はもう揺れない。
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でも止まらない。
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