表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/58

第24話「暴かれる兆しと、選択の時」



昼・大学構内


「……桜井さん」



呼び止められる声。



振り返ると――



相沢玲奈。



その目は、真っ直ぐだった。



「少し、いい?」



断れない空気。



「……うん」



静かに頷く。




人の少ない廊下



「最近、体調悪いよね」



いきなり核心。



「……ちょっとね」



曖昧に返す。



「休学するって聞いた」



(やっぱり……)



完全に、嗅ぎつけている。



「うん、考えてる」



「病気?」



間髪入れずに来る質問。



「……まあ、そんな感じ」



嘘ではない。



でも、本当でもない。



「……」



玲奈は、じっと見つめてくる。



逃げ場がない。



「ねえ」



一歩、近づく。



「隠してるよね?」



その一言で、空気が張り詰める。



「……」



何も言わない。



それが、答えみたいなものだった。



「無理に聞く気はないけど」



少しだけトーンが落ちる。



「周り、気づき始めてるよ」



その言葉は、現実だった。



「……うん」



小さく頷く。



「でも」



顔を上げる。



「言えないこともある」



はっきりと言う。



その目は、揺れていなかった。



「……そっか」



玲奈は、少しだけ息を吐く。



「そこまで言うなら」



「もう聞かない」



意外な言葉。



「え……」



「でも」



少しだけ鋭くなる目。



「無理して倒れたら、意味ないから」



「ちゃんと休みなよ」



その言葉は――



責めるものじゃなかった。



ただの“心配”。



「……ありがとう」



自然と、そう言えた。



「じゃあね」



玲奈は、それ以上追わなかった。




(助かった……)



でも同時に分かる。



(ギリギリだった)




数日後



事務手続き室。



「こちらで大丈夫です」



差し出された書類。



休学届。



「……」



ペンを握る手が、少し震える。



(これで……)



“普通の大学生活”は、一旦終わる。



でも――



(守るため)



ゆっくりと、名前を書く。



桜井桃華。



「お願いします」



書類を渡す。



これで、決まった。




病院



「安静が必要です」



医師の言葉。



「三つ子ですし、負担が大きい」



「……はい」



「しばらく入院しましょう」



その一言で、現実が確定する。




病室



白い天井。



静かな空間。



「……ここか」



ベッドに横になる。



少しだけ、不安。



でも――



「守るためだもんね」



お腹に手を当てる。



小さく、笑う。




一方その頃



颯太の部屋。



静かな夜。



机の上に並ぶ、DVD。



その一枚を、手に取る。



「……」



画面の中には――



“斉藤もも”。



自分が、ずっと追いかけてきた存在。



「……すごいよな」



小さく呟く。



あの頃は、ただの“ファン”だった。



遠い存在。



触れることもできない人。



でも今は――



(隣にいる)



“桜井桃華”として。



そして――



“妻”として。



「……信じられない」



何度思っても、同じ気持ちになる。



再生ボタンを押す。



画面の中の彼女を、じっと見つめる。



真剣な表情。



(ずっと、これを見てきた)



憧れ。



好きという気持ち。



全部が詰まっている。



でも今は――



(それ以上だ)



ただの“推し”じゃない。



守るべき人。



支えるべき存在。



そして――



(家族)



「……俺、やばい人生だな」



少しだけ笑う。



でも――



その顔は、どこか誇らしかった。




病室・夜



スマホが震える。



【颯太】



「もしもし」



「桃華、大丈夫か?」



「うん、入院した」



「そっか……」



少しの沈黙。



「ちゃんと守ろうな」



その一言。



「うん」



迷いなく、答える。




“隠すこと”は終わらない。



でも――



“守ること”は、もっと強くなっていく。




二人の物語は、次の段階へ進んだ。


⸻ 


最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ