表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/32

閑話②(前編) 「先輩の秘密と、もう一つの夫婦の形」


了解。拡張版なしで、会話と心理を厚めにして続ける。



■撮影現場・控室


「お疲れ様です」


軽く頭を下げた先にいたのは、如月美咲だった。


柔らかい空気。


整った所作。


画面越しと変わらない“完成された清楚さ”。


「桃華ちゃん、久しぶり」


「お久しぶりです、美咲さん」


「今日一緒のシーンだよね」


「はい、ご一緒させていただきます」


「よろしくね」


その一言で、空気が仕事用のものに切り替わる。



■控室・撮影の合間


二人きりになる時間。


メイク直しの鏡の前で、美咲がふと口を開く。


「桃華ちゃんさ」


「はい?」


「最近、ちょっと雰囲気変わったよね」


手が一瞬止まる。


「……そうですか?」


「うん。前より柔らかい」


「それ、いい意味ですか?」


「いい意味」


美咲は鏡越しに笑う。


「なんか、余裕ある感じ」


「余裕……ですか」


「うん。前はもう少し張ってた」


桃華は少し視線を落とす。


「仕事のせいかもしれません」


「それだけじゃない気がするけど」


その言葉に、一瞬だけ空気が止まる。



■核心


美咲が横に視線を向ける。


「何かあった?」


軽い声なのに、逃げ道がない。


桃華は少し迷う。


でも、美咲の目を見て思う。


(この人なら、変に広げない)


「……実は」


小さく息を吐く。


「結婚しました」


一瞬の静寂。


だが、美咲の表情は変わらない。


「やっぱり」


「え?」


「そういう感じしてた」


「……どういう感じですか?」


「なんか、落ち着き方が違ったから」


美咲は軽く肩をすくめる。


「誰と?」


「一般の方です」


「そっか」


それ以上は踏み込まない。


その距離感が心地いい。



■逆告白


美咲が少しだけ椅子を回す。


「じゃあ私も言おうかな」


「え?」


「私も結婚してる」


桃華の動きが止まる。


「……え?」


「マネージャーと」


「えっ……!?」


思わず声が出る。


美咲はくすっと笑う。


「高村悠人って人」


「……あの現場の?」


「そうそう」


「普通に仕事してましたよね?」


「してるよ。仕事は仕事だから」


あまりにも自然な言い方。



■さらに続く話


美咲は水を一口飲む。


「このこと知ってるの、ほんと数人だけ」


「え、そんなに隠してるんですか」


「隠してるっていうか、出す必要ないから」


「でも、バレません?」


「バレないよ。バレるようなことしてないし」


軽い口調。


でも確信がある。



■子どもの話


美咲は少しだけ視線を落とす。


「あとね」


「はい」


「娘いるの」


桃華の目が少し大きくなる。


「……え?」


「いるよ。普通に育ててる」


「仕事しながら……?」


「うん。普通に」


あまりにも普通に言うので、

逆に現実感が薄れる。


桃華は思わず小さく言う。


「すごいですね……」


「すごくないよ」


即答。


「ただ、守るものがあるだけ」


その一言が静かに残る。



■沈黙


少し間が空く。


鏡の中で、二人の視線だけが交差している。


美咲が先に口を開く。


「ねえ、桃華ちゃん」


「はい」


「結婚してどう?」


少し考える。


嘘は出ない。


「楽しいです」


「うん」


「でも、難しいです」


その言葉に、美咲は小さく頷く。


「だよね」


「全部が簡単なわけじゃないです」


「そうそう」


美咲は少しだけ笑う。


「楽しいのと難しいの、両方あるのが普通」


その言葉で、桃華の肩から少し力が抜ける。



■続く会話


桃華が聞き返す。


「美咲さんは……どうして結婚、隠してるんですか?」


美咲は少し考えてから答える。


「守るためかな」


「守る?」


「仕事も、家族も」


「両方?」


「うん。どっちも大事だから」


桃華は小さく頷く。


「同じですね」


美咲は微笑む。


「たぶんね」



■もう少しだけ深い話


美咲がふと聞く。


「旦那さんって、どんな人?」


桃華は少しだけ迷う。


「……普通の人です」


「またそれ」


美咲が笑う。


「でもさ、その“普通”って一番難しいやつでしょ」


「そうかもしれません」


「一番安定してるって意味でもあるけどね」


桃華は少し考える。


「美咲さんのところは?」


「うちはね」


少しだけ間を置く。


「仕事ではしっかりしてるけど、家ではちょっと抜けてる」


「想像つきません」


「それでいいの」


軽く笑う。



■締めに近い会話


美咲が最後に言う。


「ねえ桃華ちゃん」


「はい」


「結婚ってさ」


「はい」


「隠すことじゃなくて、持ってるものなんだと思う」


「持ってるもの……」


「そう。見せるかどうかは別として」


その言葉に、桃華は少し黙る。


そして小さく頷く。


「……そうですね」



■控室の静けさ


スタッフの声が遠くで聞こえる。


撮影の準備が進む音。


その中で、美咲が立ち上がる。


「じゃあ、仕事戻ろっか」


「はい」


桃華も立ち上がる。


鏡の中で、二人の表情が“仕事用”に戻る。


でもその内側だけは、

さっきの会話のまま残っていた。


「桃華ちゃん」


「はい」


「無理しないでね」


「……はい」


短い言葉。


でも十分だった。


二人は控室を出る。


同じ方向へ。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ