5.2 図書館と古文書
「いや、俺が持ってるんじゃない。佐々木先生の『古文読解』スキルを借りるんだ。あの先生なら、きっとどんな文字でも読めるはずだ」
リリアは半信半疑だったが、金貨三枚という破格の報酬に惹かれたのか、結局、俺の提案に乗ってくれた。彼女は、俺のスキルシェアの可能性を、まだ完全に理解しているわけではないようだった。
依頼主は、街の図書館の司書だった。彼は、白髪の老齢の男性で、眼鏡の奥の瞳は、知的な輝きを放っていた。彼の周りには、古書の匂いが漂っており、彼自身が、まるで生きる図書館のようだった。
「お待ちしておりました、冒険者殿。この度、古王国の遺跡から、この巻物が発見されましてな。しかし、残念ながら、我々には解読できませんでした」
司書は、古びた巻物を俺たちに手渡した。巻物は、羊皮紙のような素材でできており、見たこともない文字でびっしりと埋め尽くされていた。文字は、まるで絵画のように複雑で、とても読めるようには見えない。その文字からは、遥か昔の時代の空気が感じられる。
「これは……本当に読めるんですか? 私たちには、全く読めそうにないわ」
リリアが尋ねると、司書はため息をついた。
「ええ、それが全く。我々も様々な学者に頼みましたが、誰も解読できませんでした。この文字は、古王国の最盛期に使われていた文字で、すでに失われた言語なのです。もし、貴殿のスキルが役立つのであれば、これほどありがたいことはありません。この巻物には、この世界の根源に関わる秘密が隠されていると、私は直感しています」
俺は、巻物を受け取った。ずっしりと重い。この中に、この世界の秘密が隠されているのかもしれない。そして、その秘密が、『影の盟約』の目的と繋がっているのかもしれない。




