3.3 迷子の少女の依頼
それでも、迷子の子供と聞いて、俺は放っておけなかった。地球にいた頃、幼い妹が迷子になって、家族中が必死に探したことがあった。あの時の両親の顔が、脳裏に焼き付いている。不安と、絶望に満ちた、あの顔。もし、この少女の母親も、同じような思いをしているとしたら……。俺は、その思いを無視することはできなかった。
「行こう、リリア。子供が迷子になってるんだ。俺たちにできることがあるなら、やるべきだ。報酬のためだけじゃない。助けられる命があるなら、助けたい」
俺の言葉に、リリアは少し驚いた顔をした後、小さく頷いた。彼女の瞳に、わずかな光が灯る。
「……そうね。私も、子供が迷子になるのは嫌だわ。わかったわ。行きましょう。でも、油断はしないで。東地区は、本当に何が起こるか分からない場所だから」
俺たちは、依頼主である少女の母親から、詳しい話を聞いた。母親は、ギルドの受付で、憔悴しきった様子で座っていた。彼女の顔は、涙と疲労で歪んでいる。少女の名前は「ミナ」。七歳の、明るい笑顔の女の子だという。母親は、涙ながらにミナの無事を祈っていた。彼女の言葉の一つ一つに、母親の深い愛情と、娘への心配が滲み出ていた。
「ミナは、いつも明るくて、元気な子なんです。まさか、こんなことに……。どうか、どうか、私の娘を見つけてください……」
母親の姿を見て、俺は改めて、ミナを必ず見つけ出すと心に誓った。金貨一枚という報酬は、もはやどうでもよかった。ただ、この母親の悲しみを、少しでも和らげてあげたい。その一心だった。




