2.3 ルナグラス採取の森へ
リリアは、思ったよりも口数の少ない少女だった。森に入ると、彼女はすぐに表情を引き締め、プロの冒険者の顔になった。その瞳は鋭く、素早く周囲を警戒し始めた。時折、彼女のふさふさとした耳がぴくぴくと動き、微かな音を聞き分けている。その姿は、まるで森に溶け込んでいるかのようだ。彼女の動きには、一切の無駄がない。
俺は、彼女のプロフェッショナルな動きに感心しながら、後ろをついていった。森の中は、相変わらず幻想的な光景が広がっている。青や紫の木々、発光する苔。昼間は夜とはまた違った表情を見せていた。木漏れ日が差し込み、森全体がキラキラと輝いている。しかし、その美しさの裏には、常に危険が潜んでいることを、俺は岩石狼との遭遇で知っていた。
「この森、昼間でも結構暗いんだな」
俺が呟くと、リリアはちらりとこちらを見た。
「ええ。それに、昼間でも魔物は出るから、油断は禁物よ。特に、この辺りは、あまり冒険者が来ない場所だから、強力な魔物が出る可能性もあるわ」
彼女の言葉に、俺は背筋を伸ばした。リリアは、俺の安全を気遣ってくれているのだろう。その優しさに、俺は少しだけ心が温かくなった。彼女は、ぶっきらぼうに見えて、実は優しいのかもしれない。
リリアは、時折立ち止まっては、地面に残された足跡を注意深く観察したり、木々の枝に触れて、その状態を確認したりしていた。彼女の「探索」スキルが、常に発動しているのがわかる。彼女の動きは、まるで森の動物のようだ。




