1.9 猫耳受付嬢と最初の依頼
ギルドの中は、酒場のような雰囲気で、木製のテーブルと椅子が並び、冒険者らしき人々が談笑したり、食事をしたりしている。壁には、様々な依頼が書かれた掲示板が貼られていた。どれも、魔物討伐や素材採取といった、危険そうな依頼ばかりだ。
受付には、猫耳の女性が座っていた。彼女は、ふさふさとした茶色の猫耳をぴくぴくと動かし、尻尾をゆらゆらと揺らしている。見た目は可愛らしいが、その瞳はどこか鋭い。彼女の指先は、書類を素早く捌いており、その仕事ぶりは手慣れている。
「あの、すみません。冒険者になりたいんですけど……」
俺が声をかけると、猫耳の女性はにこやかに顔を上げた。その笑顔は、まるでプロの接客のようだ。
「あら、いらっしゃいませ。初めての方ですね? 登録は無料でできますよ。ただし、最初の依頼は簡単なものからになりますが、よろしいですか?」
簡単な依頼なら、俺にもできるかもしれない。俺は頷き、指示されるままに登録を済ませた。名前を告げ、いくつかの質問に答えると、彼女は俺の手の甲に触れた。すると、手の甲に不思議な紋様がうっすらと浮かび上がった。それは、まるで皮膚の下から光が滲み出るかのように、淡く輝いていた。
「これは、冒険者の証です。これで、貴方も晴れて冒険者ギルドの一員ですよ。困ったことがあれば、いつでもギルドに相談してくださいね」
猫耳の女性は、にこやかに言った。
「では、最初の依頼ですが……これをお願いできますか?」
彼女が差し出したのは、一枚の依頼書だった。それは、薄い羊皮紙に、丁寧な文字で書かれている。
「『薬草採取:森の奥にある『ルナグラス』を五つ採取してきてください。報酬:銀貨三枚』」
ルナグラス。どんな薬草だか知らないが、森の中なら、もしかしたらスキルシェアが役立つかもしれない。岩石狼を倒せたんだ。きっと、大丈夫だ。
「やります!」
俺は意気込んで依頼書を受け取った。これで、俺もこの世界の住人として、一歩を踏み出したのだ。




