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『まっしー』がカードの話題を振った時、例の彼は慌てていたみたいだったから、『まっしー』に嫌われたくないとは思っているようだし、メッセージカードを見ずに捨てたりするとは考え難い。
多分『ペンタブ』さんの言う通り、彼はメッセージカードを失くしたか、見ても読めなかったのだろう。
彼は気まずくて、なかなか『まっしー』との距離を詰められないかも知れないけど、私がほんの少し『まっしー』の背中を押してあげれば、二人の仲は上手く行くのかも知れなかった。
もしそうなってくれたら、私も嬉しい。
私は弾む心に合わせて、いつもより少し語尾を上げて言った。
「後で友達に話してみます。ありがとうございました!」
「お役に立てて良かったです。そのお友達のことを随分気に掛けていらっしゃるようですが、よっぽど大事なお友達なんですね」
『ペンタブ』さんにそう言われて、私は少し考えた。
『まっしー』は友達だけど、親友レベルで仲がいいかと言うと、そこまでではないと思う。
私にとって一番気が合う子は、『まっしー』ではないし。
でもこういうことは、仲良しの程度とはあまり関係ないような気もした。
「大事って言うか、特別仲がいいって程でもないんですが、友達が幸せになれそうなのはいいことですし、それってちょっと嬉しくなりませんか?」
「……ああ、今凄く癒されました」
質問の答えになっていない上に、全く予想外のリアクションを返されて、私は全く訳がわからなかった。
この人は、やっぱりちょっと変わっていると思う。
「えーと、今の質問のどこに癒しの要素があったんでしょうか? 人として当たり前って言うか、特別なことは何も言ってないと思うんですけど……」
「いやいや、その当たり前ができない人も多いでしょう。『肉球ぷにぷに』さんは、癒しを感じるレベルでいい方だと思いますよ」
「はあ、どうもありがとうございます……」
私は困惑しながらも、とりあえずお礼を言った。
「癒しを感じる」なんて言われたのは初めてだし、私にそんなものを感じるのは、きっとこの地球上で『ペンタブ』さんくらいだろう。
漫画家なだけあって、『ペンタブ』さんは感性がちょっと独特なのかも知れなかった。
「そう言えば、次の合図は何にしましょうか?」
私がそう尋ねると、『ペンタブ』さんは言った。
「じゃあ、コーヒーカップにしましょう」
「わかりました。それじゃあ」
「はい、失礼します」
私は電話を切ると、早速『まっしー』にメッセージを送った。




