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神々の遊ぶ庭の裏山で遭難したら熊に襲われてしまいました  作者: おかわりいくら丼
始まりの譚
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第5話 交易路確保のための依頼

訪問ありがとうございます。

ようやくできました。

人物設定でかなりの時間を使ってしまい、更新が大変遅れてしまいました。

 アウェントカ領主の屋敷で、痩せたキツネ目の男が領主の到着を待っていた。フッシコッカの住民達が、アウェントカの町に移住したことに伴う、様々な対処を行うためである。

 アウェントカの領主は、領内の商人に均等に利益が配分できるよう、順番に様々な儲け話を提供していた。今回は、このキツネ目の男が甘い汁にあずかる番だった。


 暫くして領主が入ってきた。

「待たせたな。オフラ・ルイベ。」

「滅相もございません。ポクナモ様にはいつも目を掛けていただいておりますゆえ、こうして安定した生活を送る事が出来ております。出来ない事も致しますので、何なりとお命じください。」

「今回は、男3、女2である。男は一人金貨4枚。女は一人金貨6枚でどうだ?」

うけたまわりました。後ほど執事のチェシオ様にお渡しいたします。先ほど新たな領民をお預かりしました。男は既に銀鉱山に移動させております。女は製糸工場にて就労させております。」

「最近銀の質が落ちているとの報告が上がっている。アウェントカの銀細工は人気がある故、これ以上の質の低下は許さん。」

かしこまりました。このオフラ、肝に銘じておきます。それでは、失礼いたします。」


 アウェントカの領主、ポクナモ・イヨルンクは、執事のチェシオを呼ぶ。

「ポクナモ様。フッシコッカの地の件でございましょうか。」

「うむ。あのドラゴンを何とかしなければ、トマリの町からの物資が届かん。七星将で何とかならんか。」

「七星将でございますか。」

 七星将とは、いわゆる冒険者の集まりの一集団であるが、この世界にはギルドという組織がないため、冒険者たちは、各々集団を作り主に商人達の護衛や、熊や虎、魔物などの害獣駆除を主な生業としている。

 その中でも、この七星将は、仁義にあつい剛の者の集まりで、各人が持つ得物はかなりの業物であると言われている。数々の武勇伝を各地に残しており、雨が降らず渇いた土地には、一振りで地を割き水源を作り、長雨で苦しむ地には、一矢で雨雲を散らした。などの伝説は全土に広がっている。

「次は、サクサの番だな。大金貨25枚で。」

 それだけ聞くと、チェシオは深く頭を下げて部屋を出ていった。




 三日前にドラゴンの襲撃があり、フッシコッカの村が通れなくなったため、トマリの町からの物資が一切アウェントカの町に入って来なかった。

 アウェントカの商人の一人、サクサ・フラウェンは何度か冒険者を雇って、トマリからの輸送を試みたが、ドラゴンの瘴気と魔物の襲撃で、商隊は全て全滅し、大きな損失を被っていた。

サクサが領主に援助を求めに、屋敷に行くとチェシオから領主の命と大金貨25枚が渡された。

「七星将でドラゴンに対応せよ、とのことですか。畏まりました。すぐに手配いたします。」




 二日後、サクサの屋敷に七星将の、ウェイサン・スンプとポイチェン・ウィンクがいた。ウェイサンは投石を得意とし、ポイチェンは大楯が主な役割であった。しかし、二人は一度も戦闘に参加したことはなく、主に、依頼の交渉や報酬の受け取り。依頼対象の分析及び作戦の立案を担っていた。

「フッシコッカのドラゴンか。ドラゴンともなると、少なくとも大金貨になるが。」

「心得ております。此度は、21枚の大金貨を準備いたしました。ご確認ください。」

「確かに承った。準備がある故、出立は明日になる。」

 そう言って二人は、宿に戻っていった。


 宿に戻った二人は、今回の依頼内容を皆に説明していた。

「ドラゴンの襲撃により、人々が住処と生活を奪われたばかりでなく、近隣の町に物資が届かぬとは、人々の生活にも支障があるというもの。今回の依頼は、人々の厄災を払うと誓った我ら七星将の宿命と心得る。皆に異論は無いか。」

 リーダーであるアッテレ・ウェイカラが全員の確認を取る。

 皆一様に頷き、今回の依頼の同意を得た。

「では今回の依頼料、大金貨2枚を各自に配る。出立は明日になる故、各自準備を怠らないよう。」

そう言って、ウェイサンから渡された14枚の大金貨を、全員に2枚づつ配っていった。


 七星将のリーダー、アッテレ・ウェイカラは見事な髭を蓄えた熊のような大男であった。子供が大好きで、自慢の髭で時間を忘れて子供をあやす姿は、他のメンバーたちをいつも呆れさせていた。また、思慮深く、忠義に厚いその人柄は、多くの大人たちの心も魅了していた。手にする得物は、朱の柄の大太刀であった。先にある刃に青竜が描かれた、いわゆる青竜偃月刀である。その重さは、近衛兵が使用する一般的な大太刀の3倍の重さであった。石突きには鉄球が付いてあり、その破壊力を押し上げていた。


 アッテレ・ウェイカラの右には、隻眼せきがんの男が控えていた。名前をアッシク・ラメトと言い、リーダーのアッテレと同郷の男であった。アッテレを兄と慕い、自らをアッテレの盾と称していた。隻眼になったのも、盗賊が放ったアッテレの命を奪う一矢を、自らの目で受けたものだった。

 戦いでは常に一番槍を担い、仲間の攻撃が最大の効果を上げられるよう、敵を誘導することを得意としていた。アッシクの腰には藍色の光を帯びた刀身の朴刀。藍の雷刀が履かられていた。


 その右隣には、メチウ・エシカルが座していた。長身で恵まれた体格の偉丈夫で、凛とした佇まいは、周りの雰囲気を数段階押し上げ、空気までも浄化しているような存在であった。忠義に厚く、誠実なメチウは、ある町で発生した魔物のスタンピートに、二人で対応していたアッテレとアッシク達を助太刀し、沈静化させた時から行動を共にしていた。得物は、口金に蒼房が揺れる黒色槍で、その動きには一部の無駄もなく、大鷹が大空を舞うがごとく優雅であった。


 アッテレ・ウェイカラの左隣には、ウエンク・キルが居た。アッテレを凌ぐ大男で、十歳の時に、村の畑を荒らしていた巨熊を素手で退治したといわれている。その時の素材をガントレットとレガースに加工し、今でも愛用しているという。武の道を究めるため諸国を旅していた際に、単独で魔牛ゲシュトクゥの群れを相手にしていた。アッテレら三人が助太刀してくれたことにより、ゲシュトクゥの群れを壊滅することができた。それ以降、四人は同行するようになった。ウエンク・キルの得物は盤古斧ばんこふと呼ばれる大斧で、一振りで巨岩をも砕くと言われている。


 七星将最後の名は、トオサ・ピンネラウという白髪、碧眼へきがんの男であった。弓の名手で、二百歩先の魔物の目を射抜くほどの腕を持っていた。義をもって武を振るい、武をもって義を果たすことを信条に求道し続ける姿は、真の求道者であった。旅の途中に立ち寄った村で、アッテレら六人と知り合い、しばらく行動を共にした後、七星将の一人に加わることとなった。

 或る時、七人が立ち寄った村で、長雨をもたらしていた雨竜の髭をトオサの弓で射抜き、雨竜を追い払った伝説は広く知れ渡っている。トオサが持つ得物は、その時の髭を弦にしているこの世に二つと無い弓だった。名は万石弓まんごくきゅう。トオサの白髪が漆黒の弓を一層引き立てていた。




 料理屋の一室を借り切ったウェイサンとポイチェンは、ドラゴンへの対応について話していた。

「しかし、我ら二人が大金貨と金貨が5枚ずつ、他の奴らは大金貨2枚とは、ウェイサンもよくやったな。」

「な~に。悪事もばれたら悪事になるが、ばれるまでは、悪事にもならんわい。奴らは、民のためとか言っているが、もうそろそろ、俺たち自身でも楽しむ時期であろう。」

「奴らには、七星将として各地で伝説を作ってもらったし、そろそろ儂らの名前も知れ渡った。もう魔物退治も飽きたし、ここらが潮時じゃろ。」

 常にアッテレから見下され、相手にされてなかった二人のうっぷんもそろそろ限界に来ていた。


 こうして二人は、対ドラゴンに向けて、いかに自分たちの安全を確保しつつ、アッテレたちを陥れる(おとしい)かを遅くまで話し合っていた。




 河原で炉を壊し、中から出てきた鉄の塊を手にしたラムアンは

「あ~。これでまたタシロに鉄を鍛えてもらえるね。あ~。思っていたより此処の砂は鉄を含んでいたので、なかなか良い鋼が出来たね。」

「本当にそうだじゃ。長い間この村に住んでおっただじゃが、これほどの良質の鋼が採れるとは思わなかっただじゃ。それと、あの石炭じゃ。拠点の奥には、あとどの位の量があるのだじゃ?」

「あ~。あの石炭はマッセが見つけたんだけど、我々が使う分くらいならまだ有るようだね。」

「しかし、マッセは何でも見つけるだじゃな。」

 とそんな話をしていた時、マッセが走ってきた。

「なんか、物凄く強い男の気配が五人近づいているのであります。それから、犬でありますか?五人の気配が強すぎて良く分からないけど、犬っぽいのが二匹いるのであります。」

「あ~。多分七人の男だと思うね。五人は英雄と呼ばれている人物たちね。マッセが犬だと思った二人は残念な二人ね。あ~。たぶん、フッシコッカの村に居るドラゴンを何とかするように頼まれたのね。あ~。彼らに渡すものがあるので、サンペと一緒に行って、七人を連れてきて欲しいのね。」

「わかったのであります。」

 そう言ってマッセは走っていった。




 七星将を迎えるように、一組の男女が近づいてきた。フッシコッカの村人は全員避難し、周囲には生きている人間はいないという情報のため、七人はそれぞれ得物を構え、臨戦態勢を取る。ドラゴンの瘴気により命を絶たれ、その瘴気により魔物への変身してしまった村人と判断していた。

 突然近づいてきた男が叫んだ。

「私たちは、フッシコッカの生き残りです。私の名は、サンペ。隣に居るのは、同じく村の生き残りで、マッセと申します。ここで皆さんの到着を待っていました。」

 七人は同時に警戒を解く。男の名はサンペと言い、その目はどこまでも澄みわたり、人々に希望の光を与える力を持っていた。ウェイサンとポイチェン以外の五人は、その光の強さに圧倒され、無意識に膝を着き、臣下の礼をとりそうになっていた。

 ウェイサンとポイチェンは、サンペの隣に居るマッセの美しさに目を奪われ、服従の姿勢をとりそうになっていた。


「七星将の方々とお見受けいたします。この度のフッシコッカの村を襲ったドラゴンへの対応のため、ご尽力いただけると存じておりますが、いかがでしょうか。」

「いかにも、我らは七星将である。この度はアウェントカの商人に頼まれ、アウェントカ住民のため、物資輸送路を確保するために参った。先ほど貴殿は、我らを待っていたと申されたが、我らに何用があるのか。」

「ドラゴンの習性など、村の中のどのあたりを寝床にしているか、などの情報を提供させていただく所存であります。」


 拠点に移動し、ラムアンから、ドラゴン行動習性や、山からの風の動き、村の地形など、提供できる情報は全て提供した。

 七星将へは、サンペとラムアンの二人で対応した。

 最後に、ウエンク・キルから、他に生き残りは居るのかと聞かれたので、トマリの町の商人、サンシン・セタの双子が助かったとだけ伝えていた。

 サンペが明日のために、拠点で休むようにと提案したが、住処を追われ不便な生活をしている方の世話になるわけにはいかないと、固辞して拠点を後にした。




 七星将たちは、サンペからの情報を元に、フッシコッカの村に居ついたドラゴンの動きを観察しながら、各々の動きを確認していた。

 拠点を出る際に、ラムアンから瘴気に侵された鉄で打ち直した大楯を受け取っていた。普通の武器、防具は瘴気に侵されると、たちどころにボロボロになるが、この大楯は、素材に瘴気が含まれている鉄を使用しているため、瘴気の影響は全く受けないとのことだった。

 此度の作戦の成否は、この大楯の動きにかかっているということで、大楯担当のポイチェンは顔面を蒼白にして、今にも逃げだしそうな雰囲気を出していた。

次回ドラゴンとの死闘の予定です。


おかわりいくら丼。

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