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輪廻の雫 メビウスの環  作者: 石崎 大岩


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13.昔からずっとそこは

「寝たか…、ルイス・ルー・クラフトねぇ?ミドルネーム付きだから何かあると思ったが…まぁ何も無い事もないが、、まずは人払いか…」


キンッと吹く音と共にデバルトルの館で静かに傭兵が出現する


「…昼の奴…ではないが」


市場には様々な商人や冒険者が集まる、見た目は普通でも何が目的か、何を考え、何をしているか?

なんて魔法でも使わないと分からないだろう


皆が口を揃えて「盗賊もアンガットもあそこには居ないよ」と言う、確定した理由なんてものは無い、あそこは冒険者協会が管理してるからとか、腐ってもエンガット出身がそんな事しないだろうなんて理由だ


人の欲を舐めてはいけない


会話が聴こえてきた


たったそれだけの事で人は財宝を求めて法を犯す


「あったぞ」

「これは下に繋がってんだろ」

「よく見ろ2枚天井抜けてるぞ」


(三人、しかもエンガットの傭兵崩れ)

「まったく…先輩は悲しいぜ」


服装こそ商人、服装こそ冒険者、服装こそ協会員


ここまで根を張ってるのか、全員が禁止されている武器の携帯、どれもこれも人へ害を与える刃


「ロープは?」

「もってる」


「そっち見といてくれ、もし人来てなんか言われたら残置物確認に来たって言っとけ」

「こんな夜にか?」

「俺らが夜以外にやるかよ」


はっはっは、と笑いながら準備をする


三人は昔から居る傭兵に気が付く事もなく


デバルトルの館を訪れる


「傭兵としてではなくエンガットとして迎えてやろうか」



一人が下りるとすぐに戻ってくる

「おい…全員で行くぞ、どうやら人の手が入ってる」

「まじか?協会で何も説明無かったぞ」

「あの子供じゃないのか?」


三人はロープを伝い 下る 下る


かつて死神と誓約を交わした傭兵が待つ館へ





水路に入った三人は明らかに興奮した様子で

「すげぇ、これは確かに独り占めしたくなるな」


「その子供だけか?ここ知ってるのは」

「バレバレだったが知り合いは限られてる様だから口封じは楽だろう」


「お前ら得物出しとけ、こんな場所に住んでる奴同業かイカれた化け物だろ」



ルイスが歩いた道を静かに辿る

「…足跡は一人、だが帰りの歩幅がおかしい」

「何か持ち帰った?」

「というよりは…横を向いてた?」


「コウモリでも飛んでたか?」

「なら良いが…魔法でも何でも使えるように構えとけ、精霊でも居るかもしれん」



「子供だから見逃されたか」

「情報が少なすぎる」


三人は廃墟の静寂を守るように静かに進む


「これは…掃除板か」

「何百年前なんだ?」


興味は無い、ただの板だ


先には長い長い水脈


辿る 辿る 


「長くないか?」

「まだ時間はある」


先へ進むと少々広い空間へ出る、小さな劇でも行えそうな広さで床の端は何箇所か岩盤になっていて水路はそこへ向かって流れている


「地上でここはどこだ?」

「丘側の確か猟奇野郎の居室下か?」


身の毛がよだつ


「だとするとここは処刑場か?」

「なにも無いぞ、一度漁られてる訳では無いだろ?」


「しかし用途が分からん」

「この深さで鉄橋造りだぞ?」


協会員の姿をした男が「なにもないってことは…」なんて言うとき


カチ…いやもっともっと小さい微細な音が鳴った


「罠!」


三人で空間へ入って十歩進んだ


そして八歩戻った


間に合わなかった


通路を塞ぐのは重く太い青白い金属の柵


「溶かせ!」


冒険者の男が

手をかざすと魔法式から溶岩の蛇が柵に噛みつく


しかし一切熱が伝わらない


「これ!魔晶石です!」


「まずくないっすか!?」

そう言って商人の男が付近を確認する


人の通れる出入り口は一つ


自分達は確かに三人で入って誰も居ないのを確認した


「誰か居ます!」

「!?」


今は柵をどうにかしなければ、そう思っても振り向くことを止められない、今まで生きる為に最善と思った事をがむしゃらに突っ走って来た


将来安定だと噂のエンガットへ入団


公平に分配、公正に、厳格に、厳正に


それらをリスクと判断する


周りは文句言わない、みんな出来てる、従う


自分は?このままで良いのか?


途中で抜けるのは違法ではない


エンガットの技術を有した人物が法を犯す


人の急所、物流網の把握、戦闘時の行動原理、隠密術、日常会話での誘導尋問、高等魔法


頼もしく憧れの的であるエンガット師団が最も危険で人に恐怖を与える存在となる


エンガット出身の犯罪者を人々が「アンガット」と名づけたのはいつの頃だったか


「あぁ…昔はこんな状況に出逢いたくてエンガットに入ったんだっけか」不思議と三人はそう思った


傭兵は剣を抜き地面へ突き立てゆったりとした口調で淡々と述べる


「君達三名をエンガット旅団への名誉毀損の疑いが想定される為、義の誓約を有する私、死傭兵が君達エンガットを冠した三名を論告し同時に送致を行う」


三人は静かに傭兵を見つめる


「あれは…あの甲冑装飾は本庁で見たやつだ…」

「抵抗するなよ?あれが本人なら絶対逃げられない」

「生きてた?いや関係ないか…」


各々その場にゆっくりと膝を降ろす


「暫くは意思表示が制限される、何か言うことはあるか」


「いえ…なにも、、ただこの様な形ですがお会い出来たこと一生忘れません」

「私もです……私は記録で第七の顛末を知りました、不思議に思っているのはデバルトル様に何故貴方が忠誠を誓っていたのか?、冒険者協会へ潜入したのはその謎を知りたかったからです」


傭兵は少ない猶予を与え彼らに情報を明かす

「……のは事実で今は猟奇首領って言われてるけどな、、あれはメビウス教団の所有物だ」


「!」

「メビウス教団…どうりで」

「では!デバルトル様は濡れ衣を着せられて…!」


「デバルトルは悪いやつじゃないよ、お前らもしっかり反省してこい」



「ありがとうございます!」


三人が感謝を述べると周囲に光が立ち込めやがて赤い霧に包まれる


(行ったか…ひっっさびさにやったけどサマになるもんだな)


「だぁぁあ、まーじで…蓋したせいで実害出とるやんけ、アイス食いてぇ、カレー食いてぇ、焼肉行きてぇえぇ!、、、、さて馬鹿が開いた、馬鹿穴でも塞ぐか」


ルイスが空けた穴の修繕は難航し気付くと日が昇っていた


「いつの間に朝じゃねぇか!俺のアイスが!インドカレーが!」

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