10.キャラバン
情報が集まるのは何処だろうか?
酒場?賑わいを見せる広場?
はたまた暗い路地裏だろうか
そんなルイスの期待を裏切る事実
ここは商業的重要地点
つまり情報を集めるなら市場!!
ではなく…来たる祭事に多忙を極める中央施設である、ルイスは「一番大きい掲示板はどこ?」なんて聞いたばかりに商人の濁流に呑まれていた
ガヤガヤと喧騒が渦巻く
「君ちょっとどいて!」「おい!荷物のそばに立つな!」ガヤガヤ
「登録お済みの方々〜コチラです〜」「迷子か!?」「ちょっと聞いてた個数違うんだけど!?」ガヤガヤ
再び広場に戻る
「ルイスゥ?生きてるかぁ?」
へんじがないただのしかばねのようだ
「まぁあれは俺でもキツイわ、ああいった場所じゃなく情報が集まる場所……有るな、この状況でも適度に暇な場所」
「ヘへェ…?また行くのぉ?」
消え入りそうな声を絞り出すルイスをよそ目に連行された
「ここだったら大丈夫だろ」
連れて来られた場所は物流施設
「掲示板ないよ?」
「掲示がなくても内容を知ってる人が居れば得られる情報は同じだろ」
(妙に納得)
「でも忙しいのに話してくれるか?」
「そこでだな…」
傭兵が指を指すのは荷下ろし場所から
横の横の横の横の若い商人だ
荷馬車に腰掛けながら眠そうな顔でペラ…ペラ…と紙をめくり足を交差させる
「極めつけはスープが横にある!」
「おお!…とはならないけど、ふつうに休憩中だったらどうすんのさ」
「まぁ行ってみろって」
確信しているかのようにルイスの背中を押す
「こんにちは〜、あっちの大きい場所はなんであんなに忙しそうなんですか?」
「…忙しそうっていうかキャラバンの人混ざってるからだと思うん…」
ルイスの明らかに商人ではない風貌に若商人が気付くと
「あ~と、君は参加者?」
「参加?」
「アレ、あれはバハラ祭に行く商人と参加者を乗せるキャラバンがおんなじ窓口だから混雑してるの」
「あぁ!バハラ祭の!」
ルイスは納得した様子でもう一度窓口を見る
バハラ祭
隣国サハラが開催する大規模な祭り
国や人種を問わず混成される催しが1週間開催される、内容は場所で変更され今回のダリミス国では傭兵文化を踏襲した御前試合が目玉だ
「君は冒険者っぽいから参加かなって」
「ぽいって…これでも遺跡で、」
袖を捲くろうとすると
「ばか、やめろ」
傭兵が腕をガシッと掴む
「うおっ!なんだ!?あんた急に現れなかったか!?」
若商人が傭兵に驚いた様子にルイスは混乱する
「え?え?見えるの?この人?」
「どうも」
「あんたねぇ…隠密術か知らないけど心臓に悪いからやめてくれ…」
「すまんな、ところでバハラ祭ってのはなんだ?商人の知ってる範囲で良いから教えてくれるか?」
(あの紋章…どっかで…)
「あ~と、兄さんは騎士か?それなら多分俺より詳しいと思うんだが」
ルイスはニヤリと
「それがこの男世間知らずでね――イデ!」
(この感触はたんこぶくらいできたか?)
「遠い所から来たから知らないんだ、この餓鬼よりは商人してる人間のが知ってると思ってな」
「その子…ふらついてるけど大丈夫か?」
「大丈夫だ」
「あ~、まず今年のバハラは第三開拓地の近くに作った闘技場で御前試合をやるんだ、バハラの規模は凄く大きくて隣国からも沢山の貴族が来るから仕事とか宣伝に商人が集まる」
「なるほど、冒険者は御前試合に参加するって感じか?」
「そうなる、今回は主催のサハラから全身に宝石を埋め込んだ甲冑が景品になるとか、神との親睦が得られるとか、噂が絶えないが貴重な品ではあるそうだ」
(あぶねぇーー!)
「…しかし神まで噂に上がるのか」
「噂だけれど……」
そうしている内に荷物の準備が整ったらしく呼ばれてしまった
「参加するなら協会に行きなー!」
商人は手を振って去ってゆく
「バハラねぇ」
「本当に知らなかったの?」
「今はサハラ【国】らしいが俺の頃は獣人が採掘した宝石をエルフが搾り取る地域だったのだが、ずいぶん変わったもんだなぁ〜」
「そんな黒い歴史をしみじみ言われても…」
「行くか、バハラ祭」
「えぇぇ?闘技場でしょ?死んだらどうすんのさ」
「今のダリミスで死ぬような祭りして無いだろう、大丈夫だ」
「なんで前はあったみたいな言い方なのさ!」
ルイス達は市場を離れ冒険者が集う冒険者協会へ向かった
「俺はまた消えるから登録よろしく」
「なんでだ!」
ルイスの苦難は続くよどこまでも




