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第88話 sideアロエ 楽しい?体力トレーニング

 今日の授業はあまり集中が出来ませんでした。というか、現在進行形で集中できていません。理由はわかっています。昨日のお兄様の魔法を見てから私の中で早くレベルを上げたい気持ちが昂ってしまっているからです。


「アロエちゃん、次、移動教室だよ」


「はっ……!」


 いけませんまたトリップしちゃってました。今日はもう何回もカレンちゃんに助けられています。


 それにしても、昨日のお兄様のあの魔法凄かったなぁ……。このまま行けば私も将来あんな風になっちゃったりして、うへ、うへへへ。


「アロエさん、楽しいことでも考えてるの?」


 っといけません。顔に出てたみたいです。というかそんなに女の子の顔をジロジロ見るなんて、アレン君はやはり変態気質なのでしょうか。


「何か失礼なこと考えてない?」


「いえ何も」



 午後の授業は体力トレーニングです。なのでみんな運動着を着て運動場にいます。お貴族様が運動なんてするんでしょうか、と思いましたが帝国貴族たるもの文武共に優れていなければならないということだそうです。うーん、実力主義の名残がこんなところにも。そういう風習もあって、貴族の男の子は幼い頃から剣術や魔法の家庭教師をつけていることが多いみたいです。そのせいか女子にいいところを見せたいと男子が浮ついています。


「子爵家、男爵家の意地を見せてやろうぜ……!」

「俺たちがアレン様みたいにちやほやされるにはこれしかねぇ!」


 たしかに公爵家のアレン君がちやほやされているのは見ますけど、そういえば子爵家や男爵家の子がちやほやされているところは見たことないですね。なんというか貴族様も大変なんですね……。


「俺たち商人にも戦わなきゃいけない時があるよな?」

「もちろんだ! ここが僕の、いや僕たちの戦場だ!」


 男の子ってみんなこうなんですか? お兄様にもこんな切羽詰まっている時期があったのでしょうか……。うーん、ないですね。


「カレンさん、疲れたら無理しないでわたくしに言うんですのよ」


「あ、うん……ありがとね」


「きゅん」


 あと、昨日の一件でローザさんがカレンちゃんにぞっこんになった。散々平民がどうこう言ってたのに……いや、仲良くするのはいいんだよ? でも私のカレンちゃんが……。私のカレンちゃんがぁぁぁ!!!


「どうしたのアロエさん? 顔が怖いよ」


「人の顔を何度もジロジロ見ないでください」


「いや面白いなぁって」


 人の顔を見て面白いとか喧嘩を売っているのでしょうか。


「アレン君はそんな余裕ぶってていいんですか? 他の男子は張り切っていますけど、良いところを見せられなくて幻滅されても知りませんよ」


「僕は帝国軍総指揮官の息子だからね。これでも人よりは鍛錬してきてるから大丈夫だよ」


 へぇ、もの凄い自信ですね。爵位が高くてしっかり文武両道とか、比べられる男子が少し可哀想な気がします。まぁ爵位はともかく文武に関しては本人の努力次第だと思いますが……。


「男子は6周、女子は4周だ! タイムは成績に反映されるから手を抜くなよ?」


 運動場は1周500メートルなので2キロメートルですか……。それなら大した距離ではないですね。


「そんなに走れるかなぁ」

「アレン様だっていらっしゃるのに、汗をかくなんてみっともない姿を見せたくないわ」


 あれ、もしかして普通の女子にはキツいのでしょうか……。


「よしじゃあ位置につけー。よーい、スタート!」


「「うぉぉぉぉぉ!!!」」


 数人の男子がスタートと同時に全力疾走で飛び出していきました。あれには流石についていけないです。第二集団は男子数人と女子は私だけ。女子のほとんどはスタートの時点でこの集団どころか第三集団にまで置いていかれていました。


「アロエさん凄いね。このペースで大丈夫?」


「はい。アレン君は前を追わなくていいんですか?」


「分かってて言ってるでしょ? あのペースだと最後までもたないよ」


 ですね。私たちのペースも遅いというわけではありません。なにせ普段私が騎士団の訓練で走っている時と同じくらいのペースですから。


 ペースメーカーとして走っていると3周目が終わった頃には飛び出していった数人には追いつき、私とアレン君で先頭集団を引き連れる形になりました。


「アレン君、全然ペース落ちないですね。正直なめてました」


「いや、アロエさんの方こそ凄いね……」


「あの2人……喋りながら走ってる……」

「ば、化け物……」

「でも女に負けるわけにはいかねぇだろ……!」


 これは貴族というよりも男子のプライドなのでしょうか。ちぎられないように頑張っているみたいです。


「頑張って」


「「「はい!」」」


 男の子って単純ですね……。


「あ、4周なので私は終わりですね」


「……」

「……」

「……」


 そんな目で見ないでくださいよ。分かりました走ってあげますから。


「先生、私も6周いきます」


「お、おう。そうか…………。あれ? まだ6分も経ってないよな……」


 先生には何故かありえないものを見るような目で見られました。騎士団ではバフ有りとはいえもっとキツい訓練をしてますからね。


 トラックを走っている関係上5周目にもなれば周回遅れになる子も出てきました。カレンちゃんも女子の中では比較的前の方で頑張って走ってます。隣にローザさんがいるのがちょっと引っかかるけど。


「カレンちゃん頑張って」


「あれ!? アロエちゃん5周目?」


「うん、なんか成り行きで!」


 あぁぁ……そう言っている間にもカレンちゃんが離れていく……私の癒しが……。


「ラスト1周、ペースをあげますよ」


「……」

「ちょ、ま、無理!」

「限界だ!」

「悪魔だ……こいつ女子の皮を被った悪魔だろ……!」


 失礼な。文句を言う体力があるなら着いてきなさい。限界の男子たちがちぎれていく中でアレン君だけは付いてきました。けどそこまで余裕は無さそうです。


「アレン様! そんな平民なんかに負けないで!」

「「アレン様〜!」」


 アレン君に黄色い声援が飛んできますが本人はそれに返事をする余裕もないみたいです。


「アロエちゃ〜ん!」


 こんな時でも私の味方をしてくれるカレンちゃん天使……。好き。でもその隣にローザさんがいるのがやっぱり納得できないぃぃ!!! 


 あれ、なんかいつの間にかアレン君を千切っていました。さっきまで食らいついていたと思ったんですが、余裕が無さそうだったんで仕方ないですね。


「ふぅ……」


「すごいよアロエちゃん! 男子に混じってトップなんて!」


 あぁ〜真っ先に駆け寄ってきてくれるカレンちゃん優しい。でもローザさんは付いてこなくていいのに。というかカレンちゃんに引っ付きすぎ。なんで私に対する恐怖心とカレンちゃんを天秤にかけてカレンちゃんが勝っちゃってるの?


 あ、アレン君もゴールしたみたいです。ゴールしたところを見てませんでしたけど女子たちが一斉に駆け寄っていったので分かりましたよね。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 流石に限界だったみたいです。いつもの余裕も無さそうです。


「アレン様! 大丈夫ですか!?」

「アレン様〜!」

「アレン様! あの生意気な女をあのままにしていいんですか!?」

「そうです! アレン様。ご命令とあらばあの調子に乗った平民に貴族への礼儀をお教えますわ!」

「そうですわそうですわ!」


 なんかここまで嫌われるともはや清々しい気分になりますね。あれ? 私は貴族とのコネクションを作りに学校に来ていたはずでは……。もしかしてこのままでは任務失敗!? それは困ります!


「黙りなさい! あなた方はアロエさんの並々ならぬ努力が分かりませんの!? 自分は大した努力もせず、それでいて自分よりも優れていることに嫉妬し、挙句アレン様の名前を使って憂さ晴らしをしようとする。耳障りですわ! 調子に乗っているのはどちらか良く考えて発言なさい!」


 え……? ろ、ローザさん……!? 何か悪いものでも食べたんですか? 味方してくれるのは嬉しいですけど……なんかちょっとモヤっとしますね。これって私の器が小さいのでしょうか。まぁ本人も十分反省したってことですかね……。でも「どうです? わたくし言ってやりましたわよ!」って目でカレンちゃんにアピールしてるの、私気付いてますからね。この人あわよくばカレンちゃんに褒められようとしてるよ。


 けど、あんなのでも流石は侯爵令嬢。ピタッと私への悪口は止みました。


「ありがとうございます。ローザさん」


「べ、別にアロエさんのためではありませんわ。あなたが悪口を言われているとカレンさんが悲しみますの」


「カレンちゃんかい……!」


 どうしてそこまでカレンちゃんを推してしまっているのか。いや、なんとなく想像はつくけど……。


「わたくし、間違っていましたわ。こんなに可愛らしいカレンさんに酷いことをしようとしていたなんて。そしてそれを知ってなお許してくださる慈悲深さ……カレンさんの愛の深さに感服いたしましたの。そう、あれはまるで母の愛」


「そ、そうですか。カレンちゃんが可愛いことは完全に同意しますけど」


 なるほど、慈愛の心にやられてしまったというわけですか。


「ですから決めたのです。いずれカレンさんがお店を出す際には資金でも人材でもいくらでも援助すると」


 うそでしょ!? たった数日で侯爵家とコネクション作るとか……カレンちゃん、なんて恐ろしい子……。


 私も自分の役目を全うして貴族とのコネクションを作らなきゃいけないですね……。でも女の子には敵視されていますし……。


「っぁ〜! やばすぎたぁ!」

「ぜぇ……ぜぇ……もう……っ走りたくねぇ!」

「っくそ! 俺が女なんかに……!」


 おや、5周目まで頑張って着いてきた3人も戻ってきたみたいですね。ちょうどいいのであの3人を労ってきますか。


「お疲れ様でした。よく頑張りましたね」


 アイテムボックスからタオルを取り出して渡します。どうでしょう、慈悲深く見えるでしょうか。


「あ、あぁ、ありがとう」

「……」

「おぅ……」


 あれ、なんか反応が良くないですね。目を逸らされてしまいました。まぁいいでしょう。さて、私はカレンちゃんに癒されて来ますかね。


「これ、アロエちゃんのタオル……」

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「俺が平民のことなんてぇぇぇ!!! 父上になんて言えば良いんだぁぁぁ!!!」


 うわぁっ! 急に叫んでどうしたんでしょうか……。怖いなぁ……。

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