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第22話 ダンジョンとレベキチ

「お金を稼ぐならダンジョンが良いと思いますよ」


 コロコさんによると、王都から馬車で1日のところにダンジョン都市なるものが存在するらしい。そのダンジョンは誰も踏破したことがなくそれが地下何階まで続くのかすら分かっていない。


「現在、Aランク冒険者6人で構成されたパーティ『祝福の鐘』が持っている60階が最高記録になっています」


 10階層ごとにボス級のモンスターが現れるらしく、50階層からは1層毎に各階層がボスラッシュとなり60階層のボスは『クリムゾンサーペント』というAランクパーティが死に物狂いで戦ってようやく勝てるようなモンスターだったそうだ。

 61階層に挑戦しないのは、クリムゾンサーペントで死を覚悟して流石にこれ以上は無理だと判断したからだそうだ。


「クリムゾンサーペントの死骸はたしか1億ゴールドで買い取られることになったはずです」


 となると、1人頭1600万か。凄いな。


「60階層は無理にしても、50階層のボスモンスター『マンティコア』でも1000万ゴールド近くで売買されていますよ。まぁ、踏破記録はAランクのパーティくらいしかありませんが……なので基本的には道中にいるモンスターを持ち帰って売るのがメインになりますね。あぁ、あとたまに宝箱が落ちていて、そこからは装備するとスキルが使えるようになるレアな装備が出ることがあるそうです」


 レアな装備か。けどスキルによっても当たり外れがあるからな。ダンジョンで金策をするか……でも俺モンスターなんて持ち帰ったことないからなぁ。


「そういえば、60階層からどうやって死骸を丸々持ち帰ったんだ?」


「ポーターというアイテムボックスのスキルを持っている人を雇うとかですかね。そのパーティではアイテムボックスをパーティが所有していたのでそれで運んでいました。あと、ボスモンスターの部屋には転移ポータルがあっていつでも地上に戻ってこれるんですよ」


 アイテムボックス!? 転移ポータル!? やばい有益そうな情報が湯水のように溢れてくる。なんでも商人レベルが30になるとアイテムボックス(小)というスキルが使えるようになるらしい。けど、俺が気になったのはそういうことではない。こういうアイテムボックスだとか転移ポータルのような空間だとか次元に干渉出来る魔法があるということはだ、テレポートのような瞬間移動の魔法が使えるということにならないか? というか転移ポータルは地上に座標が設定された簡易版テレポートじゃん。夢が広がるなぁ。


「コロコさん。瞬間移動の魔法って聞いたことある?」




 俺はコロコさんと別れた後、俺は辺りが暗くなりはじめたというのにひたすらモンスターを狩りまくっていた。やる気に満ち溢れているというわけではない。これは半分は八つ当たりだ。


 理由は先ほどのやり取りの最後にコロコさんに言われたセリフだ。


『そんな御伽噺じゃないんですから。面白い冗談言うんですね』


 ああぁぁぁコロコさんに笑われたぁぁ!! ファンタジーの住人に『お前ファンタジー脳すぎて草』って思われたぁぁぁくっそぉ!


【マスターシーフのレベルが4にあがりました。スキル『ヘイスト』を習得しました】


 ランタン片手に狩りを続けて日付が変わったところでレベル上げを終了した。面倒だけど王都まで戻るか……。

 24時間やってる銭湯とかあるだろうか。無いなら宿でお湯を貰おう。


 試しにヘイストを使ってみたら素早さが30%上がって早く帰れた。ありがたいね。


 宿に戻ったら宿の看板娘、リルルちゃん(15)からのお叱りを受けた。


「ちょっ! テンマさん! こんな時間にお湯が欲しいってふざけないでくださいよ!」


 年下に怒られる図。誰か俺に年上の威厳をください。


「いや、ほんとすみません」


 平謝りしかできない。そりゃそうだな。こんな時間にお湯を沸かせってなんて嫌な客だもんな。早く魔法使いになって火属性の魔法を覚えないとな……。


「まったく、こんな時間になるまで何をしてたんですか?」


「レベル上げです……」


「え? こんな暗い中?」


「ランタンを片手に……」


「馬鹿なんですか?」


 3つも下の子に呆れられた。なんでだろう、この世界に来てから女性に呆れられることが増えた。


「そんな無茶してたら死んじゃいますよ。もちろん冒険者さんがそういう無茶をするっていうのは私も知っています。こういう仕事をしてますからね、仲良くしてくれた冒険者さんが帰ってこないこともあります。本当に……朝元気に出て行ったのに、帰ってこなくて……」


 リルルちゃんは怒っていたと思ったら今度は泣いていた。ダメだな、心配させてしまったみたいだ。もしかすると俺が帰ってこないからまだ起きていたのかもしれない。今度お詫びをしないとな。


 次の日、俺はランタンを片手に深夜までレベル上げをしていた。


「ごめんリルルちゃん! でもやめられないんだ!」


 もちろん心配をかけないように今日はちゃんと伝えておいた。明日は帰ってきませんって先に言っておけば大丈夫だろう。


【マスターシーフのレベルが10になりました。スキル隠密レベル1を習得しました】


 お、隠密のレベルが上がった。スライムブーツの隠密レベル+1と合わせてレベル2になっているのかな?

 10レベル毎に隠密のレベルが上がるとしたらレベル3がマックスってことか。そしたらレベル20まででいいから間に合いそうだ。もうこれで必死のレベル上げは最後だ。これが終わったらのんびり過ごすんだ……。


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