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1-2-5 帰還

1-2-5 帰還


木から降りてきたリダンさんに肩を貸しながら帰途につく。


ズルズルズルズル。


「助かった。心からの礼を」


「構いません。襲ってきたのはあの二体だけでしたか?」


「うむ、塩を取った帰り道だ。急に挟み撃ちにあって坂を駆け下りた。杖が折れたので木に上ったがいつまでも諦めずにいたのでもうだめかと思っていた」


「先日リリを襲った一体と今日の二体、これで終わりとは考えにくいですね」


「ああ、通常コーンウルフは20体ほどで群れている。警戒心が強いから村に攻め込んでくるとは考えにくいが可能性がないわけではない。このまま村長に報告に行く」


「それが良いでしょうね。特に他の三人の猟師さんには一刻も早く伝えるべきでしょう」


ズルズルズルズル。


「しかしショウゴは本当に強いのだな」


「なんです? 突然」


「リリから聞いていたが、コーンウルフは強い。短剣だけで退治できるというのはなかなか信じられなかった」


「そうですね、かなり強いです。内心冷や冷やしながら戦っていました」


「とてもそうは見えなかった。最適な動きを淡々とこなすような見事な動きだったよ」


「ありがとうございます」


「……するともしかしてロック鳥の話も本当なのか?」


「ああ、信じてくれるんですか?」


「とても信じられん。だが娘だけでなく自分自身まで助けられた。正直あのままでは力尽きていただろう」


「それは……」


確かに、リリとリノリーさんだけでは現場にたどり着いたとしてもコーンウルフを撃退できたかどうか。


そして他の猟師さんに助けを求めていたとしても間に合ったかどうかもわからない。


リダンさんは間違いなく死の寸前だった。


「恩人をこれ以上疑うことはできない」


リダンさんが初めて微笑んでくれた。


嬉しい。


「ありがとう、ございます」




まあロック鳥の話はめっちゃ嘘なんだけど。


気まずいよう。


やはりテキトーな嘘は良くないな、これからは気を付けよう。


ズルズルズルズル。


後ろからコーンウルフを引きずる音が聞こえる。


リリが両手で二体の狼を頑張って引きずっているからだ。


「これだけあれば7日は飢えずにすみます」と笑っていた。


スラング表現か何かなのか?


なにはともあれ俺たちは生還した。

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