復讐
夜精霊王が訪れて、シーナさんは回復ポーションを飲んだらしく、起き上がれる様になったらしい。
ベルゼリーナ・ツィータちゃんはお昼の時間終わり頃にファボさんが抱いてお店に連れて来る様になった。
名前を呼ばれると、精霊王の印が光るので、お年寄り達はベルゼリーナ・ツィータちゃんに手を合わせて頭を垂れる。それを見るとファボさんは、慌てて止める。
「辞めて下さいよ。家の娘は神様じゃありませんから。普通にして下さい。お願いします。じゃないと、外には出しませんよ。」
そんな事を言われると、皆んな拝むのを渋々辞める。ファボさんにしてみたら、人に当たり前に接して、シーナさんは介抱に向かい、娘は洗礼名を精霊王から貰えて、きっと複雑な気持ちなんだろうな。
とは推測してしまう。
でも、お母さんも私の親だから娘に親切にして貰って嬉しかったんだと思う。実際私も雇って貰って嬉しかったしね。ファボさんにもシーナさんにも感謝しか無い。私がお二人を拝みたいくらいですよ、
「可愛いですね。私もお母さんにいつかなれるかな?」
「いつでも準備は出来ているよ。」
エドが笑顔で手を握って来た。お母さんはエドの手を叩き落とすと、
「エディちゃんは、やっとママと一緒に暮らせるようになったんですから、結婚はまだ早いわよ。変な男に引っ掛かったら大変よ。苦労するんだから。子供も可哀想よ。変な父親だったらこき使われてしまうかも知れないわ。」
「そのまま自分の事だかな。」
精霊王が溜息混じりに呟くが、お母さんは全く聞いていない。すみません。お母さんそこ重要ですよ。
学校の先生達だと
『ハイ、ここテストに出ますよ。ちゃんと覚えて下さいね。』
と言われてしまうらしいですよ。私は学校行った事が無いので、知りませんが。カヌアさんがこの前言ってましたよ。特にお母さんには二重線で重要だと私は思います。だって…伯爵にこき使われて、食事抜きもありましたから。
「ねえ。最近ドアの所にきったない猫がいるけど、餌付けでもしてんの?」
噂をすればカヌアさん。親指でドアの外を指す。
最近は、余ったパンを千切って鳥にお母さんがあげていたりする。でも猫は見た事ないなあ。
「あら。そうですの?じゃあ見て来るわね。」
お母さんはドアを開けて地面に視線を落とした。
「ジヤージヤージャー。」
ん?ニャーじゃないの?枯れた濁声の鳴き声が聞こえる。
「あら、あら、あら、ブッサイクな子ねえ。ご飯あげるからこの中に入って頂戴。フルコースをご馳走するわよ。猫ちゃんをそのままお店には入れられないもの。」
いつの間にかお母さんはキウイフルーツの蔦で編んだ様な籠を手に持っていた。
お母さんの言うブッサイクな猫は黒の長毛猫で所々毛が短く切れている。顔は細いのに、目が鋭い。黒猫は明らかにフルコースと言う単語に反応していた。
でも、ファボさんのお店食堂だから、ブランチは有ってもフルコースなんてありませんよ。お母さん。
黒猫は籠の中に気取った足取りで自分で歩いて入って行った。
バカだわ。この猫バカだわ。猫でフルコースなんか食べられる訳ないじゃない。
黒猫が完全に入るとお母さんは鍵を手の中に出して鍵を掛けた。魔法かな?
鍵を掛けられた黒猫はビクンと跳ねると鍵が掛けられた籠の扉を見た。
「おーっほほほ。間抜けねジェシカ。猫がフルコースなんか食べる訳ないじゃない。そんなにお腹減っていたの?お可哀想ね。私ね、自分の事は幾らでも我慢するけれど、娘を蔑ろにされるのは我慢ならないみたいなのよ。ごめんなさいねジェシカ。18年分利息も付けて返済させて頂くわ。お気に召して頂けると幸いなのですけどね。」
籠が一緒凍る。次は炎に包まれ、炎の次には籠が水で覆われる。黒猫はギャーギャー泣き叫ぶ。
「まだまだこれからよ。伸びるのは早くてよ。しっかりなさって!」
労わる様で容赦ない攻撃に怖ずきて震えてしまった。
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