一度目の人生
ちょっとシリアスな感じです。
コメディ迄数回お待ち下さい
今年で5歳になると伯爵に教えられて、5歳なら仕事が出来ると掃除洗濯をさせられた。赤子の時にはメイド達が代わる代わる育ててくれたらしい。私の母もメイドだったらしく、皆んなと仲良く仕事をしていて、病気や怪我の人が居るとその人の分迄働いたので、皆んなから慕われていて。彼女が亡くなったのなら。と恩返し的な感じで育ててくれたらしい。
今では三人しかメイドは居ない。だから人を雇うお金の掛からない私も働かなくちゃいけないらしい。
伯爵家はとっても偉い人を怒らせたらしくて、そのせいで貧乏になったらしい。皆んなが激おこで話していた。だから年々人が屋敷からさよならしていく。
と、言う事は勿論食事も少ない。伯爵達はテーブルに沢山並べて食べるのに、私達は私を入れて四人で食べるにはかなり少ない。皆んな身体が大きいし、育てて貰った恩があるから、つまみ食いをしました。と嘘を言って森へ入っては木の実を取って食べていた。
小さな内は、直ぐにお腹がいっぱいになったけど、10歳になった今ではとても足らない。しかも、今ではメイドは私一人。皆んなお給料も支払われなくなった。と逃げ出してしまった。
だから今では料理や買い物も私の仕事。
5歳の時にご飯を探して歩いていたら、植えた麦が枯れた。と泣いていた老夫婦の麦を手に取り
可哀想に。もう頑張れない?
と撫でたらいきなり成長した。あら、生きてた。と思って地面に手を当てたら、光り輝いて麦が刈り取れる迄に成長した。老夫婦は、涙を流して喜んで硬いパンを少しくれた。
成る程。偶にこれをやると、木の実だけじゃ無くてパンも食べられるのか。と思った。
だから、本当に一年に2軒位泣いている人を見てはやってあげた。真逆エメラディア様が後を付けているとは知らずに、やってしまった時に物陰からスッと出て来て
「私からの祈りが通じて、あなた方に祝福が許されて良かったわ。」
と女神宛らに微笑みと、聖女様だ!とその人達は家から出せるだけの食物を差し出した。
エメラディア様はありがとう。と受け取った。
あっ。私のパンが消えたよ。伯爵達のご飯になったよ。詰んだね。
それから味を占めたエメラディア様は偶に領地へ私を連れて行き、農産物を育てさせた。でもね、私にパンをくれた人達の土地はずっとそのまま農作物は育ったけど、エメラディア様を聖女扱いした人達にはその時だけにした。だって疲れるのにただ働きなんか嫌じゃ無い。パンをくれたらやったけど。
農産物を成長させて、掃除、洗濯、料理、買い物ご飯はほぼ無い状態で流石に森で倒れてしまった。
気がつくと綺麗な女の人が私を見下ろしていた。
「何でこんなになる迄働いてんの?死んじゃうよ?」
女の人はスープを差し出してくれた。
美味しい。身体に染み込む感じ?
「嫌だ。何て魔法掛けられてんのよ。」
女の人が喉に手を当てるとスーッと痛みが消えた。
「声出るわよ。」
あー。あー。本当に出た。
「私は南の魔女アテナ。貴女の名前は。」
「名無しです。母はラングラム伯爵家のメイドで、伯爵様を怒らせて亡くなったそうなので。名前はありません。」
名無しは、奴隷だと言っている様なものだ。領地でも名無しとバカにされて打たれたり蹴られたりした。
「名無し?そんな訳ない!誰に取られたの?伯爵家の家族の名前は?」
アテナは物凄く怒っていた。なんでだ?
「ハンス伯爵に奥様はジェシカ様お嬢様はエメラディア様です。」
アテナは、額に手を当てて項垂れた。
「北の魔女ジェシカが…。これじゃ見つからない筈よ。貴女これからは毎日此処へ来なさい。食事をあげるし、魔法も教えてあげる。生き抜きなさい。エリーゼの為にも。」
両肩を持たれ力強く言われてコクコクと頷いた。
買い物はアテナが用意してくれて、それを持って帰ろうとしたら、時間の無駄。と言われてテレポートを教えて貰った。着いた時には気持ち悪かったけど、早く着いて助かった。そこから7年毎日アテナの家に通って、魔法以外にも剣の使い方や弓矢の使い方迄教わった。
17歳になり、アテナの所からの帰り道夜食用に木の実を取る為森を歩いていると、馬に乗ったと言うか意識も無く、馬上に横たわる騎士を見つけた。
傷だらけで今にも死にそうな彼の馬の手綱を引いて森の湖へと連れて行った。
湖の水は澱んでいた。
人差し指を立てて、ヒールを唱え湖面に触れると水面が光り輝いた。手で水を掬って彼の口へと運んだが上手く入らないので、ハンカチを取り出して濡らして口に入れ指で押して絞り入れた。コクンと喉が動いた。もう一度繰り返した。彼が目を覚ましたので、今度は手で掬った水を口に近づけると自分で飲んだ。
見える切り傷をハンカチで拭うと傷が消えていった。
馬にも水を飲ませた。お礼を言う様に馬は私の顔に鼻を擦り付けて来た。
騎士は、意識を取り戻すと自分の身体を見渡して、嬉しそうな顔をしたが次の瞬間慌てて
「ギルバート様をお助けしなければ!聖女、少し此処で待っていて欲しい。直ぐにまた来る。」
と言って馬を走らせた。カサリと葉を踏む音がして振り返ると、エメラディア様が、鬼の形相で私を睨み駆け寄り後頭部と肩を抑え付けて湖に私の顔を突っ込んだ。
「なんでアンタが聖女呼ばわりされてんのよ!聖女は私なのよ!名無しのクセに!」
苦しくて、呪文をイメージする事も出来なくて、そのまま意識を失った。
ふと顔をあげると、顔面に焼いたばかりのミートパイが飛んで来た。ジェシカ様に投げつけられたヤツだ。
同じ事が起きたのかな?私寝ていたの?
その日は私の17歳の誕生日。そしてこの後ジェシカ様はこう言う
「名無しに誕生日なんて要らないのよ!」
ほらね。あれ?可笑しいな。時間が戻っている?
やり直しが出来る?いや夢だった?
夢でも良いや。エメラディア様に殺されなくて済むかも知れないから。
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