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5回も痛い思いはしたくは無いので逃げます

新連載です。

宜しくお願いしますm(_ _)m

ダメだ。脚がもつれて上手く走れない。でもこの子は守らなくてはいけない。精霊王。お父様助けて下さい。私の子供達を!


エリーゼは森の中にある湖の側迄どうにか辿り着いた。

湖の中には精霊王が居る。声が届けば助けに来てくれる。

子供達だけでも良いからお願い助けて!


「エリーゼ。主人に内緒で子を産むなど。しかも私との子などと。嘘を!絶対に許さん!」


ハンス伯爵は剣をエリーゼの背中に突き刺した。エリーゼは泣きながら精霊王を呼び続けた。


「エリーゼ!」


呼び出しに精霊王が応じて出て来た時には絶命寸前だった。

エリーゼを癒しの繭を作り出して精霊王は閉じ込めた。

精霊王の妹姫ディアナは繭に手を伸ばしてエリーゼが抱えている赤子を引き寄せる。異変に気が付きディアナが叫ぶ。


「王よ。赤子が一人おりません。この子はアレクサンダー・エカリウムです。」


ディアナは、態と家門を名乗らなかった。子供達の名を名付けるのは、父親の仕事であり、この土地の領主家の者は洗礼名を精霊王が付けていたが、ハンスは、エリーゼの子供達を認めなかった。父親に泣きつき帰る事も許されないエリーゼは妖精達に手紙を渡して父親である精霊王に名前を付けて貰っていた。


精霊王は領主であるハンスに詰める。


「ハンス・エディウム・ド・ラングラムよ。我が娘の子供エメラディア・エリーゼを何処にやった?」


ハンスは頭から血の気が引いていくのを感じた。エリーゼが精霊王の娘?エリーゼは双子を抱えて走れずにメイドに娘を預けた。ハンスの妻であるジェシカは元はラングラム家のメイドだったが、ハンスを騙して子を成した。双子よりも一年早く産まれた子はハンスと結婚していない為にシングルマザーのジェシカの子供は名無しとなった。逃げるメイドを切り付けて赤子を奪い取ると、ジェシカは魔法を使い子供から名前を取り上げて、自分の娘に与えてしまった。

ハンスは魔法が使えない為に、戻す事が出来ない。


「多分…此処に居ないのであれば、亡くなったかと。」


次の瞬間ハンスの身体を雷が貫いた。ハンスはピクピクと身体を震わせた。嘘はバレるのに。何故こんな茶番をするのか?精霊王の怒りはピークに達した。

エリーゼと結婚したい。幸せにしたいと。この土地の領主だから、森の精霊王に誓うと言っていたのに。

娘は目を開けない。

子供は一人足りない。

精霊王は、魔法で森の外へとハンスとハンスが連れて来た兵達を放り出すと、領民達にまで届くように魔法伝達を行った。


「我が娘の赤子エメラディア・エリーゼが無事に見つかる迄森は不可侵とする。豊穣の祝福も与えぬ。何が正しい事なのか見極めよ。」


その日から17年森には人は入れなくなり、土地は痩せて作物は作れなくなった。領民の中には逃げ出す者も居た。作物が取れないならと、王都へと兵や騎士の志願へ行きお金を家に送り、他領地から仕入れた物を買って生活していた。


ただ、全ての家では無く、限られた家では作物が取れていた。森が不可侵になって5年後に奇跡が偶に起こる。

その者は、エメラディア・エリーゼ・ド・ラングラムと名乗った。エメラディアは横に薄汚れた痩せ細った見るも忍びない名無しの子を連れていた。

だからエメラディアは


心優しい聖女と呼ばれた。

精霊王が探している名前の娘だと言う事は、必死に生きていく領民は忘れていた。


『この人何も出来ないけど。土地浄化しているの私だし。』


名無しが心の中で毒吐いても誰にも解らない。話さないから。人と話をすると、吐血をして数日全く声が出なくなる魔法をジェシカに掛けられていた。もう直ぐ殺されちゃう。今回は誰が私を殺すのだろう。


1回目はエメラディアに浄化した森の湖で溺死させられた。

2回目は名無しに結婚相手として充てがわれた馬飼のバンスがエメラディアに唆されてピッチフォークで正面から刺された。藁を掬うだけだから刺せるとは思ってもみなかった。

3回目はエメラディアに唆された王太子に剣で刺された。

4回目は殺される前に逃げようとして、王太子が北の悪い魔女扱いして騎士に刺された。


今回は5回目何故殺されると戻るのかは解らない。でも今回は生き残りたい。いつもは、水を求めて来た騎士を助けて湖へと連れて行く。今回は、その前に湖を浄化した。

人差し指を目の位置迄掲げて、ヒールを唱える。指先が白く光るそのまま湖面に触れると湖面は光り出して綺麗に輝き始めた。続けて呪文を唱える


「心清き者には癒しを。心醜き者には罰を。過去に人を殺めた者には、苦痛を与えよ。」


湖面はまた波立つ様に光りが広がり消えた。名無しは周りを見回して誰も見て居ないかを確認してから走り帰った。

ただ一人木に隠れていた人物には全く気が付かなかった。


「何だ今のは?」


後ろに控えていた者達も誰も答えなかった。

読んで頂きありがとうございます。

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