“バースデー・ディナー”の、『その前』に。
“仲村 叶”は、“待ち合わせ”していた。××××××××
× × ×
「仲村さん、お待たせして、ごめんなさい」
“そう”言われて仲村は、恐縮してみせた。××××
× × ×
「なつのちゃんーー」と、
木ノ下 なつのは、“海”に呼ばれた。“待ち合せ”たのだ。××××××
× × ×
「カクテル・ドレッシー予約しました“金沢”といいます。」
“ホテル・キング・ウッド”のレセプションにて、其の客はそう言った。××××××
× × ×
「…………、和…希? ………………、敦之、絵理撫。……………何で居る? ん?」
“華月 陽藍”だった。“妻”と共に。“紺”も居た。気を廻して“金沢”の名前で予約した和希だったが、無駄だったと思った。“速攻でばれたよ”と。××××
× × ×
案の定“オーナー”の登場に、“支配人”水本が駆けて来たので在った。×××ד御一緒でしたかっ”と。
× × ×
「嫌? “此奴等”は、偶然だよ、成冶君。」
陽藍がそう言った。
“支配人”へと。
✽ ✽ ✽
“伊島 則斉”は、ホテル・“King・Wood”にてーーーー“と或る『美少年』”をーーーー目撃して在た。 ✽ ✽ ✽
驚いて三度見した伊島は思った。“華月 友”に、「…………っ、そっくり?」だと。××××××
“ロビー”での事だった。××××××××××
✽ ✽ ✽
「“仲村さん”っーーーー」
と、その少年は言った。声を掛けられたのは、普通よりはやや“上”位の風貌で出立ちの男だった。自分と同い年位の。美少年に緊張した面持ちの、その青年は、やたらと恐縮して在た。年端も行かない“少年”にだ。
伊島は理由無く、苛ついた。少年が目を見張る程に“美形”だった事にも、
“仕立て”良き“正装”だった事にも。“育ち”の良さそうな『顔立ち』にも、その『立ち振る舞い』全てに、苛ついて在た。“無意識”だった。“俺はこんな、苦労してんのにーーーーーーッ”
“自業自得”だと、そういった“答え”は、伊島 則斉の中には、無かったのだった。
勿論、“ 華月 海 ”だ。 海は当然“気配”に気が付いていた。だが、海は“そういったモノ”の『相手』を『しない』のだ。『馬鹿馬鹿しい』からだ。
縁も縁も無い相手を、『正してやる』必要は『無い』と。
何故なら“ 華月 海 ”は、どう考えても《あの男》より「年下だから」と。
『年上』を『諭す』等、『愚者』のやる事だと。××××××××例え『愚か者』にでもだ。海はそう言った。××××××××××「行きましょう、仲村さんーー」と。叶を促した。××××『危険』から。××××××××××××。
「ーーーーちょっと“いい”ですか?」
其の“不審人物”は“海”へと、話し掛けて来た。××××××××
✽ ✽ ✽
「…………木ノ下?」
“和希”はそう声を掛けた。 “木ノ下 なつの”が、居たからだ。 × × ×
「………………。あれ? 先生??」
なつのは不思議そうに、そう言ったのだ。なつのは“案内された部屋”に、居たのだ。“個室”だった。××××××
† † †
「海、ーーーー遅いぞ。」
「あ、お父さんーーーー、ごめんなさい。」
“陽藍”は“海”を、迎えに“来た”らしいーーーー“ロビー”迄。“不審人物対応”の『為』にだ。ーーーー“敦之”と“和希”は、置いて来た。ーーーー“振られたく無きゃ大人しくしてな”と、言って来たのだ。ーーーー何しろ。本日は“陸”がーーーー“不在”なのだ。『海に何か遭っては俺の“首”が“飛”ぶ。ーーーーーー』陽藍はそう思った。冗談抜きだった。今『陸』は、陽藍より『強い』のだ。勿論陸は其れを『海』には教えないがーーーーだ。
ついでに云うならば、仲村 叶に“何”か“在る”と折角の盛況・ショコラトリーが、…………とも。“ついで”と云うなかれ。“経営者”よ。
“海”達が『居た』理由ならば、海と陽藍の『目的』は『別』で在る。海は海で『彼女』と『ディナー・デート』だ。何故なら、『12月25日』は海の誕生日だからだ。海となつのは本日“King・Wood”へお泊りである。因みにだが、海が『招待』したのだ。勿論『父』に頼んで。
『なつの』と『なつの』の両親とを、だ。『イヴ』を一緒にと。
さておき『陽藍』の方だが、単に『妻』の“甘やかし”だった。定期的な作業な様なもので在った。勿論“愛情”は在る。“紺”を置いて来る訳に行かないので、勿論連れて来た。
それから。“居候”達だが、“特別な夜だから”と『里帰り中』で在った。『骨休め』である。
余談であるが、“キャンセル”したのは、実は『海』だった。当初海はなつのの両親から、『折角だからふたりで楽しんで』来てと言われてしまった。それだと『お泊り』出来ないと海は言ったが、なつのの両親の『許可』は、下りてしまった。『今更でしょ?』と。なつのが以前、華月家に住んでいた為だ。『其れと此れとでは…………』と、海は言ったが、親達は『暢気』だった。××××××××さておき。
陽藍に『知られ』て、“提案”されたのだ。『イヴ』なら「個室抑えて在るから、此方と合流したらどうだ?」と。「それなら『木ノ下』さん宅も、『御招待』出来るーーだろ。」
“お父さんから話すよ”ーーーーと。
海は“キャンセル”を心配したが、陽藍に『大丈夫』と言われた。『予約したいひとは、沢山いるから。』と。『それもそうかな』と、海は思ったので在った。××××××
そして『今日』である。
仲村については、急遽、つい先日『誘った』のだ。海が思い付いて。それで今日此処にいたのだった。××××××
“伊島”の“毒”は、未だ『ポケット』の中なのだ。紺も鼻をひく付かせて在た。“酷い臭い”と。××××『紺にすれば』だが。××××××××勿論、父も兄も“気付いて”在た。だから海は“ひとり”だった。先に“なつの”を、置いて来たのだ。勿論“安全”の為に、だ。
呆気に取られた“憐れな生き物”は、笑顔の陽藍を、観て在た。
『口を空けたまま』で。ーーーーーーーーーー
× × ×
「大変失礼ですがーーーー御客様。」
陽藍は言った。仲村はそれを観て在た。冷汗と共に。“既視感”で。
「ッーーーーーーッえ……………ッ」
伊島 則斉は、蛇に睨まれた蛙だった。“何故”か理解らずに。海も其れを“観て”在た。本日“兄・陸”が不在なので、自分で『対処』しようと、思ったのだが。
けれど。『陽藍』の『未来視』とは違う『未来』が、彼の後ろから『やって来た』のだ。『橋本 和希』と云う『名』の。 ✽ ✽ ✽ ✽ ✽
† † †
「陽藍さん、Stop。ーーーー其の人“俺”『知り合い』なんで、俺『対処』しますーーーー」
橋本 和希は、そう言ったのであった。“先生も難儀だな”と、海は思った。慌てたのは支配人“水本”で在った。又“走って”来た。××××××××和希に向かって。
支配人と話した和希は、“解決”してしまった。つまり、“キャンセル料”を自分が『払う』と。勿論『全額』だった。『其れで“彼”には御帰りを願おう』と、そう言ったのであった。
支配人・水本 成冶は、其れで渋々だが納得したので在った。『陽藍』と『和希』の『顔』を立てた『だけ』だが。
『プロ』の彼は顔には出さなかった。そして下がった。なので和希は伊島に伝えた。
「伊島君、申し訳無いけど“場違い”だから、“遠慮”して欲しい。“ドレスコード”って知ってるだろ?
“此処”は『そう云う』場所ーーーーなんだ。“御帰り”、下さい。」
きょとんとした伊島は、納得しなかった。× × ×けれど、
不思議な事に、言いたい『文句』は一言も出ては来なかったのだ。海は知っていた。『父の仕業』だと。
茫然とする伊島に、些か頭の痛くなった和希が文字通り困った時に、其れは起きた。そうーーーーーー“姫様”だった。
其れから。もっとコワイヒトだった。ーーーーーー
「和希君、未だ? 絵理撫ちゃん、待てないって“お迎え”来ちゃったわよ?」
と、女神が、言ったのだ。伊島は、目を見開いた。“美女”が二人、女神の如き“美しさ”で、其処に“表れた”からだ。そして、
女神ーーーーー嫌、モデル『華月 華』が、言ったのだ。“橋本 和希”の『腕』を取りーーーーだ。
「和希君てば。返事しなさいよ? しないと“ちゅ〜”しますけど? 口にしちゃう?」と。
「! 義叔母様! “ちゅ〜”って“口づけ”ですよね?! 駄目ですよ! 和希“様”私のです!」
言われた橋本 和希は、“もう嫌、面倒臭い”と、声に出していたので在った。勿論。
切れた“友美”嬢に、強引に“有言実行”されたので在った。悲鳴をあげたのは“絵理撫”だった。嫌、“本気”泣きして在た。“叔母様酷い!”と。
「絵理撫ちゃん、………………友美さんの“クリスマス・ジョーク”だから、」
「駄目ですっ」
「あ〜…………“女神”様、冗談でして来るの、初めてじゃあ無いから…………、」
「! 駄目ですっ!」
と、茶番を開催した様で在った。勿論だが絵理撫だけは、『本気』だったが。
そして、『……………ッ、何なんだよ……………ッ』と、掠れた声で、伊島は言ったので在った。
和希は面倒で、答えた。“もういっか、な?”と、開き直って。“どうせ無駄だから”と。
「和希様? あちらの方は?」
絵理撫の言葉を借りて、言ったのだ。「伊島君ーーーーーー」と。
「ーーーーは?」
「絵理撫、彼は“高校”の時の『同級生』ーーなんだ。『伊島 則斉』君と云うんだけどね。」と。
「そうなのですか? 初めましてーーーー伊島様。私、『橋本 絵理撫』と、申します。『和希』の、“妻”です。ーーーー」
と、絵理撫は丁寧に、頭を下げたので在った。そして、
「申し訳有りません、伊島様? 私達ーーーー今日は“予定”が、御座まして。“失礼”させて戴きたいのですが、御了承頂けますでしょうか? 伊島様の“御召物”では“御一緒に”と御誘い致しますのは、失礼に『当たってしまう』…………でしょう? 私共……気が利かなくて本当に申し訳御座ません。伊島様の御召物の“御趣味”に“似合います”時に、改めて『御誘い』させて下さいませね? 今日『御一緒』させて戴きますと、伊島“様”に『御迷惑』に為ってしまいますから。 “心苦しい”です。ーーーー」
そして又、絵理撫は丁寧に頭を下げ、にこりと微笑み、和希の腕を取り、とても嬉しそうに『去って』行ったので在った。ロビーでは硬直した“何か”が、残されて『在』た。
勿論、目配せした陽藍の視線を受けても受けなくても、“警備員”が退場させたが。
陽藍は伊島の持つ“毒”を理由に御帰り頂く目論見だったのだが。取り上げそびれたので“中和”して置いた。和希は気付いたので、逆らわない事に、決めたのだった。“女神”恐くてだ。“勿論”だった。“安定”の『橋本 和希』だった。『此の日』も。
友美の悪戯のキスに立腹した“妻”の“御機嫌取り”に、勤しんだ。
と、其の“刻”だが、安定の“敦之”ならーーーー勿論予定通り、
“予約席”にて『クリスマス・イヴ・ディナー』を、『お似合い』で堪能していたので在った。そうーーーー勿論。
伊島“等”の、気も“知らない”で。 ーー“其れ”こそ。




