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姫さま、『恋』をーーする。  作者: ※Rasp※Berry※
✝と或る名も無き星にて〜しがない教師と“恋”等の〜話✝
69/75

“敦之”と、彼女。

 金沢かなざわ 美彩ひいろの部屋で、珈琲を前にした美津原みつはら 敦之あつのは、“あっ”と、声に出して言った。××××



 金沢 美彩は、不思議に思い、どうしたのかと問い掛けた。××××






 「…………っ、…………、美津原…………、さん?」



 少し不安な声色の、美彩の声に、敦之はしくじりを、自覚した。“何でも無い”と、そう言った。




 「……………、珈琲コーヒー、熱かったですか? ごめんなさい…………、大丈夫ですか? 冷たいお水…………」




 「違うから、大丈夫だよ。」



 敦之にしては珍しい、焦りを含んだ喰い気味の言い方だった。××××××






 「……………………、苦かったですか?」


 不安そうな美彩は、見当違いな解釈を、加速させて行った。××××敦之は“それ”に、気付かなかった。



 なので美彩は、誤解した。“敦之は未だ、自分に興味を抱いていない”ーーーーと。









 金沢 美彩、彼女は、ーーーー未だ伝えるつもり無かった自分の“想い”を、どさくさ紛れの不本意で、敦之へと伝える事と、成ってしまい、ーーーー



 振られる覚悟を決めたのだったが、ーーーー敦之からの“対応”は、意外なものだった。




 『俺は“美彩ちゃん”に好きに成って貰える様な、器量持ちじゃあ“無い”よ。げど、ーーーー







 “もっと良く時間を掛けて、観察て、みて”ーーーー』ーーーーと、敦之は言ったのだ。





 言われた美彩は当初、良く意味が、解釈出来なかった。けれど。敦之は、含む様に、噛み砕く様に、彼女へと説明を続けた。




 『一応先に言うけど、“女関係”だらしない奴だよ、俺。ーーーー褒められたモノじゃ、無いな。』




 それから、








 『“真面目”というのか、“まとも?”に付き合ったーーーー“彼女”とか、…………“いない”し、なあ…………。』と。





 それから、









 『“利害一致”で“関係”持ってる“相手”も、ーーーー今過去問わずに、“る”てか、“在た”し。』







 更に、




 『“それで良いなら”ーーーーーーとは、“言えない”なあ。ーーーー』と。





 彼は言ったのだ。箱入りの美彩には、それでもいまいち、“把握”が難しかった。××××××










 敦之は“伝え方”を、変えたのだった。××××××




 「“女”の“知り合い”は、そこそこ“在る”よ。ーーーーそれから。そういう“相手”と、『取引』する『日』も、ーーーーる。 取引内容は、『ケース(身体)バイ(だったり)ケース(物だったり)だけど(その他だったり)、ね。 “誰か”を“好きに(愛しいと)成る(想う)気持ち()を、知らない訳じゃ、無いけど。ただーーーーーーっ」





 「ーーーー? ただ? ーーーー。何ですか?」












 「ーーーー、ただ、ーーーー。『恐い』、かな? 多分ね。」



 「ーーーー。ーーーー『何が』ーーーー、ですか?」



 敦之の言葉に、美彩は純粋にただ、そう問い掛けたのだった。



 「ーーーーーー『もう一度』、『ひとを好きに成る事』。ーーーーーーだろうね?」



 敦之はそう答えた。美彩は切なかった。だから言った。“羨ましいです”と。



 ×   ×   ×



 敦之は“ん?”と、返した。美彩は応えた。“だって”と。










 「美津原さん、は。 ーーーーーー以前“誰か”を、“好きだった”って、ことですよね? だったら“羨ましい”です。 ーーーーーー『その方』の“こと”が。 ーーーー他に言いようがないです。」



 敦之は何とも言えない苦い様な顔で、美彩へと返した。







 「詳しくは『言えない』ーーーーけど、さ? そうだな。ーーーー『羨ましい』は、『切り』が無くないか?」





 「ーーーーーーっ、え?」



 敦之の何とも言えない顔に、美彩はきょとんと、そう返した。××××××



 「ははっ。ちょっと『違う』けど、さ? 『隣の芝生』が、青かったりさ、自分が『持って無いモノ(スキル)』の『話』しても『切りが無い』って、『話』だよ。それと『似てる』だろ?



 『好きな奴の“好きな奴”』が、『自分じゃ無い』“話”って、さ。そうは思わない?」






 きょとんとしたままの、金沢 美彩は、“ーーーーっ、そうかもーーーーしれません”ーーーーと、そう言った。



 「『自分』は『自分にしか“成れない”』ーーーーって、事だよ。ーーーー、だけどさ?」



 「ーーーーだけど?」






 「『自分“だからこそ”』“出来る事”ーーーーーーの、“()”ーーーー、かな?」



 敦之はそう、にやりと笑んだ。“いつも”みたいに。






 「『羨ましい』じゃあ『手に入るモノ』ーーーーなんて、“無い”んだよ。じゃあ『どうする?』て、話なんだ。ーーーー理解る?」



 「あっ、ーーーーえっと。ーーーーわかると、ーーーー思いまーーーーっ、す。ーーーー」






 思わず笑った敦之に言われた。“何でそんな緊張してんの? w”と。顔を赤らめて美彩は答えた。“だって”と。







 「“だって”?」







 「え、っ、だって……………っ」



 「顔“赤い”よ、」





 「! っ、だって! 言ったじゃないですか! 美津原さんの“所作”が! すごい(とても)好き(綺麗で)だって(見惚れてしまうんです)! もうーーーーっ、いじわるっ、ーーーーっぅ嫌いです! っ」






 言いながら美彩は顔を両手で覆ってしまった。俯いて。隠れぬ肌が、真っ赤だった。地の白さ故に、目立つのだろう。ーーーー敦之は苦く笑うしか無かった。“若いなあ”と、素直に感じた。其れこそ“羨ましい”と。××××××







 ×   ×   ×



 「多分、俺の勝手な予想だけどさ?」


 敦之の言葉に、美彩は“え?”と、顔を上げた。




 其処に、怖い位に整った、彼の顔があった。彼女は思った。“ああやはり好きだ”と。ーーーー敦之はやや“困った様な顔”を、覗かせ、戸惑いと混ぜ合わせて其処にいた。“彼女”にはそう思えた。ーーーー優しい笑顔なんかじゃ無い、綺麗な造り(造形)苦い(感情の)痛み(シグナル)で歪ませて行く様な、アンバランス(不均等)な、そんな表情だと思えた。ーーーーひとに依っては“アンニュイ”と言うのかも知れないが、彼女には“不均等アンバランス”に、“えた”のだ。ーーーー




 美彩はそんなーーーー敦之という“人間(人物)”の、“人間ひとらしい仕草(所作)表情(温度)”に、偉く心音(ときめき)高鳴った(昂った)のだ。







 「美彩ちゃんは、『俺の過去の出会い』とか、そういうの、に、『張り合おう』と、してないか?




 後さ、『自分は若過ぎる』とか、『俺から見たら子供に見えるかも』とか、ごちゃごちゃ考えてんじゃ無いの?」




 「?! ??!?」



 敦之が急に真顔でそう言うので、只でさえ目一杯だった其の時の美彩は、目を白黒させて、困惑したのだった。××××××××××「“好き”と言うわりには、“消極的”『思考』だよね」ーーーーと、言われた。××××××その通りだった。××××××彼女は最初から、“此の恋”に“挑んで”いなかったのだ。××××××××××









 「それって、さ。要は『憧れ』以下の、『恋』に『憧れる』ーーーーレベルだろ? 違うかな?」



 敦之は態ときつく、そう言った。美彩はショックだった。



 「ーーーーーー違いますーーーーよ。」



 美彩はそう応えた。敦之は表情を変えなかった。美彩は“突き離されている”ーーーーと、そう感じた。敦之から観た(丶丶)美彩の“顔色”は、悪かった。××××「じゃあーーーー何?」ーーーーーー敦之は(彼女に)(問い掛け)()








 「……………たしかに、………………、確かに私……………未だ一応『学生』だし…………っ、『子供』と言えば、『子供』と言えるかも、しれません。……………………っ、







 でも、でも…………………………………………っ」





 美彩は泣きそうだった。××××××















 「うん。」



 堪えた想いに入り込む水の様に、敦之の心地良い声が、彼女の耳へは、届いたのだ。



 勇気と呼ぶのか、彼女は顔を上げた。敦之は彼女の“言葉”を、待っていたのだと、美彩は気が付いた。ただ佇んでいたのだ。ーーーー言葉だけを待って。彼女の目蓋は熱を帯びて、溢れ出しそうだったが、今では無いと、ぐっと堪えた。




 そして言った。







 「美津原さん。…………。っ」と。美津原 敦之は「うん?」と応えた。静かな音で。美彩の好きな“音”だった。











 「私ーーーーやっぱり“貴方”が、好きです。変な言い方して、ごめんなさいーーーー“自信”が無くてーーーー」




 「だろうね。」




 「っ」






 「“俺”も『そんなもの無い』よ。」












 「ーーーーっ、え?」




 真顔の敦之に、美彩は困惑した。




 「『自信』なんて『有る訳』無いだろ。でも皆『そんなもの』なんじゃ無いのか? 自信(みなぎ)ってる奴、俺は“嫌い”だけどな? 美彩ちゃん、そうゆう“奴”、好きなんだ?」






 「! っ、ーーーーっえ? っえ? ーーーーーー??!? えっ?」




 美彩は暫くの間、敦之に翻弄されて、困惑から抜け出せずに入りっ放しだった。××××××××××暫くの(其の)間、敦之は可笑しくてくつくと、笑って在た。可愛さ(可愛)(過ぎた)底意地ので(苛めて)悪さ(みた)の、狭間で(だった)。つまり、敦之は彼女へ“本性”を見せたかったのだ。“俺はこういう奴だよ”と。××××××




 敦之が笑うので、ようやく美彩は、こう言えた。“どうして笑ってるんですか?”と。勿論その後の敦之は、爆笑したのだった。“ごめん”と。








 “気取って(格好ばかり構って)”失恋を憶えた(学習した)敦之は、先に弱点と弱味を曝け出したのだ。“美彩”との“未来”を、見据えて。良い“手本”なら、近くに在るのだ。そう思った。






 「“だから”、“言った”ーーじゃん。」



 敦之が言った。




 「ーーーーえ?」



 美彩は困惑しかしていない。








 「先刻さっき言ったろ? 『時間を、掛けて、観察してごらん(・・・・・)』ーーて、さ?」






 勿論。“どや顔”の敦之に、美彩は目を剥くしか無かったのだった。“ーーーーっ、言ったけどッぉっ!”と。





 “中身はこんなもの(大した人柄)だよ(じゃあ無いよ)”と、敦之は言ったのだ。




 「性格なら、そこそこ“捻くれ”てるし、“底意地”悪いし? 結構気分屋だし、愛想無いし、な。




 ああ、“口も悪い”って、さ。幻滅させて悪いけど、“売られた喧嘩”は、買うしな。“負けたく”無いだろ?




 もう直ぐ三十だってのに、大して“大人”に成った気も、して無いーーよ。“特技”も無いし、なあ。





 “自慢”が、ひとつも“無い”ね。ーーーー言葉で並べると、やばいな、俺。ーーーー



 成る程、“振られた”処か、“相手にされて無い”ーーーー“訳”だわ。はは。ーーーーーー美彩ちゃんさ?




 君、“可愛い”ーーよ? “俺”を好きに為ったって、此の“先”、ーーーー『幻滅』しかしないんじゃ、無いの?」





 “美彩”は此の瞬間。“苛ッ”として“ぶちッ”と、“キレ”た。ばしッッッッツィィッ!ーーーーーーッ

















 「ーーーー、いって」

















 「、えっ、あっ、っぅ! っ」



 美彩は敦之を、平手打って在たのだった。××××××




 「っぅーーーーーーいっッぅ」ふぅと言った敦之の溜息が、美彩の耳をいた。はっ!とした美彩は、捲し立てた。










 「なんでですか!」と。





 「ん?」









 「! どうして私の好きなひとを! ばかにするんですかっ。ーーーーーーっ」



 叫んだ彼女は、昂った気持ちのまま、敦之の胸を叩き付けた。“どんっ!”と。××××××目蓋の帯びた熱は、溢れて落ちて在た。××××××此の日、金沢 美彩は、彼に初めて『触った(触れた)のだ(のだった)







 受け止めた敦之の腕で泣いた。ぐずぐずと。こんなに激情的になったのは、初めてだった。そして、引き出し多目の敦之さんは、彼女の“あやし(扱い)方”を、知っていた(企てて在た様だ)










 乱暴とは縁の無き彼の整った指先が、不似合いだと云わんばかりに、頬の困惑を、拭い取った。形の好い親指が、唇の形を、確かめた。触れるか、触れないかで。不思議に思った彼女は、見惚れてしまった彼女の好きな、彼の顔をとても近くに、認識みたのだった。感情に気付く程の時間も持たずに、又唇に触れて離れたのは、多分彼の同じ様なのに異なる“其れ”だった筈だ。キスだと理解らない前に、離れて切ないのだと気付く前には、又重なっては、離れた。頬と、唇に、触れては離れた。綺麗な造形かたちの、彼の“其れ”だった。




 美彩はふわふわとした中で、目の前の様で遠い様な敦之の頬へと手を延した。思う程遠くは無く、其処に、届いた。触れた意図が解ったかの様に、彼はゆっくりと彼女の愛らしい顔へと、顔を寄せた。望んだ様に唇が触れたので、美彩は夢をみているのだと、触れたかった愛しい彼へと又触れた。遠い様で、寂しくて哀しくて、いつの間にか懸命に腕を手を、延して在た。温かい夢が、彼女を暖めたので、見た目よりも強い腕に、身を預けた。


















 そしてやっと、“現実”だったと、気付いた。××××××××××××××××××××













 「…………………………、美津原…………、さん?」



 「何?」





 美彩はやっと、理解した。敦之に『抱き着いて』いたーーーーーーと。絶叫した彼女と、右往左往の後に、敦之は此の“美彩”嬢と、付き合い始めたのだった。但しーーーー“隼人”に、言えずに。美彩にも隼人の『事』は、言えなかった。××××××『言い様』も、無く。




 ××××××××××××××××××××××××××××





 「…………………ココアにしましょうか?」




 敦之が“隼人”の『事』に些か頭を抱えて在ると、『珈琲が苦かったのだ』と思い込んだ美彩が、そう言って来た。敦之は苦笑いした。“苦く無いから”と。




 「でも…………」




 「違うって、部屋上がったの『あの日(付き合い始めた日)以来だから(丶丶・・・)さ? 『エロい』事『思い出してた』んだよ。ーーーー」ーーーーーー





 と、言って、笑って(誤魔化して)置いた。勿論美彩は赤面して、あたふたしていたのだった。








 敦之は和希に、聞き忘れたのだ。『同窓会の連絡来てたか?』と。つまり、




 『伊島(則斉)』の件だった。『彼奴(伊島)幹事とかーーーー行く奴いるのかよ?』と。




 今、隼人は、敦之(からの)電話(着信)に、出ないのだ。和希に確かめさせるしか無いが、間違って(知らずに)も隼人に行かれて(参加されて)は、困るーーーーと、敦之は思った。







 それこそ“殺人(伊島を)事件(やるだろ隼人)だろ(はーーーー)。と。ーーーーーー





 からかった美彩の御機嫌の“代償(伺い)”に、敦之は彼女へチーズケーキを“あ〜ん”させて居たのだったが。自分から言ったわりに慣れない美彩は、相当照れて在た。敦之はそれ程気にしなかったが。

 

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