『勇気』を“くれる”『チョコレート』ーーの、話。
陽藍が厨房に現れた。和希に“進言”した。“届けて来い”よーーと。
滝は既に“ステージ”へ向かった。滝と一緒に“美咲”も“行く”と言い出した。“観る”ーーと。
カラクリなら、“その前”だった。
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「ーーっ、『お邪魔』しますっと。あれ?『陽藍』さん居ないしって、何だーー居た。」
ま、『いっか。』ーーと、“橋本 和希”は言ったのだった。“ーーッキンッ”ーー
と、澄んだ“音”が“聴こえた”気がしたのは、和希が張った“結界”だった。滝は此の時初めてーー自分と『和希』との力量の“差”をーー知った。気づいたのだった。
今迄自分は“何”も理解って“いなかった”ーーのかと。ショックだった。なのに『嬉し』かった。其処に“和希”がーー『立った』事が。美咲が慌てながら言った。『ーーッこのひとっ!』と。
「『さっき』は『どーも』、お嬢『さん』ーー『お詫び』持って来た。」
『チョコは好きか?』と和希が聞いたのだった。答えたのは、滝だった。『え?うん。』ーーと。
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「『魔法使い』特製“こわいこと”が“無くなる”チョコレート。ーーはい。」
ど〜ぞと言った橋本 和希は、案外真顔で“小箱”を差し出した。包装された綺麗な洒落た贈り物だった。可愛いリボン迄付いた。美咲は不思議そうにそれを見た。
そんなものが、“ある訳がない”ーーと。「ーー嘘つき。」美咲はそう、言っていた。
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「うん。ーーーー」 「ーーーー、は?」 「え?ーーーーうん。」
「だからーーーーは?」 「だからーーうん。」 「はい?」
「『無い』よ、そんな『魔法』アイテム。当たり前じゃん。だから『うん』。て。」
美咲は『はあ?』と顔を歪めたのだった。
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「ん?」 「はい、滝君。彼女へあげて。と、“そろそろ”時間でしょ。じゃ、又『後』でね。」 「ーーっ! ちょっ!」
ふっ!ーーと、“空気”がーー戻った。そして陽藍が入って来た。『蓮、時間。行け。』ーーと。
ベッドの上に、ちょこんっと、“箱”が置かれていた。カカオの香りがーー鼻についてふっと陽藍が破顔したのだった。滝と美咲は其の顔に一瞬、いいや一時、魅了されたのだった。
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「“滝”、貰った“まじない”一欠片“食って”からいけ。“美咲”もな。」
『ーーえ?』滝は此の時“未だ”意味が理解らずにそう言ったのだ。『チョコ』って元々は“リラックス効果”狙った「薬」ーーだからな?とーーーー
陽藍は言ったのだった。オレンジピールとオレンジリキュール薫る、極上の一品だった。“和希”特製の。ーーーー本当は“ベニバナ”へ渡す筈の“それ”だった。“言葉”と共に。先送りと為ったのだった。“仕方無いから”ーーと。“橋本 和希”はこの日は“友情”を選んだのだ。
“敦之”の為にも。
少し強引過ぎた敦之に、はやく『目を覚して』欲しいと思った。
『敦ーーーーーー』
『恋』は“盲目”ーーだぞ?と。
美津原 敦之は、焦るばかりで、ーー見えなく『なって』いた。“幸せのかたち”が。相手への思いやりが、何処か欠乏していた。
はっきり言おう。“美津原 敦之”は“女好き”だと。
“のの”を“口説き”ながら他に“女”がーー“数多”で無くとも、“複数”在たのだ。
敦の“言い訳”なら、“友達”だと。美津原 敦之は“知らない”らしいーー“大人”の“付き合い”の“数居る”“女性陣”は、普通“友達”とは余り言わないーーのだと。
“おまえは友達と寝るのか。”ーー敦が父から説教されるのはもう少し“先”の“話”ーーで在る。
敦之は“フレンド”の前に正しく枕言葉が在るお友達とは早々に“手を”切らないと、『結婚』ーー無理なんじゃんーーと、友が“予言”していた。父達“保護者”軍団も違わず、後“五年は掛かるな”ーーーーと。語って“いた”訳だ。
紹の“方”が“はやい”かもね?と。
瀬野尾 紹はもう“半分程”、理解している。残りの“半分”ならば、未だ知らない“振り”ーーだった。“俺未だ”子供だしーーと。
高校、卒業してからにするわ。ーーと。因みにだが、紹は敦之に『割れ物』等、贈っていない。
彼が『贈った』のは、『落としても』割れない丈夫な“グラス”だった。
上物“ワイン”も一緒に“添え”て。割るというならば、“瓶”なら割れるだろうーーが。そう誇示付ければ『嘘』も言ってはいない。紹“流”の只の“ブラック”ジョークのつもりだった。
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オレンジの薫りに包まれながら、滝 蓮は手にしたそれを一摘み、美咲の口に放り込んだーー
そして、自分の口の中にも。甘いオレンジがふわりと溶けた。
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「え?」
美咲は陽藍に問い返した。『此処で働け』と言われたのだ。
✝ ✝ ✝
「社員でも良いし、『契約』でも良いし、それなら『役者』続けられるだろ?」
陽藍は美咲に『モニター』をやらせるつもりだった。商品を試して、感想を言えと。『商品開発部』を「手伝え」ーーと。
「おまえは『前』から“美”意識、『高い』だろ?正直言うとなーー」
『嫁』の『美意識』がーー
「うちのは『無い』んだよねーー彼奴。」
友美が聴いていたら爆発しそうな事を、言っていた。せめて『低い』と言ってやれ。(なくは無い。)
陽藍は好条件で“雇って”やるから、もう少し頑張れとそう言った。
「『役者』なんて酔狂は、“趣味”にしちまえよ。」ーーーーと。時間の融通が効く仕事を“紹介”してくれたのであった。
何だかんだ言っても“此の人”はーー“面倒見”がーー良いんだよなーー彼等は思った。
御前次第だと言った陽藍は無理強いしなかった。無理強いせずとも、
「“あんなの”も“いる”し。」ーーーーと。
指したのは、勿論、未だ食べていた“愉快な仲間達”だった。“昨日の褒美”に“仕事”させて“やる”ーーと、放課後迄待った陽藍が連れて来たのだ。
海に体操服を届けた陽藍は、グランドでマラソンする息子を暫く眺めていたが、いつの間にか何処かへ消えた。帰ったのだと思ったが、陽藍は『仕事』していた。“結構ガタが来てた”。ーー
そう言った父は、何故だか嬉しそうだった。
又自分で仕事を増やしたらしい。“修繕”するらしい。“建築家”として。お抱えの工務店に手配していた。“忙しい人だな”ーーと、息子は思ったのだった。
お父さんって絶対ーーーー仕事、“好き”なんだろうなーーーーと。海は自分はそんな仕事が見付けられるのだろうか?ーーーーーーと思ったのだった。
シュークリームを頬張り過ぎた理が、口直しに“チョコレート”菓子に手を出そうとしてーーーー、
叱られていた。“食べ過ぎ!”と。海は“確かに”と思ったが、何だか理は“やけ食い”みたいで気になったのだった。“気のせいなのかな?”と。
「カロリー“カット”の意味の“無い”試し方するなよーー御前は、ーー理。」
言われた原は、陽藍を見て、何とも言えない顔をしていたのだった。『しょうが無い奴だな』
父が静かに言ったので在った。海の頭に手をやり、『海は家に帰ってからな。』ーーそう言った。ーーーー甘かった。
『あ』と父が今思い出した様に突に言った。
「おまえ等、『週末』、空けとけよ?」と。『理解ってるんだろうな?』ーーーーと。
和希が流石に苦笑したのだった。苦いチョコレートの様に。




