『謝罪』。
「ごめん『滝』君ーー」
和希は滝を呼び出していた。
× × ×
「ーーーーは?」
滝は呼び出された和希にこう言われたのだ。ベニバナ『姫』を、「預かる事になったんだーー」と。謝罪された。
「ーー申し訳無い。それしか言えない。」
和希は頭を下げていた。未だ同日で在る。蓮には意味が、理解らなかった。何が『起きた』か。
タイミングが悪かった。「『先生』じゃん!」 「ぷ。なにしてんのソレ。」
「先生〜『土下座』〜? なにしたのよ、修羅場かw」
頭悪そうな三人組だと滝は思った。和希に言われて色の薄いサングラス位は、掛けていた。
和希は頭を上げた。
「おまえらこそ何してんだ。受験生なんだぞ。こんな『さびれた』問題が『起きそう』な場所へなんて来るんじゃないよ。予備校なんて近くに『無い』からな。ーー言い訳するなよ?」
和希が溜息を吐いた。『学校』では見せない『様』な態度で表情でだった。
そんな事は、滝は知らない。
× ×
案の定『彼等』は『和希』に、絡み出した。
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「やめろ。眞角 稔。 端田 大聖。 嘉木幡 良哉も。」
それは『挑発』だった。滝には『そう』聴こえた。
「ーーーーなんすか『橋本 カズキ』先生ーーーー。」
頭『悪そう』だなーーと、やはり滝は思った。
「『橋本』っち、『どうし』た〜?」
その『声』に和希は苦笑いした。
「此方の『台詞』だよ……………………」と。
『瀬野尾 紹』ーーという少年が、立っていたのだ。羽澄高校の『制服』をーー着て。
「紹ちゃ〜ん、『誰』〜?」
「紹の『知り合い』? ねえ?『紹介』して? 『瞳』が好き〜はじめまして〜」
「ちょっと。サユさん、抜けがけ。年増の癖に!」
「『喧嘩』すんなー。『遊ば』ねーぞ〜? 『先生』、『どうした』の?」
『紹』に絡む彩り豊かな『美女』達は、騒ぎ出した。五人居た。制服姿が、二人。私服の色気おねえサンがーー三人。ーー少ない『方』だった。
「『紹』。お前も『受験』生。ーーーー何してんだ、こら。」
「や、『息抜き』? はは。やだな『和希』さん。むきに為らないでよ。」
「はあ〜。あたまいてえ。」
和希の『眼の色』が、変わった。紹は『やばい』と思った。冷汗が落ちた。『無遠慮』だなーーと。『自分』だけーーに。
『橋本の口調がーー』同級生と『会話』する良く知る『間抜け』た英語教師の様子が、彼等の『知る』ものとーー違う気がした。
「『和希』さんーーすみません。先程からーー『大丈夫』ですか?」
その時和希に、見るからに『強面』な厳つい『男』が、自分の『席』を立ちーー話し掛けて来たのだった。『余計なお世話かとも「思った」のですがーー』と。
生徒達どころーーか、滝もびびった。『は?』と。和希は平然としていた。ーーーー
× × ×
そもそも『此の店』ガラが悪かった。『和希』に不似合いな『程』な、“それ”だった。
× + ×
「あ〜『岸田』君? なんだ。『誰』かと思った。」
和希の『言葉』に、店の『大半』を占めていた『客』達がーー立ち上がった。ガラの悪い『者』ばかりが。ーーーー、一斉だった。
× − ×
三人の“馬鹿共”は、“生きた心地”を失った。
− − −
「おいーーーー『抜けがけ』すんな。」 「和希サンーーに『関わる』な。」
「ちょっと『和希』さんーーーー『面』貸して『頂きます』よ。ーーーー」
「『騒ぐなーー』オマエラ。」
「おい、『和希』サンに『用事』あんのはーーむしろ『オレ』だーー出しゃばるな!」
「どけ!」 「は?オマエがどけ!」 「おら『和希』サン、『こっち』だ!」
「やめろっおい!」 「うるせー!オレの『因縁』の方が『古い』だろ!」
「「「「「「「「ーーーー知るかーーーーッ!」」」」」」」」
「ちょっと『カズキ』サン!『遊び』の『時間』は『終わり』ですよ!」
「ーーーー逃しませんよ。覚悟決めてもらいやす。」
何故か『物騒』だった。
詰め寄る『強面』達に、和希は言った。
「忙しいんだよね。『急ぎ?』」と。
平坦な声と顔で。
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「ーーーーーーすみません。でした。」
最初に声を掛けた『男』が、代表する様に『謝罪』した。
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「悪いけど、又にして欲しいな。静観してて。」
和希の言葉に、周囲の客達はーー静寂と化した。
「ーーで、『紹』。説教面倒だから『稽古』な。行くぞ。」
「俺だけ?! ちょっ!和希さん! 受験生『怪我』いけない!待って未だ『死にたく』ないし! ーー話し合おうーーごめん『受験』頑張るから。すみません!ごめんなさい!」
「「「…………ちょっと紹ちゃん……………」」」
「やだ紹、格好悪い…………」
「ごめんなさい『おにいさん』………紹をゆるしてあげて? 紹最近『失恋』しちゃったの。」
「まあ………『原因』私達なんだけど………」
「ごめんね紹…………」
「そんな訳で…………」
「ストップ。」
女性達の説明を、和希は止めた。『理解ってる』と。『問題』は「其処じゃない」と。
「『ここいう店』に『出入り』されるのが、『問題』なの。」と。
ガラ悪い『筈』だった。『裏』稼業の者達の『憩いの場』ーーだったのだから。
「『こんな店』とは『御挨拶』だな。『若造』君。」
先程『立ち上がらなかった』者達の中の、一人だった。そう言ったのは。ーーーー
和希は『彼』をみた。『いたのか』と。
× × ×
「『親分』さんでしたっけ?『若頭』さんーーでしたっけ?申し訳ありません。『騒がしく』て。御久し振りです。『会いたく』も有りませんがね。」
和希は男に近付き、そう言った。「気付かずに『挨拶』もせずに、失礼致しました。」と。
「『全員』引取ますのでーー寛大な御心『御示し』に成られては頂けませんか。平松“様”。ーー」と。
「『変わらずに』“勘”に障り捲る“男”だなーー『女』にしたい『位』だよーー」
「為らねーか? 『橋本』サンよ?」
「『気色悪い糞爺だな。ーー死ねやーー』と、俺の親友なら言いそうな御言葉ですね。ーー平松“様”。 断るなら『骨の二、三本』貰いますよ。ーーーー」
平坦な男は平坦為りに、薄く笑った。無機質な『笑』みで。滝はその背がーー凍りついて在た。
「ーーーーたく。『ど変態』が。相変わらずですね〜平松さん。何『若い振り』してんすか。 ーー『糞爺』の癖に。」
「『俺』の生徒と知り合い、ビビらすの『やめて』貰えます? 何してんの『おっちゃん』。」
『暇人?』と聞いて『うん』と言われて、困ったのは和希の方だった。
平松は昔々の陽藍の『知人』らしい。和希は『昔』、彼等からーーそう聞いた。
『強面』だった。自信満々の平松は、昔々、『和希』に負けた。それからは『こう』だった。
つまり和希が切っ掛けで陽藍の『配下』に為った口だ。そんな『奴等』はーー未だ未だいた。
『此の場所』にも。日陰にも『水』を『やる』のは、陽藍の『仕事』だった。
ギブとテイク。持ちつ持たれつ。与え、与えられる力関係だった。表向きはーーだが。
陽藍には『滝』等には見せられない『面』がーー幾つも『在』る。
和希はその『殆ど』をーー知っていた。『裏側』なのだ。和希の『居場所』は、滝が『在』る『表場所』では無いーー『裏側』なのだ。
日陰に『水』をやるのはーー陽藍ならば。
『日陰』に『陽』をもたらすのがーー和希の仕事ーーだった。
『人工の陽だって「植物」は「育つ」ーーんだよ。』と、いつか和希は言った事をーー憶えている気もーーした。
眩しいだけが『陽』ではないと。水だけでは『腐らす』のだ。
× ✝ ×
「橋本君ーーなんで『俺』を、此処に連れて来たの?」
唐突に蓮は、そう言い出した。
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「え、ああーー此処普段『静か』なんだ。ーーねえ? マスター。」
和希は店主にそう言った。
「え? ああ〜、『滝』サンだったのか。誰かと思ってた。ーーなんだ。」
瀬野尾 紹が、唐突にそう言った。滝は『紹』を、不思議そうに眺めたのだった。『誰だ?』と。




