帰城
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二階層まで上がってくると、もはや歩き慣れた道で、地図なんてなくても出口までたどり着ける。
まだ二時間近く掛かるけど、もう家に着いたような気分でほっとするよね。
迷子になった時に、見慣れた道まで出られたような安心感がある。
とりあえず正午を過ぎたのでお昼ご飯を食べて、城への道を歩いて行く。
食べ物、結構余裕があったね。
余裕がなくなってたらやばいけどね。
まだあと一、二週間はダンジョンの中でも生活出来たんじゃないかな?
ご飯を食べ終えたら、城への行軍を再開する。
帰ったらお風呂入って、ベッドで寝っ転がりたい。
クリスが作ってくれるから、ダンジョンの中でもお風呂には入ってたんだけどね。
それでも家で落ち着いて入るのと、旅の途中で洗い流すようにお風呂に入るのじゃ、意味が違うからね。
二階層はスケルトンが現れる。
前は見分けが付かなかったけど、今は私の従えているスケルトンたちは進化してるから、パッと見ただけで違いが分かるね。
見分けが付かなかったといっても、テイムのスキルで繋がっているので、私の配下だってことは分かるんだけどね。
実際、二階層を歩いていると、まだ進化前の私のテイムしたスケルトンが現れる。
LV上げの最中なんだろね。
ぴっちりと、姿勢正して私たちが通り過ぎるのを待っている。
なんかこう、偉い人にでもなったみたいでむずむずするね。
二階層を通り抜け、一階層を歩く。
一階層は相変わらず臭いよね、ゾンビが出るから。
そんなゾンビたちをスケルトンたちが一撃で倒して行く。
こういうの見ると、スケルトンたちも強くなったな、って思う。
最初の頃は一撃では倒せなかったから、集団リンチみたいな光景になってたからね。
そして一階層の階段を上がると、やっと城に戻ってきた。
明るい……ってことはないんだけど、我が家って感じがする。
それじゃあ解散してお風呂にでも……うん?
なんだろう?
なんか違う気がするんだよな。
いや、お風呂には入りたいんだけど、お腹の辺りがキュウっとなるような感じ?
いつもの場所に、いつもは感じる事のない違和感。
これ、私だけが感じてるやつ?
私はクリスを見上げた。
「……襲撃を受けてるようだな」
そう、クリスが言うのを聞いて、微かに音が聞こえているのに気づく。
どぉん、とか、ばぁん、っていう爆発音のようなものが、散発的に響いている。
襲撃って何?
誰から?
どうして?
混乱する私。
クリスは落ち着いた様子で、「確認に行くが、来るか?」と聞いた。
クリスの落ち着いた声って安心するよね。
怖かったのが一瞬でどっかに行っちゃったよ。
イケメンだったらときめいてたかもしれない。
幻影魔法は使わなくて良いからね?
私は頷いて、クリスと一緒に襲撃者の確認に行くことにした。
向かった先は以前、クリスが冒険者を撃退した時にいた部屋のテラス。
どうやらこの部屋は、城の外を観察するのにちょうど良い位置にあるらしい。
そこから外を見ると、墓地の様子が一望出来る。
「…………冒険者?」
そこには、前回と同じような姿をした人たちがいた。
もしかしたらこの世界でのオーソドックスな戦闘服なだけで、冒険者だとは限らないのかもしれないけども、前回の印象があるので、私は彼らを冒険者だと認識した。
そして、冒険者たちは一心不乱に虚空を攻撃していた。
剣を持った人は剣で。
槍を持った人は槍で。
斧を持った人は斧で。
魔法が使える人は魔法で。
何もない虚空を、ただひたすらにぶっ叩いていた。
ただ、何もあそこでパントマイムをやっているわけではないだろう。
剣が弾かれ。
槍が弾かれ。
斧が弾かれ。
魔法すらも弾かれているのだから、その虚空には何かが存在している。
そしてその位置は、私にも覚えがあった。
この城に入る時に通り過ぎた、膜のようなもの。
城を守る結界を、彼らはぶっ叩いているのだ。




