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44話 引越し

無事うちに帰りついた俺は二人が起きるのを待ってから、皆に前々から考えていた話をした。


「家ごと引っ越す?」


「そ、俺はどうしてもこの人間族の帝国が好きになれないんだ。森暮らしよりははるかに便利だから我慢して住んでたんだけど、やっぱり好きになれない。それでちょうど竜の子どもを助けたことだし、ちょうどいいから人間の世界での暮らしを諦めようと思ってね。竜の森の奥へ引越しする。家はもったいないから丸ごともって行くつもりだ」


「えっと、どうやって・・・?」


「ん?空間魔法で切り出してマジックバックに入れるだけだよ」


「そんなことが・・・」


「メイドの皆はどうする?魔物がたくさんいるところだから危険はあるし、自給自足だから生活に困ることもあると思うけど人目は気にしなくて良くなるよ」


「あの・・・どうするとは?もしかしてついていかなくても良いと言うことですか?」


皆を代表してなのかリディがそう言ってくる。


「もちろん。この人間の世界の方がよければ置いて行くよ。ついでに奴隷からも解放しよう。家とかの世話をしてあげる余裕はないけど、しばらく暮らす位のお金は渡すよ。獣人の3人とティナはこの町で放り出すわけには行かないから嫌でもしばらく付き合ってくれ。生活に余裕が出来たら仲間の元へ連れて行くから」


俺は席をはずして奴隷たちだけで話をさせる。俺に対する恩とか、申し訳ないとかいう遠慮は無用。ただし時間の余裕はないので今決めてくれと言うことで、しばしオリヴィアとアイラとお茶を飲む。


「皆を守れなかったこと、重ねて申し訳ありませんでした」


皆の手前我慢していたのか違う部屋に移ったとたんに頭を下げてくる。


「無事助け出せたし、気にしないでいいよ。ただ耐性はつける訓練しないとだね。自分が持ってるからって俺も過信してたよ。ごめん」


「はい、よろしくお願いします。今度こそ必ず」


アイラの言葉には強い決意が滲んでいた。確かに誰かが殺されていてもおかしくはなかった。あいつらが誘拐より殺すことを優先するつもりだったら今頃この家は血まみれだったはずだ。本当にそんなことにならなくて良かった。

俺にもアイラに任せておけば武力で負けることはないという慢心があった。確かに貴族の家にいた護衛程度アイラの武力なら余裕であしらえただろう。ただ毒全般に対する耐性は持たせていなかった。俺がいれば光魔法もあるし、ということで怠っていた。本当に皆を失わなくて良かった。想像するだけで身震いがする。



置いていったことを謝るとアイラも失敗を取り返すことで頭がいっぱいだったと言っていた。俺に見捨てられるんじゃないかと思ったらしい。

買うと決めた時から最後まで面倒見るつもりだと伝えると顔を真っ赤にして感謝された。

あれ?なんか言い間違えたかな・・・。まあ可愛いからいいよね!



「何人かだけでも一緒についてきてくれると嬉しいけどね」


「そうですね。でも残ったら残ったで鍛えないといけませんね」


「魔物から逃げられる程度には早急にしないとね。それと本来の目的通り森の奥でオリヴィアの家族か知り合いを見つけたいねぇ」


「期待したいところですが、環境を聞く限り生きていけるのか疑問です。魔物もかなり強いようですし・・・」


「魔法の力でなんとかしてくれてるといいなぁ」




しばらくすると奴隷たちの話し合いは終わったようだ。結局料理担当のレニエだけが解放を望むとのことだ。せっかく手に入れた料理枠だったのに・・・残念。


涙ながらに俺に謝っていたけど、料理人になるチャンスがあるのならどうしても夢を叶えたいとの事だった。元々親父さんの後をついで料理を出すのが夢だったのだが、チンピラにだまされて事業に失敗。二人して奴隷となったそうだ。親父さんはしばらく前に買われてしまいどこにいったかは不明。ただ料理の腕は確かだったので、料理人になればいずれ見つけることが出来るかもしれないと期待しているそうだ。そういう理由ならぜひぜひ頑張って欲しい。


レニエの奴隷の首輪を俺の闇魔法で破壊し、奴隷から解放する。正規の手続きじゃないけど奴隷商に行くのは足がつきそうで怖いのでパス。お土産で白金貨を1枚渡した。こんなには多すぎると恐縮していたが無理やり持たせた。そしたらこの通貨じゃ大きすぎて使いにくいとアイラに叱られたので、こそこそと金貨と銀貨も追加しておいた。せっかくかっこよく決めた(つもり)のに!



ついで他の皆の首輪も破壊した。これからは人間の町を歩くわけじゃないからもう必要ない。アイラの変身はまだ解いてない。理由の説明がめんどくさいのでゆっくり話が出来るときに解く予定だ。


「最後に確認するけど、いいのか?もう奴隷じゃないから好きに生きていけるんだよ?」


「私たちでレニエの分までご主人様にご恩を返します。お気遣いありがとうございます」


「そうか、じゃあよろしく頼むよ」


奴隷ってのはやっぱり酷使され死んでいくものらしい。当然ご飯は死なない程度だし、風呂なんて夢物語でも出てこないそうだ。それだけ俺の扱いが嬉しかったとのこと。喜んでくれて本当に良かった。恐怖政治のご主人様になりかけてたのがあれだけど、なんとか脱したようだ。セーフ!



ひとまずレニエを下町の宿屋まで送り届ける。その間にオリヴィアに容量を最大化したバッグを作ってもらった。家の周りを空間魔法で囲いそこに沿って切り出しをする。家の基礎ごと持っていかないと崩れそうなので土魔法も併用して基礎の下から持ち上げ、そこも全部纏めてバッグの中にしまった。ちなみに俺とアイラ以外の人間は全員バッグの中だ。

こんなあほなことが出来るのもすべてオリヴィアの空間魔法のおかげだ。レベルが低い頃とは性能の桁が違う。サイズがでかすぎて時魔法はかけられないので中の空間は外と同じ時間で動いているがそれにしても異常な能力になったな。


レニエのことは心配だが、元々この世界の人間なのだからうまくやってくれるだろう。奴隷になったのも親の借金が元だから本人のミスではないし。ただそれでも心配なので何度も気をつけてやるように言ってしまった。最後の方には心配しすぎですと笑われた。



宿屋を後にした俺とアイラは壁を越え、チビドラゴンの待つ拠点に向かって走り出す。この短期間で何往復もしているせいでさすがに通いなれた道になり、真っ暗な中でもまっすぐに拠点まで行くことが出来た。

結界も俺が張ったままであり、中でチビドラゴンが寝ている。安心した俺たちはチビドラゴンの横で寝ることにする。他の皆はマジックバックの中だが、今出しても危険なばかりで安眠も出来ないだろうし今夜はそのままだ。明日家を置けるところを探してから出すことにしよう。


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