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3話 初戦闘

あれから何時間たったのだろう。外は明るくなっていた。

硬い木の中で気絶してようで体のふしぶしが痛いが、死ななかっただけ儲け物だ。


「しっかし、なんで助かったんだろう」


日の光が差し込んでいるところからこっそりと頭を出してみるが、うっそうとした森が見えるだけでとりあえず危険そうな生物は見えない。


ほっと一息つきながらステースの確認をしてみた。しかし神様の所で確認したものと変わりはないようだ。


非常にびびりながらも木のうろから顔を出してみる。あたりの気配を慎重に慎重に探る。

特になにもいないようだが、油断ならない。幸運?が二度も続くとは思えない。

神様が助けてくれたにしても、それが二度目もあるとは限らない。どれだけ慎重になってもやりすぎだということはないはずだ。


木のうろから顔をほとんど出したところで視界の右隅に鑑定ウィンドウが立ち上がった。

びびった。それはもうびびった。もらすかと思ったほどである。


必死になってうろに潜み息を殺す。

見つかりませんように見つかりませんように。


しかししばらくたっても風の音以外特に聞こえてくるものはない。

恐る恐る再び顔をだし、先ほどウィンドウが出たあたりをまた見てみる。


いた!と思ったと同時にウィンドウがまたでる。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

スライム Fランク

レベル:1   


スキル

打撃耐性


不定形生物

打撃系の攻撃を吸収する

小動物などを溶かして吸収する

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


脱力した。リアルでorzである。

先ほどの恐怖を返して欲しい。


しかしチャンスである。とりあえずこんな森の中で魔獣に出会いでもしたらピンチなのは変わっていない。急いでレベルを上げる必要がある。スライムでも経験値はもらえるだろうし、『打撃耐性』というのもありがたい。これで『斬撃耐性』とか書いてあったら倒せない気がする。なにせこちらもレベル1だ。ぶっちゃけ弱い。頼みの綱は腰の剣だけだ。



慎重に辺りを見回す。とりあえず鑑定ウィンドウがでないことから他の生物がいないと信じることにした。またこのうろが安全かどうかなんてわからないが、安全だと信じるしかない。なにせ他に頼れるものはないのだ。ここが安全地帯だと信じて行動するしかない。



スライムは今はうろの正面に移動してきているが、その移動速度は決して速くない。


急いでここから出て、倒して、戻ってくる。その姿だけを頭でイメージして飛び出す!


「うおおおおおおおお!」


俺の出した声に反応し、スライムがこちらを向く!(当たり前だった)


やべえと思うがいまさら戻ることはできない。渾身の力をこめてスライムに剣を振り下ろす!


「はあっ!」


ズバッとスライムの一部を切り裂いたと思った瞬間

ガツンと手に強い衝撃が走る。え?と思いながら剣を見ると、木に切れ込みを作っていた。

焦って剣を引き抜こうとするが、変な入り方をしたのか抜けない。

そしてスライムは切られても動いていた。


足から体にまとわり付いてくる。再び襲ってくる死の恐怖。

パニックになりかけるが、相手もレベル1だ、なんとかなるはずと持ち直す。

スライムの弱点はなんだと思いながら必死になってスライムを見ていると、鑑定ウィンドウの項目が増えた!


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

スライム Fランク

レベル:1   


弱点

核(核以外への攻撃はほぼ無効)


不定形生物

打撃系の攻撃を吸収する

小動物などを溶かして吸収する

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


もっと早く言えよ!!!


目の前にはスライムの粘液?に包まれた核がある。

やはり焦っていたのだろう。剣から手を離した俺は、それに向かって手を突っ込んだ。


ズブズブッっと手が埋まっていく気持ち悪い感覚。それに耐え核をつかんだ!


そう思った時には核をつぶしていた。それと同時にスライムは粘性を失い水のように流れ落ちて行った。


ほっと一息ついたところで、安全地帯ではないことを思い出した。大きな声も出してしまっている。とりあえずうろの中に避難だ!と思いながら剣を何とか引っこ抜く。

焦っていなければ簡単に抜けた。悔しい。


ダッシュでうろの中に戻りやっと一息つけた。落ち着いてみると汗だくだった。

手もズボンもスライムの元粘液で濡れている。水のような感覚だがなんとなく気持ち悪い。

洗いたいが水はないのでひとまず置いておくことにした。



となれば次はステータス鑑定である!


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

伊東 健太 14歳 男 人間族

レベル:2    経験値:0/20



HP :93/95  才能:S

MP :85/94  才能:S

力  :108   才能:S

知力 :104   才能:S

素早さ:81    才能:S

器用さ:115   才能:S

運  :81    才能:S


魔法

なし


魔法適正

火 :C

水 :C

風 :C

土 :C

光 :B

闇 :B

時 :A

空間:A


スキル

賢者の瞳  経験値上昇(10倍)スキル習得率大UP

剣術Lv1   身体操作Lv1


称号

なし

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


レベル2! よし!!!

喜びがこみ上げてくると同時にステータスを見て驚いた。

なにこれあがりすぎじゃね?才能Sすげえ。

それともこの世界の1ってあんまり意味のない数字なんだろうか。

わからない・・・。

『剣術』『身体操作』もついたし、とりあえずもうスライムに殺されることはなさそうだ。一安心である。


しかしそれと同時に反省の多い戦闘?だった。


焦りすぎだし、大きな声だしたらばれるに決まってるし、

鑑定の持ち腐れだし、周りの木が目に入ってない。


スライムと戦うだけで反省点が多すぎである。

だがとりあえず初戦闘を乗り越えた。次はうまくやろう。

死ななかったし、怪我もしなかったのだ。よしとしよう。


そういえば地球では喧嘩らしい喧嘩もしなかった。

パニックを起こすのも当たり前である。

そしてスライムを殺したのだと気づいた瞬間・・・


吐いた。


胃になにもなかったのだろう。すっぱい胃液がでてくるだけだったが。


死の恐怖が生き物を殺すということを考えさせなかったが、

落ち着いた今になってみればその辺を歩いていただけのスライムを殺したのだ。


ひどいことだと思う。しかしその反面こうするしかないんだと、これがこの世界で

生きていくということなんだと強く思った。


神様がもう戻れないと言った以上、この世界で生きていくしか俺に道はない。

そして地球にいた頃だって、直接手を下していないだけで生き物を殺して生きていたのだ。

殺戮に身を染めるつもりはないが、気にするのはやめようと思った。



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