33話 固定資産
朝、宿屋のベットで目を覚ます。今日の目標は家を買うことだ。
新品じゃなくていいので水道設備がついている家にしたい。
前にも言ったが風呂に入れない生活がそろそろ限界だ。
湯沸しは自前の魔法で何とかするのでいいとして気軽に使える湯船が欲しい。
宿屋でも高級な宿屋をさがせば風呂を使えるところはある。しかし一泊銀貨50枚~金貨5枚ほどする。一番安い銀貨50枚の宿にしても毎日泊まるとなると恐ろしい出費だ。
ぶっちゃけ払えないかといわれれば払えるがそういう無駄遣いは性分的に難しい。
高級な部屋とか調度品には興味ないしね。
それと自前の武器を作る施設が欲しい。結局鍛冶は自分達ですることに決めたからだ。というか素材がレアになりすぎて人間族に渡せなくなった。もう少し閉鎖的じゃなければ人にお願いすることもできたんだけどね。もしかしたら変わり者がいて内緒で頼めるかもしれないけどそういう人を探す当てもないのでしょうがない。
カラン
というわけで冒険者ギルドへやってきました。
朝早くは込むのでちゃんと時間をずらして来た。
「いらっしゃいませ、御用件は何でしょう?」
「昨日ギルドカードの更新をお願いしていたので受け取りに来ました。Bランクのケンです」
「はい、少々お待ちください」
というやり取りを経てBランクカードをゲット。ついでにオリヴィアの冒険者登録もすませた。魔法系ということで俺と同じBランクに申請を出した。審査はあとでまた来いってさ。
「家を買いたいのですが冒険者ギルドでお勧めできる不動産屋さん?とかってありますか?」
「それでしたら商業ギルドへ行かれるのが一番ですね。場所はお分かりになりますか?」
というわけで商業ギルドへ
ここでこの町の構造を説明すると、町の奥側に領主の館や、金持ちの家がある。そしてそれらより中央よりに軍事施設系列がある。それが町の中央付近までで、そこから残りの半分を3等分して左が住居、真ん中が商業、右が産業施設って感じだ。もちろん大まかな区分けなので混ざってる部分もある。そして真ん中の商業施設を統括しているのが商業ギルドだ。当然のように一番いい位置を抑えている。さすが国営組織だね!
閑話休題
「住居を紹介していただきたいんですけど」
「はい、どんな物件をお探しですか?」
「安くて、広くて、上下水が使えるところでお願いします」
「え・・・あの、そのご注文ですと曰く付きの物件ぐらいしかありませんが・・・」
「幽霊が出るとかそういうのですか?」
「ええ、そういう問題のある物件しか先ほどの条件ではご紹介できませんよ・・・」
なんか付いてたら光魔法で浄化すればいいよね。
「では、それでお願いします」
「え?」
「ん?」
「えっと、曰く付きの物件でよろしいので?」
「はい、お願いします」
「曰く付きの物件で問題が起こりましても当ギルドでは保障しかねますが・・・」
「大丈夫です」
ものすごい不振がられた挙句曰く付き物件を大きい順に回ってもらった。といっても3件しかなかったが。まあいくら大きな町とはいえ曰く付き物件が大量にあったらそれはそれで困るか。
簡単に言うと侯爵、伯爵、男爵の別荘だった。
侯爵は不死の研究をしてたそうな。露見した時点で家の地下がアンデットだらけだったらしい。途中で本人も制御できなくなって地下に閉じ込めたけど、腐敗臭で露見、今もなお封印中だと。たしかに近づくだけでダンジョンの11層を思い出させる臭いだった。
伯爵はやばい人だったそうで奴隷を拷問したりして殺す事に喜びを見出すタイプだったそうだ。それがたまりにたまって怨念とり、幽霊に復讐されちゃったんだと。
男爵はこの中では一番平和?で、痴情のもつれだ。奥さんに内緒で囲ってたら、ばれて滅多刺しの目に。その後奥さんも自殺したので3人そろって死亡となった。その後旦那はゾンビ、奥さんは幽霊となり動き出したようだ。それだけでアンドットになったんだとすると奥さんは闇魔法の適正でも高かったのかな。旦那さんはすぐに軍隊に滅ぼされたんだけど、奥さんのほうが居ついちゃって軍隊とかの大人数には姿を見せず、屋敷に住もうとすると出てくるんだそうだ。
高貴な人(笑)の趣味は分かりませんね。
広さは当然上から順番だ。普通貴族のもち家だった所は一般人には売らないのだけれど事情が事情だから何とかできるもんなら何とかしてくれって事らしい。爵位がそのままだったら自分たちで大金払って何とかしたんだろうけど、取り潰しになってそれもできなかったらしい。
「それで、どれにする?」
「住むのはどれでもいいですけど伯爵家の幽霊は解放してあげたいですね」
元奴隷たちは可哀想だから解放してあげたいところだね。
「あの、本当にこれらの家に住むんですか?私、ゾンビとか幽霊とか遠慮したいんですが・・・」
「えー(君たちが作った)ダンジョンにたくさんいたけど?」
「いえ、あれはその・・・姉様の趣味でして・・・」
なにそれこわい。
「まあ大丈夫、大丈夫。住むとなれば何とかするから」
「・・・お願いしますよ?本当にですよ?」
侯爵家はでかすぎ、男爵家は鍛冶場が作れないということで伯爵家の別荘に決めた。
お値段なんと土地込みで白金貨2枚。高いのか安いのか微妙なところだ。
「うーむ。これ以上の値引きは無理ですよね」
「そうですね。ここだけの話、我々としてはもっと値引いてでも売り払いたいところなんですが場所が場所なのであまり値引くとその・・・領主様からお叱りを受けてしまいますので」
「なるほど・・・じゃあそれでお願いします」
「かしこまりました」
というわけでギルドに戻って契約をした。内装を一度も見ないで決めたけど、まあ壊れたところがあれば直して貰えばいいだろう。契約文の最後にアンデットに関する苦情を一切申し立てないこと、という一文があった。前にもめたんだろうな。
白金貨をいきなり半分近く使ってしまった。また稼がないといけない。
3人で屋敷のあるところへ戻ってきた。終わるまで入りたくないというオリヴィアには屋敷の周りに結界を張ってもらう。幽霊たちが逃げ出しても困るからね。
屋敷の入り口を開けるといきなり幽霊が襲い掛かってくる。ダンジョンの時と同じように光魔法で浄化!浄化!浄化!
死んだところとは関係なく屋敷の中をあっちこっちしているようだ。特にたくさんいたのが伯爵のベットだったと思われるところで30以上の幽霊がうようよしていた。伯爵をぶっ殺してなお恨みが晴れなかったようだ。そのベットのなにが恐ろしかったって、浄化した後のベットがこびりついた血で真っ黒だったことだ。幽霊のせいで掃除することすらできなかったらしい。
あとは地下室が惨状だったな。拷問器具がたくさんあり、そのどれもが血で汚れたままだった。これらの問題は浄化できても血の汚れは消えないということだ。あと拷問器具の処分。
すべての浄化を終えてからオリヴィアを呼び、新しいマジックバックを作ってもらった。その中に使えないものを全部いれ、いずれどこかで処分ということで落ち着いた。壊れた施設の修理も頼まないといけない。
屋敷の中はかなり広かった。2階は泊まれる部屋が14部屋、書斎、図書室など。1階は食堂、来客用の部屋が2つ、ダンスホール?が1つ、風呂、炊事場等々。さらに地下室が2つもあり、庭にはミニ菜園と思しき物まであった。たぶん野菜じゃなくてハーブとかだけど。
当然俺たちではこの広さの屋敷は持て余すのでメイドさんが必要だ。というか広さの前に家事スキルが問題だ。みんなして料理上手じゃないしな!
オリヴィアには商人ギルドで壊れているところの修理を手配してもらおう。そして俺はメイドさんを雇うのだ!




