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32話 ユシュン到着

あれから毎日3つぐらい村を越えたところで一日が終わる。村と村の距離が遠いところだと野宿も何回かあった。野宿は結界持ちが二人もいるのでそこまで緊張することもなかった。

川の近くだと水浴びもできたのが良かった。水が冷たいのが難点だけど布で拭くだけじゃどうしても気持ち悪いからな・・・。彼女たちも女性なのできれいにして嬉しくない訳がない。水浴びの後は心なしか機嫌がよい気がする。早くお風呂を自由に使いたいものだ。


野宿の時はともかく村で泊まるとすると、ベットの代わりに村の問題事を解決しなくちゃならなかった。いずれも最初の村と一緒で獣人を泊めることに難色を示された。ただどうも本格的に嫌悪しているというより、自分達と違うものを恐れているようだ。インターネットという情報ツールがあった現代でも、あれだけの人種差別があったのだから、身の周りの情報しかないこの世界ではしょうがないことなのかもしれない。


だいたいの村長はアイラが問題を解決したのだというと礼を言ってくれたけど、一部の村長はあからさまに怯えを強くしていた。強すぎる獣人というのもだめだったようだ。分かり合うのは難しい。


ガーレンを出て10日、やっとペルラの町にたどり着いた。馬車での移動よりは早かったな。ペルラを出てから一月ほどしかたってないけど我ながら濃い旅路だった。


鑑定には犯罪系の称号がなかったため気にせず犯罪経歴の判定を受けたがやはりなんともなかった。もしここで殺人とかついてたらやばかったな。他の町ならともかくこの町の衛兵隊の人は殴れん。


衛兵隊の隊長さんに一泊だけだと告げると残念がられたが、ひとまずの無事を喜んでくれる。宿屋ではおかみさんに女の子を増やしに行ったのかと冷やかされた。目に見える成果はそれだけだから仕方ないが勘弁して欲しい・・・。俺はまだ無実だと声を大にして言いたい。言えないけど。



日が落ちる前に装備屋さんにも顔を出し、鋼鉄の剣を一本買い足しておいた。一応予備は一本あるけど、それだけじゃ心もとないからね。殴ったほうが強いのは秘密だ。秘密だったら秘密だ。


翌朝ギルドに情報収集もかねて一応顔を出した。俺がいない間も特に変わったことはないそうで、面白そうな依頼もなかった。一通り挨拶だけして結局そのまま出発することになった。

ここからユシュンの町までまた10日ほどかかるはずなのでオリヴィアには悪いけど早め早めに移動したい。お風呂が俺を呼んでいる!




同じような事を繰り返すこと13回。やっとユシュンの町が見えてくる。

予定より日にちがかかってしまった。というのもユシュンに近づくごとに人の往来がかなり増えたのだ。


俺たちにとってはかなり遅いスピードで走っていてもこの世界では異常なことのようだ。馬車を追い抜こうとしたら、そんなスピードを出して走っていたら魔物に襲われたときに死ぬぞと忠告されてしまった。善意からの忠告なので無碍にもできず、置き去りにするわけにもいかず・・・。結局その商人さんの護衛をすることになってしまった。代わりにといって馬車に乗せてくれたけど尻は痛いし狭いしで正直いいことはなかった。


次の町(途中に村が3つほどあった)までだったのでそこで二日ほど無駄にした。荷馬車って本当にとろい・・・。次はそんな厄介ごとに巻き込まれないようにしようと人を見かけるたびに減速していたので無駄に時間がたくさんかかったよ。やっぱり乗り物かなんかが欲しいな。




ようやくたどり着いたユシュンの町はかなりでかく、ごつかった。まさに城塞都市って感じだ。分厚く巨大な壁、物見から目を光らせる兵士。普通の人間では到底飛び越えられないような堀と跳ね上げ式の橋、その先にある鉄製?の巨大な門。今すぐにでも戦争ができそうだ。


また竜対策なのか大砲がたくさん城壁の上にある。あいにく玉は見えないので普通の玉なのかそれとも特別な何かなのかは分からないが生半可な戦力では落とせなさそうだ。


ちなみに俺たちは堀も城壁も軽く飛び越えられるから関係ない。いや、そうじゃない。何で俺は攻め落とす算段をしているんだ。


遠くから見た門前の人の並びもすごかった。これ3時間ぐらい並ぶんじゃなかろうか。めんどくせえ・・・。


テンション下がりつつ近づいてみると一応並んでいる人間に共通点があるようだ。

並んでいる人に聞いてみると貴族用、商人用、冒険者用、その他ってことらしい。

一番混んでるのは商人用で、荷物の検閲に時間がかかっているようだ。冒険者は割りと早いほうだとのこと。身分保障はギルドがしてくれるし犯罪経歴だけ判定すればいいらしい。



結局1時間ほどで門を通過できた。犯罪経歴も問題なし。ペルラで確認済みなんだが、やはり微妙に気になる。とりあえずユシュンの町についたことをギルドに報告かな。


道行く人に尋ねてたどり着いた冒険者ギルドはとてもでかかった。なんだかさっきから俺の感想がでかいばっかりであほっぽいな。しかし大きなビルなどがないこの世界で4階建てのこの建物はかなりの大きさだ。横幅もかなりあって、家が4~5軒ぐらい入りそうだ。


一通り感心した後冒険者ギルドに入る。設備的には他のギルドと変わりはないようだ。ただ受付カウンターが今までは最大で4個ぐらいだったのが10個以上ある。その向こうに解体受付のカウンターが2つあり、その奥が酒場だ。もうじきお昼という時間なので受付カウンターには余り人がいない。その代わりに酒場にはそこそこの人がいる。真昼間から酒を飲んでいるようで大きな笑い声が聞こえる。こんな時間から飲むとはよほどいいことでもあったのかな?


目の前のカウンターが開いていたのでそこのお姉さんに話しかける。


「すみません、ガーレンの町から着ましたケンと申します。ガーレンのギルドマスターからオークションの件で通知?とか来てませんでしょうか」


そう告げながらギルドカードを渡す。


「はい、えっとBランクのケン様ですね。確認してまいりますので少々お待ちください」



「ご主人様、Bランクにあがったのですね。おめでとうございます」


「ありがと。ボスの攻略法がうまくいったらAにするとかって話だったけど、ボスもう沸かないもんなぁ」


「そうですね。Bランクはミスリルを卸した分ですかね」


などと話しながら待つこと少々。


「お待たせしました。オークションが終わり次第こちらへ回すようにという通達自体は着ていましたが、オークションが終わっていないのでお金等はまだです」


「そうですか、ありがとうございます。この町にとどまる予定ですので、よろしくお願いします」


「はい、ユシュンの町にいらっしゃいませ。カードのBランクへの更新をしておきますので、明日以降にまたお立ち寄りください」


「わかりました。よろしくお願いします」


話しを終え、離れて待っていたオリヴィアの方へ戻ると、なんと絡まれていた。まあ美人だからなしょうがないね。問題は相手が酒を飲んでて赤ら顔だってことかな。


「なあなあ、いいだろう?俺たちと飲もうぜ?」


「あの、本当にやめてください。私お酒は飲んだことありませんし、人を待っているだけなのです!」


「なに?酒を飲んだことがないだって?そりゃあいかん!ささっ飲もう飲もう」


強引に手を掴んで酒場に連れて行こうとする。


「おじさんおじさん、俺のパーティメンバー誘拐しないでよ」


おじさん?の腕を掴みながら制止する。


「あん?何だてめえ、餓鬼はお家に帰ってママのおっぱいでも吸ってろ!ここは大人の戦場、冒険者ギルドだぞ!」


おかしい。俺とオリヴィアの見た目にそんなに違いがあるだろうか。子ども(この世界では成人扱いだが)にお酒のもうって誘ってた人に言われたくないぞ!


「気に入らないなら出て行くから、ほら、オリヴィアから手を離しておくれ」


「うるせえ!出てくならてめえだけ出ていけ!なんなら後ろの獣人も置いてっていいぞ。獣人でも酌させるだけなら足りるからな!ぎゃはははは」


なんか違う奴まで増えたよ。酔っ払いはめんどくさいなぁ。はあ。

という訳で相手をギロッと一睨み。


「は・な・せ」


恐怖スキルで威嚇すると真っ青になって固まった。


「さ、行こうかオリヴィア」


「は、はい」


恐怖スキルを解除すると酔っ払いが二人、ぶっ倒れたようだ。まあ仲間が何とかするだろう。


「あの、助けてくださってありがとうございました」


「うん、遅くなってごめんね」


さて、とりあえず今日は宿借りてのんびりかな。



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