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21話 厄介

今日は丸一日あるし、20階までいくぞ!と今朝の俺達はやる気に満ちていた。事実10階のボスを倒し終わった時点でお昼頃│(たぶん)。この調子を維持すれば夜までに20階に到達できただろう。そして明日は情報を集めてからボス攻略というつもりだった。だがしかし、11階の時点ですでに帰りたいです。はい。

さぼらずにギルドに行って情報収集してくれば良かったよ。


まず、とにかく臭い。吐き気を催すような悪臭が常に立ち込めている。

魔物と戦ってない時間ですら非常に苦痛だ。鼻が馬鹿になるまで我慢するしかないのだろうか。


次に魔物の見た目だ。所謂ゾンビだ。ただ、死んだばかりじゃなくて土葬され、少し腐った奴が蘇ったような感じだ。ぐろい。いや、死にたてもぐろいことには変わりないんだけど・・・。


ゲーム画面ならなんとも思わないが、実際に目の当たりにしてしまうとくるものがある。


そのゾンビが5~6匹の集団ででてくる。強さは正直たいしたものじゃなかった。

映画みたいにうあーとかうごーとか言いながらのろのろ来るだけだ。足がうまく動かないのかこける奴までいる。

火魔法で燃やしたり(よく燃えた)、風魔法で切ったり(もろかった)した。燃やした奴はにおいがやばかったので風魔法で散らした。


「うえー・・・燃やすのは臭いし、風魔法で切ったらぐろいし・・・」


「存在は耳にしていましたけど、気持ち悪いものですね」


「聞いてなかったからよりショッキングだわ」


アイラは意外と平気そうだ。異世界人はやっぱりタフなんだろうか。

普通こういうのは女の子のほうが怖がって・・・という展開じゃないだろうか。

気持ち悪そうにはしているがびびる様子はない。


「できるだけ魔法で処理しよう。武器が穢れそうだ」


「そうですね。幸い余裕はありますし、こいつらを切りたくはないです」


ちなみに我が必殺の恐怖は通じなかった。そこはテンプレを守ってくれなくて良かったのに・・・。



今までも定期的に魔法の訓練はしていたが、戦闘にこんなにも魔法を使ったのは初めてだ。

ありあまるMPに物言わせて、どんどん燃やし、どんどん砕いていく。

魔法のレベル上げだと思えば楽しいものだ。においと見た目以外は。


そんな感じで11階は魔法でゾンビをひたすら処理して行った。今までの階層に比べて戦闘回数がそこそこ多い。階層を抜けるまでに多くても20回ぐらい戦闘すればよかったのに、40回以上戦闘をしている。また必ず集団で出てくるので総計はかなり多いだろう。


12階についたころに気づいたんだが、動きが遅いんだから無視して走ればよかった。まあ道が分からないので大量トレインはやりたくないからしょうがない。もし次があったら走りぬけよう。当然ないほうがいいが。


12階はゾンビに加えてスケルトンが出てきた。こちらは動きがそこそこ早い変わりに数が少ない。せいぜい2匹でグループになっていた。


「これなら武器で倒してもいいかな」


俺が首めがけて振った剣は特に抵抗もなく首を跳ね飛ばした。自分の力ありきかもしれないが、かなりもろかった。

が、それでもまだやつは動いていた。


「ご主人様!止まってません!」


「え、なにこいつ首飛んでも倒れないの?」


「ハッ」


アイラの蹴りによりスケルトンは吹っ飛んでいき、壁に激突して止まった。



さすがにもう動かないようだ。

どうやれば倒せるのかが分からないということで実験してみた。


まず両手両足を破壊してみたが、戦えなくてもまだ動いていた。

首を切るのではなく頭を破壊してみたが、それでも動いている。

次の奴は背骨を砕いてみた。そしたら動かなくなったのでここが中枢のようだ。

スケルトンなので脳は当然ないわけだが、それにしても不思議な生き物?だ。


からくりが分かってしまえばスケルトンはとてもに楽だ。MPの消費もないし倒すのは一瞬で終わる。

骨だけだからにおいも特にないし、ぐろいことにもならない。

ゾンビ地帯におけるオアシスだと言えよう。骸骨だけど。


13階は犬のゾンビが増えただけなので変わらず燃やした。四肢が無事な奴はゾンビとは思えないすばやい動きだったが、そうは言ってもゾンビはゾンビ。基本的な速度が遅かった。


問題は14階だ。幽霊(ゴースト)が出てきたのだ。

殴っても、剣を振るってもあたらない。魔法ならいけるだろうと思ったが、通じなかった。

火も風も全部素通りだ。


幽霊の攻撃手段は闇魔法と音波攻撃だった。

音波攻撃はひたすら不快な音を出してくるだけなのでまあ、我慢できないこともない。

闇魔法のほうは闇属性の玉が飛んできたり、それが剣状になって襲い掛かってきたりとなかなか油断ならない。こっちの攻撃は通じないのに向こうの攻撃はこちらに通じるとか卑怯すぎる。

いろいろ試してみたが、俺の攻撃もアイラの攻撃も通じなかった。


しばらく逃げ回っていればMPが切れると同時に消滅していった。

どうやら魔力が動力源であり、存在を保っている元のようだ。ある程度魔法を使うと溶けるように消えて行き攻撃はそこで止んだ。

避けていれば勝手に自滅するとはいえ、それまでの間逃げ回るのが非常にめんどくさい。というか俺達じゃないとMPが切れる前に避けきれず、死んでいるはずだ。とりあえず14階中を逃げ回った。

逃げれば逃げるほど幽霊が増えていくけどな!



15階に着いたころには二人ともへとへとだった。

絶対もっと簡単な攻略法があるはずなのだけれど、混んでいるのを避けてギルドに寄って来なかったのが悔やまれる。


魔物は階層をまたげないようで、15階に上がる途中の階段で幽霊は離れていった。


「思ったより時間食っちゃったし、情報を調べてこないとなんともならないから今日はここまでにして帰ろう」


「そうですね。ステータスでごり押せない敵というのは恐ろしいものです・・・」


というわけで15階のワープポイントを使い地上に帰る。

外に出てみるともうすでに夕方、夜ご飯を考えたほうがいい時間だった。その足でギルドに情報収集に行く。幽霊から逃げ回ってさすがに疲れたのでさっさと済ませたい。受付の順番待ちをしていると、なんだか周りの視線がいたい。


「あの、なんか睨まれてませんか?」


「なんかしたかな?このギルドの人達とはあんまり関わってないはずだけど」


「わかりません。獣人奴隷が入ってくるなとかでしょうか?」


とそんな会話をこそこそ繰り広げていると、後ろに並んでいたおっちゃんが話しかけてくる。


「おいあんた!ダンジョンのゾンビエリアにいったんだろう?その臭いのままギルドに入ってこられちゃ迷惑だぞ」


しまった。鼻が馬鹿になってるから自分達の臭いに気づかなかった!


「ギルドの裏に浄化の魔法使いがいるから、臭い消してもらってからにしてくれよ!」


知らずとはいえ思いっきり迷惑をかけてしまった俺達は、平身低頭しつつそそくさとその場を後にするのだった。



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